高速道路にはそれなりに税金投入をすべきだろう
ずいぶん前のエントリーで、高速道路が安くなる道が切り開かれるとか、
高速道路会社とは本当に民間会社なのだろうか?で民主党の高速道路政策の紹介や高速道路整備・維持管理のあり方に疑問を呈したりした。その後、民主党の政策横取りをした自民党が「高速道路一律千円」の政策を実行し、それじゃー淡路島にでも行こうか?と単純に喜んでいたのであるが(体調が悪くて自力で運転して淡路島行きなんてとってもムリ)、いろいろと弊害も起こっている。
まず、フェリー会社の経営を圧迫しまくった。本四連絡橋の料金がこれまであまりに高すぎたが、千円ということになれば、フェリーよりウンと安いということでフェリー乗車が少なくなる。また、土日に大渋滞する。関西では特に上り宝塚トンネル付近の夕方の渋滞がひどいということで、おそらく四国に讃岐うどんでも食べに行って帰ってくる車が集中しているのだろう。8月6、7日と13、14日も千円均一が拡大されるということなので、13日はなんと宝塚トンネルを先頭に、下りで最大渋滞延長65㎞(だいたい大津の先ぐらい)所要時間は5時間25分というトンデモない渋滞・・・表提速度25㎞/hぐらいじゃん・・・が予想されている。
休日に普通車が増加し、パーキングの大型車が止めるスペースまであふれ、大型車が休憩できない・・・で、全日本トラック協会も国土交通大臣に6月、千円乗り放題の平日の適用を見合わせる、大型車の駐車、休憩スペースが確保できるよう適切な措置を講じるようといった内容の「高速道路の混雑防止に関する要望書」を出している。
その他、ゴールデンウィーク中のJR各社の乗車人員が減ったりして、「なんで環境にやさしい鉄道利用を促進させないで、二酸化炭素削減に逆行する高速道路優遇政策を取るのか!」という意見も出てきている。
「民主党の愚作」ということで、以下の批判コメントも頂戴した。
高速道路を無料にするには、毎年約3兆円の財源が必要といわれる。
毎年3兆円あれば、地球温暖化対策などのもっとまともな政策ができるはず。
無料により乗用車が増加すれば、排ガスの二酸化炭素の増加により地球温暖化を加速させるはず。
高速道路を使わない人の税金を投入してはならない。現状の受益者負担が最良である。
税金で運営するということは、国営と同等でありJRをかつての国鉄に逆戻りさせるようなものである。
左翼政党・社民党と連立を組む社会主義的な民主党の考える社会主義政策であり、決して容認できない。
二酸化炭素・地球温暖化について私は異論があるので
(こちら参照、そのうちやりますわ)
>現状の受益者負担が最良 かどうか、述べてみたい。
と、いうより、今の高速道路のあり方・有料道路制度って、ホントに受益者負担なの
批判コメントを書かれた方のお年はいくつぐらいなのか見当もつかないが、かつて80年代~90年代初めごろまで、週刊プレイボーイという雑誌があった(今でもあるか・・・^^)、そんな雑誌でよくやってた特集記事が「バカ高高速道路」批判・・・まあ、「料金プール制」の下、建設省(当時)の官僚が天下る道路公団が非効率的な経営をして、不採算な高速道路をドンドン作るから、一番最初に名神高速道路や東名高速道路を作った時に「30年で償還して、無料になる・・・」どころか料金だけはドンドン上がる・・・ちゃんと税金を投入せい!というようなキャンペーンだったように記憶している。
純粋な「受益者負担」という考え方からすれば、名神高速道路しか利用しない人から見れば、中国道の費用をなんで負担せねばならないのか?という疑問がわくハズだ。
逆に、高速道路の受益というものを考えると、例えば高速道路整備によって遠方の生鮮食料品が大消費地に早く届き、市場が拡大することで生産地と消費地の人間が、個人的に高速道路を利用しようとしまいと利益を得ることができる。私は宅配便で旅行先から土産もんの酒を送ったりするが、これも高速道路網を使って運ばれれば、私が直接高速道路を利用しなくてもその恩恵をうけることができるわけだ。
物のやりとりのみに関して言えば、それを利用する人が高速道路料金を価格に転嫁することで「受益者負担」の原則が成り立つが、生産地と消費地の利益の関係で見ると、外部経済という効果が期待できるから、高速道路を利用しない人も恩恵をうけるわけだ。(このへんの言い草は、まさに道路族議員や国土交通省といっしょですなぁ~)
外部経済の例をもうひとつ挙げると、高速道路を利用する自動車がいることで、一般道の渋滞が緩和されている・・・てか、高速道路が通行止めになって、一般道路が渋滞した様を想像してみれば一目瞭然でしょ。利用しない人も何らかの恩恵を受けているわけだ。
ところで、日本は民鉄の経営が旨く行く環境にあったせいか、「受益者負担」原則ありきで公共交通や道路整備が行われてきた。しかし本来は、これら基本的に生活に必要なインフラにはなんらかの形で税金が投入されるべきである。なんでもかんでも受益者負担、運賃・料金で採算とれ~の世界だから、鉄道も高速道路も高い・・・作ってみたけど、料金が高くて(新しい路線だと建設費もそれなりにかさむという問題もあるのだが)利用者が増えない・・・赤字がかさんでどうしようもない・・・本四連絡橋なんて、まさにそうでしょ。旧国鉄だって、首都圏の殺人的ラッシュ対策や新幹線建設等をすべて自前、かつ政策的に安い運賃で独立採算でやれーということで、赤字が出ても単年度で税金による補填をせず、借金に借金を重ねて巨額の国民負担を残したわけだ。
この独立採算・受益者負担絶対主義の風土のもと、小泉改革が行われた・・・道路公団や郵便局を「民営化」したことをはじめ、障害者自立支援とは名ばかり、「応能負担」から「応益負担」へ切り替え(障害が重く収入が少なくならざるを得ない人が、より多くの「益」を必要とするのに・・・)社会福祉は切り捨てられ、セイフティーネットは破壊される「新自由主義政策」をより押しすすめ、労働者民衆の生活はより圧迫されている・・・このような状態の中から「民主党政権」が望まれるとしたら、ある程度新自由主義政策からの「ゆり戻し」政策が採られるのは必然であり、ブルジョワ社会の安定を願うならば、
>左翼政党・社民党と連立を組む社会主義的な民主党の考える社会主義政策(このへんはオイオイだなぁ)
を容認せざるを得ないだろう。
で、民主党のマニュフェストである。(鳩山のデカイ顔があるので、注意して開けましょう)11ページ目
高速道路の原則無料化が、必要な財源1.3兆円・・・
自動車諸税の暫定税率廃止、必要な財源2.5兆円・・・
お、「暫定税率」を本税率に変え・・・ようするに自動車関連に必要な税金に戻す「受益者負担」ですな・・・こーゆのが「政治」でしょ)、無料化の範囲をしぼる・・・大都市は料金を引き下げつつ、有料。本四は橋梁の維持管理費がかかることも含め、フェリー会社と適正な競争を行わせる程度の料金設定)すれば、「原則無料化」なんてカンタンじゃん、いっちょ上がり~
まあ、高速道路を含めた道路整備については、また別途述べる。
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