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映画「CATERPILLAR」見たぞ

若松孝二監督の映画「CATERPILLAR」を見てきた。
購入したパンフ(というか本…1000円)の帯には「忘れるな、これが戦争だ」と書かれている。
001
小さな村からも出征兵士が送られている中、中国戦線から黒川久蔵(大西信満…「実録・連合赤軍」で坂東國男を演じた人)が、四肢と声を失って戻ってきた。それを受け入れられない妻のシゲ子(寺島しのぶ…ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞)が家を飛び出し、代かきの終わった田んぼに駆け込むところから始まる。(いや、本当は中国戦線で作戦中、炎の中で婦女子を強姦しているシーンから始まるのだが)
 久蔵は「敵地陥落の突破口を開かん」として奮戦し、四肢を失うも生還したことで、勲章をもらい、「生ける軍神」としての栄誉が与えられる。四肢を失った久蔵に軍服を着せ、村の神社で村長らが村人の前で「軍神様」を祭り上げ「万歳」を唱えるシーンがある。国防婦人会の人たち…もちろん同じ村人なのだが…障害を得た久蔵をみんなで支えようという、お気楽な村落共同体はここには存在せず、シゲ子に「帝国軍人の妻の鑑」として、貞節を守り、久蔵の世話を続けることを求め、シゲ子もまたそれに応えようと「努力」する。
 外向きには「軍神の妻」でも、家の中では大変な介護生活が続いている。もっともそれが坦々と続くことで、介護が大変で意思の疎通がほとんどできないということを除けば、当時で普通の夫婦二人の家庭生活になっている。久蔵は「食べて、寝」ること、そして過去の武勲を確認することだけしかできないが、性生活は可能だった。出征前は、毎日のように妻を求め、暴力的に妻をおさえつける男であったが、「軍神」生活後、その立場が逆転していることに、いつしか気づく。妻を殴って押さえつけることが、できないのだ。 
 戦局の悪化で、食べる物も少なくなり(もっとも「軍神様」のため、卵を差し入れてもらえるなどのちょっぴりの「恩恵」はあったが)、停電の中、ランプの炎で食事…その炎の中に、久蔵はかつて中国で行った「強姦」の罪の意識にさいなまれるようになる。だが意志の疎通ができないので(鉛筆を口に咥えて「ヤリタイ」と紙に書くシーンはあるが)その苦悩は妻には伝わらない。柱に自ら頭をぶつけ、血まみれになる久蔵を見て、シゲ子は泣き笑いする。
 
 やがて敗戦となり、シゲ子には解放感が訪れるが、久蔵の苦悩は伝わらないまま終わる…知らないでよかったのだろうか?
 色んな見方、解釈のできる映画であるが、「戦争」でやったことをちゃんと伝わっていない、伝えていないではないか!という若松監督のメッセージが込められているように、私は見た。

暗い画面が多い、夏の緑の季節でも、なんとなく重苦しい映像が続く。戦争中、村の中で「精神障害」を演じていた男が着ている、赤い襦袢が印象的だった。

なお「CATERPILLAR」とは手元の辞書によると、毛虫、芋虫、欲張り;無限軌道 とある。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

>戦争」でやったことをちゃんと伝わっていない、伝えていないではないか!という若松監督のメッセージが込められているように、私は見た。

やっていない事や、有りもしなかった強制連行だの従軍慰安婦だのを喚き散らす奴は大勢いるのにな。

>なお「CATERPILLAR」とは手元の辞書によると、毛虫、芋虫、欲張り;無限軌道 とある。

江戸川乱歩って知ってる?

投稿: 核武装論者 | 2010年8月30日 (月) 22時11分

>やっていない事や、有りもしなかった強制連行だの従軍慰安婦だのを喚き散らす奴は大勢いるのにな。
有りもしなかったかどうか、きちんと当時を知る人に語ってもらわないとイカンですな。
>江戸川乱歩って知ってる?
戦犯天皇ほどではないが、文学方面についてはうといので、教えていただければ幸いです(^^)/

投稿: GO@あるみさん | 2010年8月31日 (火) 21時32分

>きちんと当時を知る人に語ってもらわないとイカンですな。

慰安婦絡みの朝鮮人にしろ集団自決騒動の沖縄人にしろ、前面に出て声高に証言したがるのは金目当ての嘘つきばかりですわなw

>戦犯天皇ほどではないが、文学方面についてはうといので、

お前のほうが文学に詳しいということかな?w

投稿: 核武装論者 | 2010年9月 1日 (水) 05時54分

「CATERPILLAR」の話は、かって聞いたことがある。確かに、戦争の被害・加害問題が、重要でしょう。同時に、障害者の生き様を考えさせられた。食欲、性欲など、生きる意欲に考えさせられた。すごいと思った。
高齢者問題がある中で、小便を垂れ流したり、おもつをしたり、など、当たり前の世の中であってほしい。そうしても生きる意欲を持っていける世の中であってほしい。ともすると、大便小便を漏らしたり、そんな姿を嫌がったり、など有ると思うが。高齢者だけではない。子供の育児についてもだな。

