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「安全神話」と「安全の確立」の違い

「鉄道歴史パーク」の新幹線の生みの親と言われる「十河信二記念館」話ついでに、「安全神話」というものについて。
新幹線にも「新幹線安全神話」というのがある。それは開業以来、営業運転での事故で一人の乗客の死者を出していないということをさしているのだが(保線作業中や、駅から中に入り込んだ人が跳ねられるというのはある)、鉄道システムということを考えれば、JR福知山線尼崎脱線事故(2005年、107名死亡)をはじめ、旧国鉄時代に大勢の人が犠牲になる事故が繰り返されている。
十河信二総裁をWikiで調べただけでも、リンクに洞爺丸事故(1954年、犠牲者1430人…海難事故であるが)、桜木町事故(1951年、焼死者106人)、三河島事故(1962年 死者160人)がある。

こういった「事故」を繰り返しながら、その原因はどこか、どいうったシステムに改良・改変すればよいかを繰り返して「安全」というものは確立されていく。ATS…列車移動停止装置…の設置なんかは、三河島事故を受けて前倒しで進められたわけだ。
新幹線は、これまで在来線になかった時速200キロ運転を実施するため、あえて別線を作り、独立したシステムとした…全ての道路と立体交差し、線路内への立ち入りを法律で制限、保線の時間帯と営業運転の時間帯を完全に分ける等…こと、ATC(列車自動制御装置)やCTC(中央列車制御装置)を取り入れ、これまで多くの人の手に頼っていた部分をコンピューター等に行わせることなど、思い切ったことも取り入れられているが、基本的には当時確立していた技術しか使っていない。
今でこそ斬新なN700系、E5系などが走っているが、開業当初の0系スタイルは20年くらい踏襲されていた(国鉄に金が無くて新しい車両を開発したくてもできなかったのだが)。そして不具合があるたび…例えば関が原付近での雪害なんか…少しづつ改良、改善を繰り返していって、今の「死者ゼロ」新幹線技術がある。あえて言うと、これまで多くの人が「犠牲」となって確立された技術群を大規模に集積し、構築したものである。

実は「原発」を成り立たせている技術もそうで、これまでのありとあらゆる確立された技術…それらはこれまでに起こった「普通の」プラントの配管の破断、火災等の事故、震災等によって試されたモノが使われている。逆に、新幹線や原発など、事故を起こした際に多くの犠牲、被害が想定されるものについては、未知の技術は使えないのだ。「れば、たら」は、ゴルフと同様、無いのである。

さて、「確立された安全」がいつしか「安全神話」に変わってしまう。そのメカニズムは置いといて…技術屋さんなら、使われている個々の技術の限界性は、よく知っている(ハズだ)。新幹線も、例えば今回の東日本大震災えは早期地震対策システムにより安全に停止(毎日jp)したが、2006年の中越地震では上越新幹線が脱線しているし、阪神・淡路大震災がもし新幹線の営業時間帯に起こったとしたら、どれだけの事故になって犠牲者が出たか分らない…「新幹線安全神話」なるものも、いつかは「崩れる」ことがある…これを前提に社会のシステムを動かしているわけであり、当然「社会」もそのリスクと便益を比較して、それに乗っかっているわけである。

ところで、「技術の確立」のためには何度も大小さまざまな「事故」を繰り返し、改良・改善を積み重ねていかねばならない。ところが「原発」を総合的に安全運転するための技術を確立するにあたっては、「大事故」を何回もおこすわけにはいかない…逆に、チェルノブイリ・フクシマ級の事故をあと何回か繰り返して初めて「安全」のための技術が確立される。だから「原発」を安全にするには、「原発」事故の「リスク」…20年くらいに一回は、チェルノブイリ・フクシマ級の事故が世界のどこかで起こる(「原発」の数が増えれば、それだけ「事故」のリスクも増える)を認めて、原発の運転を続けるしかない。

で、原発の「便益」…と言っても、お湯を沸かして電気をつくるだけ、今の「安全性」を確保するため「だけ」にも、厖大なエネルギーと手間と被爆労働を必要としている。そして今回のような事故(広範な地域が一遍に破壊され、人間生活あ長期間破壊される…直接の「死者」は「新幹線脱線」のほうが大きいだろうが、そこに人が住めなくなるということは無い)、便益に対して、リスクがあまりにも厖大すぎれば、その「技術」は社会から破棄されて当然である。

破棄されないようにするには…前にも書いたが「放射線(放射性物質)」リスクが小さいことを「証明」するか「信じ込む」しかない。そして両者も、今のところ社会から許容されていない。(原発を進めたい人たちや、放射線医学業界では「許容」されているようだが)

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コメント

本日の東京高裁における現闘本部控訴審闘争で、50名が逮捕される大弾圧があったそうです。

権力の弾圧を、闘争の大爆発へと転化しましょう。

投稿: 神道革新 | 2011年5月20日 (金) 22時17分

原発には大事に至らないまでも事故は多数起きています。
ならばその小さな事故を踏まえての改良は積み重ねられて来たはずです。
また、科学技術全般の進歩により安全のための技術も向上していると思われます。

とすれば、どうなんでしょう。

今すぐ総ての原発を停止出来るのかどうか。
もしそれが不可能ならば、代替エネルギーと省エネの体制が確立して原発なしでもやって行けるようになるまでは原発を利用し続けなければならないのではないでしょうか?

確かに脱原発の方向に向かうべきなんですけど、性急な原発廃止が社会の負担となり、その結果として弱い立場の人達を一層窮地に追い込む事にはならないのか。

確かに既存の火力発電の設備をフル稼働させれば需要は賄えるのかも知れない。
しかしそれは発電コストの上昇→電力料金値上げ→企業収益圧迫→企業倒産&工場海外移転による失業増大或いは人件費抑制→賃下げ&首切りという
好ましくはない結果をもたらすのではないかと怖れるしだいです。

投稿: BM | 2011年5月21日 (土) 13時09分

BMさん、コメントありがとうございます。BM
さんのように考える人も多いと思いますし、現実的には「ソフトランディング」を取る事になると思いますが、あまり「みんなが困らない」場当たり的な解決策をやってていると、いつまでたっても「脱原発」もできないのではないかとも考えております。チェルノブイリの時も「脱原発」のチャンスを逃しました。
環境問題や経済問題は、徹底的に困らないと、根本的な良い解決策が見つからないようです。
あと、技術論的な話として、原発を動かす「個々の技術」は確かに進歩しているでしょう(例えば〇〇金属しか制作できない、シームレスパイプの使用など)しかし、スリーマイルもチェルノブイリも、フクシマも肝心の「多重防護」がことごとくダウンし、大きな事故となりました。この肝心の技術システムが「未完」であれば、致命的なことでしょう。
菅政権は、とりあえず問題となっている「浜岡原発」のみ「停止」させて、その他の原発はとりあえず生かすと考えているようです。
またスリーマイル、チェルノブイリは、天災の影響ではなく、人的ミス的なことで起こっています…ということは、フランスや中国の原発が「明日」ポシャることも有り得るのに、それに対する多重防護の技術が確立していない…「すべての原発を止める」スローガンは、今後世界中で掲げられてきたし、今後も掲げられるでしょう。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: あるみさん | 2011年5月21日 (土) 21時59分

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