常に「被爆者」の存在を必要とする原発…沖縄とからめて
昨日も書いたが、現在必死で福島第一原発の壊滅的事故を食い止めようとしているのは、警察官や消防署、自衛隊の兵士、現場で直接働く下請け、孫請けの労働者である。
実は参加しているMLの中で流れてきた提起なのだが、
「原発労働者、特に危険な作業に従事させられる労働者がどのような人々であるのかに思いを馳せたことはありますか?」
「現在原発の災害復帰に従事している作業員は「逃げる」という選択肢すら奪われています。」というもの(流れてきたML中の文言である。)があった。そう、私たちは放射性物質から「逃げる」選択肢(ただ、それを行使するかどうかは個人の選択でもあるし、経済的その他の理由で逃げることができない人が多いのもまた事実だが)もあるわけで、その中で「原発から漏れた放射線量が〇〇マイクロシーベルト…」とか議論しているわけである。
何も今のような超緊急事態だけではない。原発は時々止めて、3ヶ月ほど「定期検査」を行わないといけないのであるが、その時に大量の労働者を「被爆」させなければならない「現実」がある。
ハローワークの求人にある原発作業員の求人
・整理番号 07120-00584811
・募集職種 作業員(福島第1・第2原発)
・仕事内容 原子力発電所内の定期検査・機械・電気・鍛冶溶接及び足場作業
・雇用形態 正社員以外
・勤務時間 1)08:00~17:00
・給与 日給9,000円~11,000円
a 基本給(月額平均)又は時間額 189,000円~231,000円
b 定額的に支払われる手当
a + b 189,000円~231,000円
c その他の手当等付記事項 皆勤手当 8,000円
・休日・休暇 休日:土 日 祝 週休:毎週 年間休日:113
・応募資格 不問
・スキル・経験 不問
・通勤手当 支給なし
仕事内容を見ると「定期検査・機械・電気・鍛冶溶接及び足場作業」となっている。何か「最新の技術」で動いているような原発だが、今のところ複雑な建物内の構造や配管などを、ロボットによる遠隔操作で行う技術も確立されていない中、人間が直接やらんといけないようになっている。
労働者は放射線量を測定するカウンターをつけて、暑い防護服を着たりして作業するわけだが、カウンターが許容値を超えて鳴り出しても、仕事の段取り上の都合等で離れることができない、というよりカウンターを気にしていては仕事にならないのが現実だ。そして「原発労働者」に国や電力会社が手厚いアフターケアをしているのか?というとそうではない。使い捨て労働力だ。
このように常に「被爆」という犠牲を誰かに、どこかに押し付けながら、電力をあたりまえのように大量に使う社会…何かに似ていないだろうか…?
「安全保障」「日米同盟」は大切と言いながら、米軍基地を押し付けて「あたり前」のようにしていた、本土ー沖縄関係に…
そして「抑止力は方便」と鳩山が言ったように、「沖縄に基地が絶対に必要なわけではない」ことを知ろうとしなかったのと同じように、原発が生み出す厖大な放射性廃棄物の存在、壊滅的な事故の危険性から目をそむけ、「原発は安全」「発電時にCO2を出さないクリーンエネルギー(建設・運転・廃棄…放射性物質を含む…中に厖大な化石燃料を使っている。温暖化対策でCO2を減らすことが必要だとしても、それらに使われる化石燃料で直接発電したほうがなんぼかマシである。)」「自然界にも放射線はある(自然界からうける放射線と、原発から出る「自然界には全く無い放射性物質とはそもそも違う)」などのウソやハッタリを知ろうとせず、あるいは知っていても知らせようとしてこなかった。
沖縄の辺野古浜通信が、上関原発反対運動を取り上げるのは、そういった「誰かに犠牲をおしつける」構造・あり方を問うてきたからでもないだろうか。
「この非常時に、原発問題についてとやかく言うのはどうか、東電や政府の対応を見守ろう」という意見もある中で、やはり今のうちから言っておかねばならない…「人の被爆を前提とした原発なんかいらない」
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コメント
中抜きのピンはねがなければ、作業員には7万円がいきわたることになるらしいです。これだけの給料ならば、被爆する仕事であっても問題はないと思われますがね。
まぁこれは原発だけではありません。派遣や下請けと言った現場から、中抜きピンはねで設けている日本経済の悪い所が、最悪の形で露呈したと言うことでしょう。
これを機に原発だけでなく社会全体でこの構造が治るようになってほしいですね。
>「安全保障」「日米同盟」は大切と言いながら、米軍基地を押し付けて「あたり前」のようにしていた、本土ー沖縄関係に…
米軍を撤退させたフィリピンを見てから言いましょうか。尖閣を南沙のように強奪されても良いと?隣は常識の通用しない国家だと認知した上での発言でしょうか?