投稿: 芋虫 | 2010年9月 4日 (土) 11時31分

傷痍軍人の須永中尉を夫に持つ時子には、奇妙な嗜好があった。それは、戦争で両手両足、聴覚、味覚といった五感のほとんどを失い、視覚と触覚のみが無事な夫を虐げて快感を得るというものだった。夫は何をされてもまるで芋虫のように無抵抗であり、また、夫のその醜い姿と五体満足な己の対比を否応にも感ぜられ、彼女の嗜虐心は尚更高ぶるのだった。

ある時、時子は夫が僅かに持ちうる外部との接続器官である眼が、余りにも純粋であることを恐れ、その眼を潰してしまう。悶え苦しむ夫を見て彼女は自分の過ちを悔い、夫の身体に「ユルシテ」と指で書いて謝罪する。

間もなく、須永中尉は失踪する。時子は大家である鷲尾少将と共に夫を捜し、「ユルス」との走り書きを発見する。その後、庭を捜索していた彼女たちは、庭に口を開けていた古井戸に何かが落ちた音を聞いたのだった…。

投稿: 芋虫の話 | 2010年9月 5日 (日) 16時07分

>慰安婦絡みの朝鮮人にしろ集団自決騒動の沖縄人にしろ、前>面に出て声高に証言したがるのは金目当ての嘘つきばかりで>すわなw

くだらない書き込みがあったのでちょこっと書きますね。

慰安婦問題がどれほどの長さで闘われてきたか知らない人間の戯言と捨て置こうかとも思ったが、日本政府の謝罪無しで金だけ払うと言い出した右派の提案を蹴って、20年以上ということだけは言っておく。

沖縄の集団自決というより集団強制死については、倍賞請求という形の運動があったなどと聞いたことが無い。
やったほうがええと思うけどね。

投稿: 基大 | 2010年9月 6日 (月) 19時02分

日韓基本条約締結で全て解決済み。
慰安婦個人に賠償しますといった日本側の申し出を断り、全額寄越せ、こっちで分配するからといいながら全部がめたのは韓国政府。慰安婦が金要求する相手は自国政府。

>慰安婦問題がどれほどの長さで闘われてきたか知らない人間の戯言と

事実関係から目を逸らして金寄越せ金寄越せと繰り返す浅ましい人間の戯言
だよ、強制連行だの従軍慰安婦だのと喚いているのは。

投稿: 核武装論者 | 2010年9月 7日 (火) 09時11分

>慰安婦個人に賠償しますといった日本側の申し出を断り、全額寄越せ、こっちで分配するからといいながら全部がめたのは韓国政府。

全くの大嘘ですね。
そして脇が甘い。

沖縄返還がきっかけで世に出てきた問題だぞ、「日韓基本条約締結」はいつだったのかな?ちゃんと調べてから言いいなさいね。

だいたいこの件では個別の問題を両国政府が全く無視したのが問題なのに、妙な作り話彼方の値打ちを下げるだけた。

核武装論を唱える人の中身が改めてよく解るね。

投稿: 基大 | 2010年9月 8日 (水) 00時33分

ブラックジャックなどには、四肢を奪われた人々など、たくさん出てきます。事故、交通事故、病気など様々です。戦争の話は出てきたかな?どろろでは、まさに戦争です。
漫画と実写は、全く違いますが。主題は同じです。手塚治虫は、漫画でですが、そういう四肢を奪われた人々を、大切にします。とともに、その人たちのがんばりを大切にします。そんな感じですな。キャタピラーから、江戸川乱歩、手塚治虫という流れでした。

投稿: 手塚治虫 | 2010年9月15日 (水) 09時26分

手塚治虫さんコメントありがとうございます。
漫画表現といえば、四肢を奪われた軍人の描写として「はだしのゲン」の最初のほうに出てきた話がありますね。
長男が海軍に志願すると言い出した時に父親が、海軍に志願した親類が、目がつぶれ、手足がもがれた「芋虫のような姿」になって帰ってきたことを話ながら反対するところがありました。包帯でぐるぐる巻きにされたその姿の描写、およびその周りで万歳を叫ぶ「共同体」の人たち、それとは裏腹な悲惨な生活…わずか数コマですが、当時軍艦のプラモなんか作っていた小学生の私にも衝撃的なものでした。「戦争なんて、かっこいいもんじゃないぞ…」と。

あ、ちなみに「どろろ」ですが、妻夫木・柴崎コンビでの映画、見ました。よかったですよ。

投稿: GO@あるみさん | 2010年9月15日 (水) 23時09分

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