誰が本当の海賊か?
革共同再建協機関紙「未来」第33号(中のほう)より全文引用・・・
ソマリア問題 誰が本当の海賊か ~帝国主義による略奪漁業~
「海賊問題を言うばかりで、外国船によるわれわれの海岸と生活の破壊については何も言わない」-漁民が激しい口調でこう語った。
地元漁民と不法外国船との戦争
1974年と86年の深刻な旱魃で何万もの遊牧民が、ソマリアの海岸に移り住んだ。彼らは沿岸漁業を営む社会を形成していった。
92年のバーレ政権の崩壊と沿岸管理の破綻に乗じて、外国の大型トロール船が、ソマリア海域に不法に侵入し始めた。アフリカの角の先端に沿った大陸棚で、豊富なエビと高価な魚を根こそぎにし、地元漁民の漁場を荒らした。
ここから地元漁民と不法外国船との戦争が始まった。
不法外国船は、カヌーの漁民にたいして、熱湯を浴びせ、網を切り、舟を壊し、漁民を殺した。
これにたいする自衛策として漁民も武装した。ところが、不法外国船は、はるかに高性能な武器で武装し、漁民を圧倒した。地元漁民も、自衛を強化するために、武器を近代化した。
地元漁民と不法外国船との戦争が現在まで続いている。そして、このように武装して抵抗している漁民が海賊のレッテルを張られているのだ。
外国資本の略奪漁業
05年だけで、800隻以上の不法外国船が、年間4億5千万ドル以上の魚をソマリアから持ち去っている。地元漁民への補償もなく、税金や入漁料の支払いもなく、漁業規制や環境規則も無視している。
不法外国船は、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、ロシア、ウクライナ、日本、韓国、台湾、インド、イエメン、エジプトなどの資本が所有するものだ。
EUが魚の繁殖のために漁業水域を閉鎖し、アジアでは乱獲で漁獲高が激減する中で、豊かで無規制で無保護のソマリアの海に、外国資本が殺到している。
外国資本は、自らの犯罪行為を自覚している。
だから、不法に獲った魚を運搬船に移し、そこで合法的に獲った魚と混ぜて、魚ロンダリングを行い、莫大な利益をむさぼっている。
また、外国資本は、ソマリアの軍閥と組んで、インチキな漁業ライセンスを発行する会社をつくって、合法を装おうとしている。
さらに、産業廃棄物や核廃棄物を、ソマリアの海に投棄する犯罪も行われている。
沿岸警備隊が海賊へ転身の説も
内戦下の98年頃、地方有力者が、不法外国船の摘発と罰金の徴収を資金源にするということをはじめた。
これに目をつけたイギリスの軍事顧問会社が、地元有力者と組んで、摘発と徴収を行う沿岸警備隊の創設を手がけた。その後、軍事顧問会社は取り分をめぐって地方有力者と対立し撤収しているが、このとき沿岸警備隊で訓練を受けた者が海賊に転身し、海賊ビジネスをやっているという分析もある。
それも事実だろう。だとしても。外国資本の略奪と破壊に事態の本質があることには変わらない。
帝国主義こそ海賊
ソマリアの海賊行為が騒がれているが、外国資本の犯罪は野放しだ。何十年にもわたる帝国主義による略奪と破壊こそが断罪されなければならない。そればかりか海賊を口実に侵略派兵を競い合うなどということはもってのほかである。
似たような視点の記事が、マル共連に投稿されていたので、遅ればせながら紹介。動画のほうも、ぜひごらん下さい(^^)/
ソマリア沖のもう一つの海賊行為
4月にソマリア沖の海賊による米国商船の船長拉致と米軍による奪還事件が起こり、米国のメディアは海賊の話題でもちきりでした。しかし、ソマリアの漁民をこのような海賊行為に駆り立てている原因はなになのか、深い議論はなされていません。ケニア在住のソマリア人アナリスト、モハメド・アブシール・ワルド氏は、それはソマリア海域で横行するもう一つの海賊行為に対する自衛なのだと言います。
ソマリア沖では長い間、国際社会が話題にしないもう一つの海賊行為が続いていました。ソマリアで内戦と無政府状態がつづいているのをよいことに、ヨーロッパやアラブ諸国をはじめ世界中の漁船がソマリアの海で不法操業し、乱獲によって水産資源を枯らしてしまいました。おまけに、これらの漁船は置き土産として自国の産業廃棄物をソマリア領海に不法投棄して行きました。
ソマリアには、これを取り締まれるような強力な政府がありません。沿岸の住民や漁民たちが抗議しても、外国船は知らん顔です。たまりかねた地元の人々は、とうとう自衛のために立ち上がり、沿岸警備のための全国的な共同組織をつくりました。有志による沿岸警備隊です。この組織が、現在、欧米からは「海賊」と呼ばれている、とワルド氏は言います。
ソマリアの「海賊行為」を終わらせるためには、軍隊を派遣して自国船を護衛するより前に、打つべき対策がたくさんあるようです(中野)。
今日はこれまで・・・
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コメント
昔、馬賊。今、海賊。ですね!帝国主義者の手口です(-.-")凸
投稿: α | 2009年6月10日 (水) 21時33分