また沖縄は基地に対する補助金と基地による雇用や産業によって成り立っていることもお忘れなく。この二つが無くなれば沖縄経済がどうなるか考えてます?
投稿: ROM人 | 2011年3月20日 (日) 09時53分
あるみさん、全くその通り。激しく同意です。原発労働者の被曝については、就業中での白血病の発病等でなければ労災認定すらされません。
私は運送屋で原発に納品もしますが、原発出入り業者に冗談まじりで言われてる事が「正規職員が行かない所には絶対行くな」です。
昔、広瀬隆さんが提起した様に、原発が絶対安全ならば電気の最大消費地に最も近く送電ロスも少ない東京湾に作るべき。田舎に、弱者に、危険物を押し付けながら繁栄を謳歌する今の在り方は絶対に間違ってます。
ROM人さんは意図的に無視してますが、沖縄も今や基地経済に依存してません。
そして、茨城大学人文学部で農業経済学を教えておられる河野直践(こうのなおふみ)先生が、農林水産省の統計から明らかにしたところに因ると、原発立地町村の農業生産額は、全国平均当該県平均に比しても落ち込んでいる。つまり、原発と農業は両立しないんです。
これは原発に限らず、巨大開発に共通です。
原発建設による国からの補助金助成期間はおよそ40年。それも単年度で使いきらねばならない為に、使い道はハコモノや道路建設等に限られる。それらを作れば当然維持経費やら人件費やらがかかります。
農業をはじめとする地域経済が壊され、行政の経費ばかりが増大し、補助金が打ち切られれば更なる巨大開発を欲する様になる。自治体が『もっとチョーダイもっとチョーダイ』になってしまう、これこそが巨大開発の最大の弊害だと思う。
地域の自立、地元住民が自分達の未来を自分達自身で決める事が出来る様にする事、中央政府に頼らない我々の繋がりを如何に創っていくか。
今後の課題です。
投稿: 正太郎 | 2011年3月20日 (日) 17時58分
ROM人さん、ようこそいらっしゃいました。沖縄の基地依存度については、正太郎さんのおっしゃるとおり、今やそれほど大きくなく、むしろ基地の跡地を再開発したほうが経済的にもいいんだ…ということも明らかになっています。
安全保障・抑止力についての考え方はおそらく長々と平行線をたどることになるかと思いますが、少なくとも海兵隊が沖縄にいる必然性はありません。「尖閣諸島」問題については、そちらの立場を尊重しても海保の拡充で成立します(中国側も「魚政」の拡充で対応してくるようです)「抑止力」については、嘉手納の空軍・横須賀の海軍が自衛隊とタッグを組んで協力するという体制が完成しております。
正太郎さん、コメント及び援護ありがとうございます。ROM人さんはアッテンボローさんのところに良く出入りしている方で、私が久しぶりにあちらでコメントしたものですから…今アッテンさんのところで長々コメントのやりあいが行われていますよ。
こ
投稿: あるみさん | 2011年3月21日 (月) 00時21分
ROM人さんより良い指摘がありましたのでチョットだけ(方向違いになるけど)。
下請け日当1万でもピンハネなければ7万、そのとおりなんです。
7万のうち4万も頂ければ下請けで仕事するほうが東電社員より毎月の給与は高い(表面的には)。
しかし東電社員の労務コストは7万/1日よりはるかに高い。
大企業は年金負担なども含めて福祉厚生などの費用などを会社は惜しまない、直接払う給与でなく会社資産に繋がれば良いとして、企業としての納税額も減るし。
高コスト社会の恩恵を受けるのが大企業正社員それ以上に公務員だけど、悲しいことにドロップアウトできない。
ごく最近の事は判らないですが、良くご存知のようにかつては現場の若い大工と年齢が変わらない大卒の現場監督では大工がバリバリのカッコいい新車で若い監督が中古の軽(これはバブルの頃か)。
