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構造的沖縄差別

沖縄の米軍基地問題を考える上で、大切なこと…それは先日の普天間基地即時撤去 緊急集会先日の集会で、新崎盛暉さんが述べた「構造的沖縄差別」の問題である。
さかのぼること400年、薩摩藩は琉球王国を侵略した。日本が近代化するにあたり、明治維新によって成立した政府は、一方的に琉球王国を琉球藩とし、1879年にはこれを軍隊・警察の力も背景に琉球藩を廃止・沖縄県とした。これを「琉球処分」と言う。
 沖縄県設置後、旧慣温存政策が取られた。これは清国との帰属・国境画定問題もあって、沖縄での「内乱」は避けたい日本政府が、琉球王国の旧支配層への懐柔政策であったのだが、土地・租税の制度や、宮古・八重山では人頭税も残るなど、資本主義的発展から疎外された上で、日本帝国に同化させられることになる。
で、対米戦争で日本が負けそうになって、天皇制も危うい!というときに、沖縄戦で時間をかせぎ、民衆を巻き込んで多大な犠牲が払われた…普天間基地はこの時、対九州攻撃用として沖縄の民衆が戦場からに避難している間に作られたのが始まり。戦後、琉球諸島の米軍による軍事占領の継続を望むという「天皇メッセージ」もあり、米軍の軍事占領が続くことになる。サンフランシスコ講和条約締結によって、沖縄を切り離して引き続き米軍占領下に置くことで、日本は「独立」を果たした。同時に日米安全保障条約(旧安保条約)が締結され、引き続きアメリカは日本に基地を置くことができるようになったが、やはり相手は「主権国家」である。日本「本土」では、砂川を初めとする安保・基地反対闘争も巻き起こり、相手国の制約にかかわらず、民衆の権利をいくらでも抑え続けることができる軍事支配下の沖縄で、米軍基地の拡張が続く。普天間基地の滑走路が2300mに改修されたのが、1953年。海兵隊に移管されたのが1960年で、岐阜県や山梨県で朝鮮半島をにらんでいた海兵隊がやって来た。60年の現安保条約改定までに、「本土」の基地、特に地上戦闘部隊が整理され、面積は半分になったが、沖縄では倍増…これを新崎さんは第一段階の基地しわ寄せと呼んでいる。
 さて、ベトナム戦争が激しくなって、在日米軍基地からドンドンとベトナムに出撃していくことになる。しかし「主権国家」日本とのタテマエ論では、「本土」の基地から出撃するのは「事前協議」の対象となる。だから一旦沖縄に「移動」して出撃するということをやっていたそうだ。B52爆撃機もグアムから台風避難を口実に嘉手納に移動してきて、北爆を繰り返す。これが1968年11月19日に墜落し爆発するという大事故を起こし、沖縄ではB52撤去を求めるゼネスト決行寸前まで闘いが起こる。このような闘いが起こるようでは、とても米軍の沖縄支配は持たない(ベトナムでも負け続けていたし)だからアメリカは施政権を日本に返還して、基地をそのまま維持し続けさせることにしたのだ。 
 施政権が72年に「返還」されても、米軍基地はそのまま…「本土」の基地は75年ごろまで60年代の半分に縮小し、安保・基地が見えなくなる。在日米軍基地(専用施設)面積の変遷はこちらいつしか日本の民衆も沖縄に基地があって当たり前と思うようになる…日本国憲法の「非軍事」と日米安保の「軍事」との矛盾を、異なる文化・歴史を持つ沖縄「植民地」に押し付けてきた。
 だから、普天間基地の「代替施設」が沖縄にできることも、日米同盟のために、沖縄に犠牲になってもらうのも当然だと思ってきた。政府が下地島や伊江島に一所懸命「代替施設」を探すのは何なの?

基地建設反対闘争は、日米安保・日米同盟に対する闘いであるのみならず、「普天間基地はいらない、今すぐ出て行け」という、そこに住む人間として当たり前のことを決定し、実現する…このことを否定する日本政府とは、さらに日本の民衆は何なのか?ということを、問わなければならない。

「革命的左翼」とやらの側にも問題があって、一度切り捨てた沖縄を「奪還」するだとか、「解放」するだとかは、非常におこがましい考えである。「自己決定権支持」…これでなければならなかったし、また現在もそうである。

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コメント

いよいよ辺野古選挙だね。

投稿: 辺野古選挙 | 2010年1月23日 (土) 17時28分

名護の建設業者が、すごいらしい。期日前投票だ。公明党も顔負けで、どんどん行かせているらしい。ニュースでは、投票所の隣で集会を開いて、次々に、投票に連れて行くようだ。どこも、土木建設が、公共事業にたかる形で、生活の為として、基地建設、空港建設、ダム建設推進などをしている。この問題も、直視しなければいけない。確かに、沖縄差別はある。だが、地方と都市の問題、また、公共事業でつる問題なども、一緒にある。この点では、地方、東北も、北海道も、岩手も、同じ中身を持つ。
沖縄差別と言うことと共に、是非、そう言う点を考えて欲しい。新崎さんには、そんな話はあったんだろうか?
そう考えれば、土木・建設業界の労組カンナマらの活躍の場になり、三里塚の連帯の場にもなる。ようだが。

投稿: 辺野古選挙 | 2010年1月23日 (土) 17時43分

辺野古選挙さんコメントありがとうございます。
>どこも、土木建設が、公共事業にたかる形で、生活の為として、基地建設、空港建設、ダム建設推進などをしている。この問題も、直視しなければいけない。
名護市なんかの場合、基地建設にからんでの「北部振興策」1000億円という問題もありますね。地方の共通する問題もありますが、そこに沖縄に対して「基地負担の迷惑料」としての公共事業と金→そこに依存させられる経済→ ますます基地や公共事業に依存という連鎖があり、その連鎖がよりギリギリ続くことも構造的差別の一貫だと思います。

投稿: GO@あるみさん | 2010年1月23日 (土) 21時59分

そうじゃなく、公共事業・基地に反対する公共事業の労働者、基地労働者の取り組みでしょう。団結と闘いですね。昔は、「解雇反対、基地撤去」などともいわれましたが、それを言えるかでしょうよ。辺野古の建設労働者の団結の組織化は、その点で、大事です。全駐労も同じです。まあ、建設労働者の闘いが出来たら、と思いますが、夢ですか。

投稿: 辺野古選挙 | 2010年1月24日 (日) 12時29分

今日投開票です。産経ニュースにいい写真があります。

投稿: 辺野古選挙 | 2010年1月24日 (日) 12時36分

2010名護市長選
名護市長選 辺野古移設反対の稲嶺進氏が当選確実 2010年1月24日
 【名護】任期満了に伴う名護市長選は24日投開票され、元市教育長で新人の稲嶺進氏(64)=無所属、社民、共産、民主、社大、そうぞう、国民新推薦=が現職の島袋吉和氏(63)=自民、公明支持=を破り、当選を確実にした。
 米軍普天間飛行場の移設問題を最大の争点にした今選挙で、県外・国外移設を訴える稲嶺氏が当選を確実にしたことで、辺野古移設はより困難な情勢となった。政府の移設候補先決定にも大きな影響を与えそうだ。【琉球新報電子版】
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すごいね。

投稿: 辺野古選挙 | 2010年1月24日 (日) 22時53分

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