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そこに暮らす民衆が出てこない「領土問題」なぞ粉砕の対象だ

人様のブログのコメント欄への書き込みをとりまとめて記事にする安直な企画(適宜削除・修正・追記・リンク追加しましたのでコメントそのものではありません)
プレカリアートさんの尖閣諸島は沖縄人のものだ記事に対するもの。

釣魚台(尖閣諸島)と大東諸島の「開発」を「ゴールドラッシュ」とする指摘は、的確だと思います。その上で、海洋がどのように使われていたか?ということですね。清国の支配が及んでいなくても、台湾や中国福建省あたりの「海民」が漁場として使っていたかもしれない。井上清の「尖閣」列島---釣魚諸島の史的解明を紹介するサイトにおいて、例えば石垣島の人たちが釣魚台とかのことをイーグンクバシマと漠然とした呼び方でしか読んでいない…すなわち重要視されていなかった…だからこそ「尖閣」なんぞという外国人がつけた島名が領有後につけられたわけです。
領有宣言そのものが日清戦争のドサクサ…清国の負けが見えて、まあ清国も文句がいえんだろうという時期…であったことも含め、外務省の「清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上」という文言も、文書の破棄や捏造(例えば対朝鮮侵略において、江華島事件における軍艦雲揚の艦長の帰国後スグの報告書と、10日たった後の報告書が違う…10日後の報告書に「飲料水を求めに行ったら砲撃をうけた」という内容にされていたことが「現代日本の歴史認識」中塚明 高文研 2007年5月第一刷 で紹介されています)が「得意」な日本帝国主義ですから、どれだけ信用できるのやら…

その上で、日本の世論の主流があくまでも「領土や権益を守れ」の視点だけなんですね。そこで暮らしを立てる人の観点から全然考えていない。25日のNHKのニュースを見ていましたら、石垣島の「安心して漁に出れない」という漁民の声が出ていました。おそらく中国や台湾の漁民も、同じようなことを考えているでしょう。こういった視点の報道…領土問題やナショナリズムをあおるのではなく、民衆目線で解決策を考えること…がもっと必要でしょう。

土佐高知さんの中国政府に猛省を求める!につけたコメント

領有権とかの問題になると、すぐ熱くなってドンパチとか「強い態度」をとかいう世論の状況ですが、そこで漁をしたりする民衆の視点が少ないことが気になります。
土曜日のNHKのニュースでは石垣島の漁民が「安心して漁にいけない」というようなコメントが出ていました。おそらく中国や台湾の漁民にとってもそうでしょう。
 
で、これと平行して、先島諸島に陸上自衛隊を増派する構想(2万人)も具体化しつつあるわけですが(「領海侵犯」を問題にするなら、海保の充実もしくは海上自衛隊…対米従属をやめた上での話しですが…の適切配備でしょ)、ついでに「辺野古基地建設」ですか…島嶼防衛がどれだけ悲惨だったか、「沖縄戦」を知る沖縄の人たちからも、反対の声があがっております。
「島嶼防衛」問題も、民衆の目線に立たず、領土が大事だぁ~、鉱物資源が大事だぁ~という「前世紀の遺物」みたいなものと思います。

(なお、この後にキンピーさんから寄せられたコメントも紹介しておく)

日中漁業協定では、日本のEEZでの操業は実質無許可でできますよ。
領海という問題がありましたが、これを棚上げして(人の住めない無人島自体に価値は無いのですから)周辺国人民への実利を認めていたのです。
日台とも同種の協定は結ばなければなりませんが、尖閣諸島海域は共有化されつつあったのです。
それをぶっ壊したのが今回の中国帝国主義ですから、そういうことを含めて今回の中国の主張は一切認めるわけにはいきません。
あ、もちろん日中漁業協定の成果は、社会主義的な文脈ではなく、消極的姿勢から出てきたものですけど。

ここで結論…そこに暮らす民衆の目線を欠いた「領土問題」なんぞ、粉砕の対象だい
それにしても土佐高知さんとこのコメント欄とか、あるいは漁船衝突受け超党派で議連成立へ、原口氏ら「尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件を受け、原口一博前総務相らが29日、超党派で「国家主権を守るために行動する議員連盟」(仮称)を設立する方針を固め、国会内で午後に準備会合を開いた。」(「琉球新報」)なんかみていると、やっぱり「自国のナショナリズム」に反対していくことって、難しいのだなぁ~と、改めて思う次第である。陸自や海自を先島に覇権したり、日米軍事同盟の対中国向け強化に走ることは、結局中国の軍拡とナショナリズムをあおるだけ…沖縄から米軍基地を追い出して、中国さらには東アジアの軍縮を求めるのが「左翼の臭いがプンプンする」主張になるのだろうな