まあいろいろとありますが僕が望むのは労働者の地位向上よりも低コスト社会です(出来るだけ働きたくないから)。
弱者と連帯とか高福祉社会とかに眉唾なのがそのためには見えない強制労働の匂いです。
投稿: tatu99 | 2011年3月21日 (月) 09時04分
tatu99さん、お久しぶりです。
「中抜き」で暮らす部分があるから、実際に現場で働く人数が少ない…で労働時間も長くなる。みんなで労働をシェアできれば>出来るだけ働きたくない…人の労働時間とかも短くできると思うのですが。中間搾取部分というのも、世の中が変に高度化するとシステムとしてできあがってしまうのですね。そういう制度やあり方もNO!と突きつけましょうか。
投稿: あるみさん | 2011年3月21日 (月) 11時39分
正太郎さん、あるみさん
>沖縄も今や基地経済に依存してません。
まてまてまてw
・基地の地代
・騒音などに対する補助金
・基地での雇用
・米兵およびその家族という消費者
・基地に付随する公共工事
これが一気に消滅すると凄いことになりますってw
沖縄の全企業の所得は800億強。
一方地代だけでも800億円越。
同時に基地に従事している人間だけでなく、米兵やその家族に対する商売も消滅します。
また基地が無くなれば当然国からの交付金も減額されます。
経済の7割以上、数千億円の損失が出るのは明らかです。
跡地の利用?
そんな簡単にポンと経済発展できるなら、サトウキビ畑潰して試しにやってみればいいじゃないですか。
地理的に人が集まり難い、国民自体の低賃金化で旅行関係の需要は絶賛低下中。
そもそも今の現状ですら失業率が日本一の状況で購買力、資金力は脆弱であり、跡地を利用して発展するとはとうてい思えません。
また跡地利用をするには十年以上の歳月は必要と見られ、その間に壊滅した経済の立て直しはできるはずもないでしょうに。
「ここに空港作れば地域活性化できるよ!」といって自滅した地方空港と同じ道を辿るのが予想できますよ。
tatu99さん、あるみさん
そもそも労基が何も動かないのが問題でしょうね。
訴えても忠告だけで終わり罰則がない、サビ残が当たり前とされるおかしい時代です。
警察みたいに点数制にし、また罰則も強化した法案を作らなければ、この状況は脱することができないでしょう。
また新卒神話があるので、一度会社を辞めると人生終了コースになってしまう現状もどうにかしないと。
あとは大博打ですが、ベーシックインカムという手法もあります。
これならば最低限の生活は保障されるので、サビ残などの馬鹿馬鹿しい仕事はすっきり止めることができますしね。
投稿: ROM人 | 2011年3月21日 (月) 19時24分
沖縄の県民総支出に占める軍関係受取の割合は返還当時が15.5%であったのに対し、2005年には5.2%まで減っています。ただし財政収入、観光収入(観光は2005年で10.5%)に続く3番目の位置をしめ、2005年には2006億円となっております。
http://www3.pref.okinawa.jp/site/contents/attach/18010/5sho.pdf
沖縄県の知事公室基地対策課のPDF(18ページ目くらい)基地で働く従業員数は9000人ぐらいで推移、雇用者所得は500億円ぐらいですね。
一方、再開発のほうは、拙ブログ「普天間問題解決を困難にしているじょーしきのよーなもの」
http://tatakauarumi.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-7698.html
にも書いたのですが、
>雑誌「世界」2010年2月号 「基地依存経済」という神話(前泊博盛)より
