映画「フツーの仕事がしたい」
大阪、十三の「第七藝術劇場」にて、映画「フツーの仕事がしたい」(土屋トカチ監督)を見てきた。これは、歩合制・償還制の賃金体系下で働いてきた労働者のたたかいの記録であると同時に、全日本建設運輸連帯労働組合、「連帯」労組のたたかいの記録でもある。時間は70分と短いが、絶対いい、見るべし!第七藝術劇場のタイムテーブル
関東の、住友大阪セメント系の運輸業の、その下請けで働く労働者が主人公。セメントをバラ車ではこんでナンボという「歩合制賃金」のもとで働いてきた、稼ぐために「夜中」から働いて夜中に終わる仕事、それが「フツー」だと思っていた。(周りは同じ業界の人ばかりだから)「会社が赤字だから」と単価はドンドン下がり、年収は目減りしてゆく。会社はさらなる搾取を行うため、歩合制から「償還制」すなわち車やガソリン代等、全て運転手の負担にしてしまう「一人親方」みたいなものにしようとした、もう我慢できないと、「連帯」労組に入ったことを公然化したところ、会社からものすごい脱退工作をしかけられる。母親が亡くなった通夜、葬儀のところにまで押しかけてくる。「連帯労組」の反撃もすさまじい。ヤクザみたいな「労務屋」との激しいやりとり・・・
当該の労働者も、過労で入院してしまう。元請の運送会社や、住友大阪セメント本体への追及もはじまる。はじめは、道行く人にも語りかけるような調子で、静かに資本を「糾弾」する。この場面は闘う労組の人間くささ、あたたかさがこもっていて良い。また、住友大阪セメント本体への抗議行動では、夕方、労働者がテキパキと大きな白い幕を用意して、住友大阪セメントの「悪行」を追求する映画を上映する。「連帯労組」の強さ、頼もしさが良くわかる。当該労働者も退院して、無事に新しい会社での仕事を始めることができるのだが、最初は監督から、「頼りなく見えた、ユニオンを脱退するのではないか」と思われていた当該労働者が、強くなっていくところもいい。(こうゆうのを、労働者の自己解放性という!)
会社ぐるみでの「過積載」容認も、「連帯労組」は暴いてゆく。栃木のセメント工場には、車検証に規定された量よりも多くセメントを摘んだ車を「摘発」する。しぶしぶ応じる労働者、彼らも生きてゆくため、「過積載」をしなければならない。(それにしても、名古屋から栃木までセメントを取りに来ていたことには驚いた。名古屋だと、住友大阪セメントでは岐阜工場があるハズ。2009年の住友大阪セメントHPでは、岐阜も栃木も同じ種類のセメントしか作っていない。撮影時は違ったのかもしれないが、何で?)
対応する資本の担当の自信の無さも、「連帯労組」と対照的で、面白い。末端の会社だとヤクザまがいの「労務屋」(ただその下でいっしょに当該を脅している人間もまた、労務屋のところで運送の仕事をしている労働者だそうだ。)だが、元請けや親会社だと、ネクタイをしめた「フツーの」サラリーマンだ。
とにかく、四の五のいわないで、見よう!フツーの仕事がしたい 上映情報によると、しばらくDVD化はないそうだ。また、劇場公開や自主上映会もあちこちで行われる。なお、パンフレットは作成されていないので、売っている関連本、パンフを買おう。私はPOSSE vol.2を購入した。
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コメント
「シノゴノ言わずに見ろ!」、といわれて、「へい!」、と見てきました。
よかったです。
感動とか、構成とか、ストーリーとかそういうことじゃなく。
口数減ります・ね、何か言いたくて言葉捜しましたが、出てこない。
8時、サカイ通りを走って仕事に帰る。
見ている私も、肯定されたような感じがしたんでしょうか、「あ、一人でも多くの人が見ることに、意義がある。」娯楽としてでなく、Kさんが、そのほかの同僚が、生きるために、我々離れたところにいる人間が見ることに、意義がある。
不正を許さぬ労組が力強かったです。人間の心を失わぬ、「仲間」を思いやる労組が、その怒りが、新鮮でした。
勝利もうれしい。
投稿: じゅん | 2009年2月11日 (水) 23時52分