参考:日中漁業協定については、こちらl

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コメント

 拙ブログ記事の紹介有難うございます。尖閣諸島の問題は、私の職場でも、休憩時間に休憩室のテレビがこのニュースを取り上げるたびに話題になります。
 その同僚の意見などを聞いていて一番感じるのは、(1)中国でのネットの書き込みがさも中国人民全体の世論であるかのように思っている、(2)中国人全員がさも中華思想に凝り固まって中国政府を支持しているように思っている(中国政府=中国人と看做してしまっている)、という事です。
 ネット世論が実際の世論そのものではない事ぐらい、この日本においても、政権交代前の自民党擁護のネットウヨクの書き込みや、民主党代表選前の小沢信者の書き込みが、決して世論の大勢ではなかった事を冷静に見れば直ぐ分かろうものを。
 それは基本的には中国も同じだと思います。如何にあの国が情報統制されているとは言っても、必ずしも中国人全員が積極的に政府を支持している訳ではない。それは、第二次大戦中の銃後の日本人や、玉砕で死んでいった兵士の本音が、実際どうだったかを考えればよく分かる筈です。今回の事態についても、「また一部のサポーターが騒いでら」と思っている中国人も結構いるのではないか。
 確かに、その一部で騒いでいるサポーターの意見も、世論の流れを一定反映したものである事は認めます。「火の無い所には煙は立ちません」から。しかし、それを恰も国民みんなが排外主義一色に洗脳されているかのように看做し、互いに敵意を煽り立てている日米のネオコン政治家・財界人・軍事利権族や、それをまた格好の国難(奇貨)として覇権主義・国家主義扇動に利用する中国政府の思惑に、騙されてはならないと思います。
 本来そこで生活している人たちの間には、国も国境もなかったのですから。そうであるならば、実際にそこでずっと生活してきた人たちが、今後も平穏に暮らせるにはどうすれば良いかを、まず第一に考えるべきでしょう。しかし、紛争当事者の日・中両国政府も、それを様子見で眺めている米国・台湾・東南アジア諸国の政府も、その一番肝心な「実際の当事者」を脇において、自国の国権拡張(市場拡大)にばかり現を抜かしているのが現状です。そういう意味で、「そこに暮らす民衆が出てこない「領土問題」なぞ粉砕の対象だ」という、この標題の文言は、正にその通りだと思います。

投稿: プレカリアート | 2010年9月30日 (木) 08時39分

あるみさんが最後に紹介しているリンク先をよみましたが、「民衆にゆだねても、解決つかないな~」と思いました。

ホッブズあたりを思い出して、「国家の必要性」を考えてみたり。

投稿: TAMO2 | 2010年9月30日 (木) 11時26分

結構面白い話でしたよね。

投稿: NARUTO BL | 2010年9月30日 (木) 15時12分

昔、台湾の漁師さんたちが水俣に来たときに、出くわした。あちらでも漁場の汚染が深刻で、交流に来たわけです。
 赤銅色に日焼けした漁民どおしの交流が実現したのですが、英語と北京語の通訳者がまいってしまった。「ガラカブって英語で何て言うんだ?」「それは方言だから、カサゴで辞書引いてみて」「載ってないよ」
 台湾の人らは魚の名前を漢字で書いて突き出す。ところがこれもわかんない。魚の名前は方言だの出世魚だのあって、しかも同じ漢字だから同じ魚だとは限らない。
「実物見れば解るだろう」ってんで早々と宴会に移行した。刺身食いながら、魚の大きさを手を広げて説明する。通訳無しで楽しく焼酎ぐびぐび。
 それで近代国家間の領土問題が解決しないかも知れないが、東京と北京の権力者があれこれ言うよりも、漁師さんどうしで話し合ったほうが、とりあえずなんとか落ち着くとは思う。
 翌朝、早起きして浜に行こうと言ってたのに、みんな酔いつぶれて起きてこなかった。夏の思い出。

投稿: かめさん | 2010年10月 1日 (金) 17時57分

リンク先の話ですが、帆船の時代に尖閣諸島まで行って帰ってくると台湾や石垣島からでも往復300km以上はありますから、そうとう足の速い帆船を持っていたとしても往復で2~3日かかると思います。
中国からだと、その倍になりますので、大陸から漁業をしにくる船なんてありえないと思いますよ。
地形を見ても集落が形成するような島ではないので、尖閣諸島の島々はずーっと無人島であった可能性が高いわけですが、その島々が周辺地域に知られていたのは古来より中国南部・琉球・日本列島は一つの地域として存在し、尖閣諸島は南周りの海上ルートに位置するのですから当然でしょうね。
井上清氏の話では海上に吹く風についても言及していますが、風は季節によって逆になりますので、井上氏の仮説(近代以前の話)はかなり外れていると思います。
おそらく近代以前の人々においては大陸からも琉球からも航海の目印としてしか価値の無い島でしょう。
可能性としてあるのは台湾や石垣島の人々に尖閣諸島周辺海域が漁場として使われていた程度です。