たとえば、北谷町の米軍ハンビー飛行場(四三ヘクタール)は返還後、雇用が100人(基地従業員)から二二五九人と二三倍に増え、税収は三五七万円(固定資産税)から一億八五〇万円と五二倍に増えている。同じくメイモスカラー射撃訓練場(二三ヘクタール)は、返還前の雇用数は不明ながらはるかにそれをしのぐであろう三五六三人の新規雇用効果を上げ、税収も七四一一万円と三八倍の効果を上げている。(中略)普天間飛行場の返還問題との絡みで米軍再編合意されている嘉手納基地以南の米軍五基地(キャンプ桑江、キャンプ瑞慶欄、普天間飛行場、牧港補給基地、那覇港湾施設)の返還効果について沖縄県が試算した結果は、整備活用による直接経済効果と波及効果は一兆一三四億円、生産誘発額は五三八六億円、所得誘発額は五三八六億円、誘発雇用人数は一三万四七九三人、税収効果は総額一二九五億円となっている。沖縄県は「基地の返還は多額の跡地利用資金を必要とするものの、長期的には財政支出を上回る経済効果と税収が期待できる」との試算結果をまとめている。(p207~p208)
とのことです。
行ってみれば分ると思いますが、沖縄本島中部、南部には人口が集中しています。那覇市の32万人を筆頭に、沖縄市13万人、うるま市12万人、浦添市11万人、宜野湾市9万人、豊見城市6万、糸満市6万と、93万人ぐらいあります。サトウキビ畑のど真ん中にショッピングセンターをつくるわけではありませんよ。
米軍基地の返還・撤去はなにもいっぺんにやるわけではないのですから、再開発事業で雇用と所得を維持しながら(もちろん国からの補助も必要でしょう)行えば、経済も充分成り立ちましょう。観光…特に外国人観光客…について、現在は台湾、韓国、中国等東アジア圏が主ですが、もっと世界にアピールすることも(それは沖縄の人たちにかかっています)必要でしょう。
特に普天間基地は、宜野湾市のど真ん中にあって(真ん中に湖があるようなもの)、住宅は周りの丘陵地にへばりついていますから、良好な住環境を中心とした再開発も急務でしょう。
投稿: あるみさん | 2011年3月22日 (火) 22時59分
ハンビーって確か、バブル時期に返還・開発されてませんでしたっけ?今とは条件が違いすぎますよ。
確かに何も生産性が無い基地から商業施設を作れば長期的に見れば発展する。
それは事実でしょう。
ですが、あくまで十分な資本をぶちこめるという前提があります。
今の日本経済において、それだけの資本を投入できるほど余力があるとは思えませんし、またそれに対して、撤退した米軍分の軍備を投入する必要性があるでしょう。
沖縄を第二のチベットや、尖閣を第二の南紗にしたくなければ。
しかも一部撤去じゃなくて完全撤去となれば当然、ガソリンの値上げも実施されます。
ガソリン税はリッター5~6円程度安いわけで、こいつが無くなると当然生活を直撃します。
こんな中では当然沖縄の市場は現在よりも大きく縮小せざるを得なくなります。
十分な資本を投入すれば、と、十分な資本が投入できるか、とは違うと思いますが。
投稿: ROM人 | 2011年3月22日 (火) 23時55分
まあ、バブル期と同じ発想や、いままでの「成功例」を後追いするような「再開発」ではダメでしょうね。あと、「資本」というか「資金」は、これまで国家が米軍様に出してきた「思いやり予算」基地があればそのまま続くヤツ…を使えばエエわけです。
投稿: あるみさん | 2011年3月23日 (水) 23時10分
思いやり予算?
米軍基地が無くなって中国の脅威が深刻になるんですから、防衛費の増大は目に見えてます。
そんな予算を捻出できるわけないじゃないですか。
投稿: ROM人 | 2011年3月24日 (木) 20時08分