確かに電気って便利だけどねぇ~
私の実家の暖房は、もはや「オール電化」である。
年寄り2人暮らしで、石油ストーブやガスファンヒーターは、やっぱり危ない…というのでもう何年も前から使ってない。暖は電気カーペットとハロゲンヒーターってやつ…。
家は普通の木造モルタル塗りで、断熱材など入ってないからすご~く寒い。
電気カーペットは、一旦座り込んでしまうと、立ち上がれません(ま、炬燵から出られない現象といっしょですな)
電力の大部分は、汽力発電…すなわち、石油・石炭・ウラン燃料から発生する熱で蒸気を発生させ、それでタービンを回して発電する方法である。このときの熱が電気エネルギーに変わるのは30~40%ぐらい…最新の火力発電所だと50%ぐらいいとなるそうだが…水を沸騰させるのは100℃、高圧の水蒸気でもたかだか数百度だが、熱源は1000℃ぐらい、余分に捨てられていく熱がどうしても多くなる。熱エネルギーで作った電力を、また熱エネルギーに変換して使うのは、エネルギー効率から言って、「愚の骨頂」なのだ。(まして熱源に何千℃で規定される核燃料を使うのは、愚の愚である)
それでも電熱をつかうのは
「スイッチ一つで、制御可能」
ということにつきるだろう。ガスや石油ファンヒーターでさえ、スイッチ入れて温度調節するのに、電気を使っている。
「冷房」となるとこれまた絶望的で、温度の低い部屋から、より温度の高い外部へ熱を「移動」させるという、熱力学第二法則もびっくりのことをやるのに、ガスや石油を直接「燃やす」わけにはいかない。電気エネルギーで「ヒートポンプ」を動かすしかない、これが「クーラー」「エアコン」「冷蔵庫」である。(扇風機というのもあるが、これも電気で風を起こすだけ)
発電所等がこわれていなければ、電力は災害時の復旧も早い。阪神大震災にあった友人(私は当時東海地方にいたので、震災にはあっていない)に後で聞いたら「ガスが一番復旧が遅かった」とのこと。ま、地上に出ている線をつなげれば復旧する電力に比べ、地下に埋まっている水道管やガス管をつないで復旧させるのは大変だろう。
産業界でも、電気は大活躍、半導体や精密機械を制御するのに、電力は欠かせない。のみならず「重厚長大」と過去に言われた素材産業でもそうだ。十数年前、急激に円高が進んだ折、鋼橋を作るメーカーさんに行った時のこと…「いやぁ~ガスとか石油とか安くなって、ありがたいでしょう」「いえいえ、実は電力が安くなってありがたいのですよ…それぐらい電気って使います。」ほ~、もちろん「鉄道」も電車が主流だし、非電化区間でも信号・通信に電力は欠かせない。(蒸気機関車+タブレット式の閉塞方式だと、電話通信ぐらいでなんとかなったのだろうが)左翼でよく使うフレーズに「現在の大きな生産力をもってすれば、全ての人が今より短い労働時間で必要なものを賄うことができる」という意味の言葉があるが、その「生産力」は電力の利用によることが大きい。(物資の輸送という面では、内燃機関・・・自動車、船舶、航空機が主流であるが)
しかしそれを良いことに、歴代の日本政府および地域独占にあぐらをかきつつ利潤を独占してきた、東京電力をはじめとする9電力会社は、出力調整の効かない原発(および巨大石炭火力発電所)を建設してきた。深夜に電力が余るから、それを売りつけるため「深夜電力の割引」や「それらを使った「オール電化」を押し進めてきた。
読売新聞WEB
オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増
東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。
この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。東電は、東日本巨大地震後、計画停電をせざるをえない状態で、オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。
東電によると、管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「原子力は発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化の防止につながる。省エネにもなる」とアピールし、電気料金の割引を適用してきたが、急速な普及策が裏目に出た形だ。
「電気で何でもできる」の裏返しは、「電気がなければ、何にもできない」ということ…一つのものに依存するということは、リスク回避、分散のためにも避けたいところである。我が実家は、今のところ「オール電化」にする予定も金もない。風呂・炊事はガスである。ただしご飯は、電気釜(年寄り2人世帯だから、そんなに食べないし)
ま、金があったら、オール電化よりも家の断熱化をしたいところ。
さて、「温暖化対策」ということで、EV(電気自動車)が脚光をあびている。しかしこれも裏を返せば、夜間の電力で充電して使うということで、さらに電気を使わせる政策以外の、何者でもない。
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