投稿: キンピー | 2010年10月 1日 (金) 21時29分

プレカリアートさん、表題に対するお褒めのコメントありがとうございます。「民衆」の視点、あるいはプレカリアートさんが立たれている「人権」の視点がない領土紛争なんてクソくらえですね。また
>それを恰も国民みんなが排外主義一色に洗脳されているかのように看做し、互いに敵意を煽り立てている日米のネオコン政治家・財界人・軍事利権族や、それをまた格好の国難(奇貨)として覇権主義・国家主義扇動に利用する中国政府の思惑に、騙されてはならないと思います。
というところも、心しなければならないと思います。
TAMO2投手、国家という暴力装置から民衆の武装に移行した場合、その衝突は小規模なものとなります(当事者同士は悲惨なことになる可能性はありますが、その悲惨を選ぶかどうかは、当事者が決められます)ホッブスまで膨張したものを制御可能なところに解体するのが「極左」の役割ではないかとも考えてみたりして(^^)
かめさん、水俣と台湾の漁民の交流の話、ありがとうございます。なるほど、魚は食べてみれば分りますね。
キンピーさん、とりあえず革共同両派(あっ、中央派と再建協もということです)は井上清論文に基づく「中国領有論」です。ただあんまり出てこないのですが、台湾の漁民がつかっていたという視点も出しますね。
マル共連BBS再建協議委員会に出ている、超原則的なNKさん(どっちにもくみしていないらしい人)という人の意見のリンクをはりつけておきますね。
http://tree.atbbs.jp/saiken/index.php?n=463

投稿: GO@あるみさん | 2010年10月 1日 (金) 23時02分

あるみ様:

当事者同士でのやり取りの歴史を見るとまさに、「取ったもの勝ち」の歴史のようで、そういう「暴力」を制止するには、より大きな「暴力(国家)」しかなく、それがない場合はやっぱり「取ったもの勝ち」になるしかない、という「野蛮な現実」を改めて認識しました。

リヴァイアサン(国家)を呼び出さずに済む方法って、この場合何ですかね??

投稿: TAMO2 | 2010年10月 1日 (金) 23時21分

一つだけ言えることは、「排他的占有」ってのが、あの辺(竹島;独島あたりも)には相応しくないということ。

なんでこお、「毛唐ルール」に過ぎない国際法を有難がるのかなあ。坂本龍馬、死すべし(爆)。

投稿: TAMO2 | 2010年10月 1日 (金) 23時22分

ん~
またまたリンク先ですが。
中国の文献といっても、存在を示唆したかまさに目印として書かれているわけで、領有ということではないでしょう。
このような見つけたモン勝ちを認めてしまうと、西欧列強は「悪」で東洋列強は「良」ということになりかねません。
当時の台湾が後れた地域であったとしても、その住民(部族)が尖閣諸島周辺海域を漁場として利用していた可能性は多いにあると思いますが、それは石垣島の住民とて同じことであって、現在の帝国主義的国際法の中であっても、彼らへの配慮は必要だと思います。
しかし歴史性に立つのであれば、大陸の国が領有権を主張できる余地など一ミリも無いと思いますけど。

ま、どこの所有であるとかは置いておいて、沖縄と台湾の漁民を第一義的な利用者として、日中台韓朝でこの海域の安定した資源利用の枠組みを作ることがベターだと思いますが。

投稿: キンピー | 2010年10月 2日 (土) 11時39分

たたかうあるみのみなさん!こんにちは「たかしズム」のたかしと申します。
ただいま私のブログでは以下のような「企画」を開催いたしております。
もしお時間がございましたら、是非一度おこしくださってご投票をお願いします。

今年のバカウヨは果たして誰?「輝けネトウヨ大賞!2010」!

さて今年もやってまいりました。恒例の「今年一番の馬鹿」を決定したいと思います。
昨年は年も押し迫ってからの投票でしたので、今回は少し早めにリリースさせていただく
ことに致しました。結果発表は2011年1月10日と致します。
皆さんどしどし投票してください。今回エントリーされたネトウヨは次の四名です。
・latter_autumn
・ぶさよでぃっく
・キンピー
・反売国

ではよろしくお願いを申し上げます。
http://takashichan.seesaa.net/article/168182327.html

投稿: たかし | 2010年11月10日 (水) 20時07分

たかしズムのたかしさんへ
「ぶさよでぃっく」問題を眺めましたが、彼やキンピーさんをネトウヨ扱いして攻撃する理由が全く分りません。まして、人から討論のためにやりとりしたメールの内容を本人の承諾なしに全面開示するやり方は、全く賛成できません。

企画の件については参加しません。

投稿: GO@あるみさん | 2010年11月11日 (木) 22時49分

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