どーやってこっそり爆発物を仕掛けるか?
昨日の、うどんを食わないゴルゴ13、第512話へのツッコミ…お仕事関係編です(^^)
中国の「テロリスト」達は、高松で開催される「日・ASEAN交通大臣会議」の情報をキャッチ後、妨害ついでに、米原…おお、だれがモデルかすぐ分る…国土交通大臣暗殺するため、会議場予定箇所、高松空港、そして南備讃瀬戸大橋に時間をかけて小型爆発物ユニットを大量に仕込む「作戦」をとった。
では南備讃瀬戸大橋の下に、どうやって爆発物を仕込んだか?
「楊君がうちのアルバイトに来て、もう1ヶ月か…」「若い人にはなかなか続かない仕事だけど、君が来てくれて本当に助かっているよ。」
橋の点検を、年配の技術者と中国人アルバイト2人で行っているシーン…で、このバイトが「君はこっちを宜しく頼むよ…」と、信頼されているので、毎回一人で橋の下に降りて行き、作業用ネットを張った後に小型爆破物を仕掛けていくという設定なんですが…
確かにこの業界、3Kやら公共事業縮小とやらで、なかなか若い人は来たがりません。人手・人材は不足してます。とはいえ仕事の絶対量が少ない…予算をまわしてくれないから…人が来ても「低賃」でしか雇えません。「中国人アルバイト」も居そうですが、ハイ、ツッコミです。
橋梁の点検は、ぽっとやって来たアルバイト一人でできるもんじゃ、ありません(業界をなめるんじゃねえ
)
点検の際はどこを見て、どんなところに注意するのか、技術的な知識が必要なのです。机上の知識だけでなく、先輩技術者について教わりながら仕事を覚えるのがアタリマエ。そして異常があろうとなかろうと、点検結果を報告書に取りまとめる必要がありますので、大体チームを組んで行います。一人で見てきて、ハイおしまいということは有り得ません。
もちろん、「異常」がないかどうか、ざ~ぁっと見ていくだけの、簡易な点検もあります。しかしそんな点検は、同じ所を1ヶ月もかけて延々とやるものではありません。どんどんやる場所を移動して行きます。よって、目的箇所にネットを何日かかけて張り、少しずつ爆発物をセットしていくのは不可能です。確実に怪しまれます。
次、仕掛けた場所が橋の下で見えない、ネットを「仮に見かけたとしても補修作業か何かだと思うでしょうから…」
という点について…
重要航路の上を通る橋にネットをかける作業自体、関係機関と協議しないとできません
作業をする際に、航行する船舶等への安全が保たれる工法なのか、上から物を落っことす危険性はないか、場合によっては、船の航行しない時間帯しか作業しちゃダメとか、いろいろ条件はつきます。
仮に、こっそりネットを張ったとしても、1ヶ月以上そのネットはあるわけですから、海保なんかが見つけて、関係機関やJRもしくはJBに問い合わせ等、するでしょう。これも確実にバレます。
もし瀬戸大橋をぶっこわしたいのであれば、列車に爆発物を仕掛けるか、上の高速道路でタンクローリーを炎上させるか(鉄ものですので、高温には弱い)、オーソドックスな方法をとるべきでしょうモチロン、実行者が「自爆」というのが一番確実です。
大臣を暗殺したいのであれば、先にゴルゴを雇えばエエわけですな(金がなかったか、コンタクトに失敗したか)
おまけのツッコミ…テロ情報を受けて、西日本一帯の警察から国際犯罪や爆弾テロの精鋭が高松に集められ、対策会議をやってるときのシーン
「上海からの直行便も就航しているんだ!」「街には厖大な数の中国人が居るはずだ!空だけじゃない、海や国内から渡って来るのも考えたらきりがない!」
高松空港へのLCC、春秋航空の就航が4月から予定されていましたが、震災・原発事故の影響で中国の旅行業界が日本への渡航を「自粛」したため、「初便」到着は、6月3日でした。
高松-上海間の定期チャーター便の7月15日運航開始を前に、中国の格安航空会社・春秋航空(上海市)によるプレチャーター便が2日、高松空港に到着した。東日本大震災の影響で就航が延期された同路線の事実上の第1便。上海・浦東国際空港を出発した中国人ツアー客ら約180人が来県し、浜田恵造香川県知事らの熱烈な歓迎を受けた。(以下略)
まあ、漫画の構想は震災前だったのだろうでやむをえないが…直行便が就航したら四国目当ての観光客は来るだろうが「厖大な数」にはならんだろう(いやぁむしろ沢山観光客が来てくれて、お金を落としてくれるのはアリガタイ
)
もし「中国人テロリスト」を警戒するのであれば、合法的に滞在している中国人…留学生なり研修生…にしぼられます。そしてそうゆう人たちは、確実に「入管」が把握しています。「不法滞在者」を危険視する人たちも居るでしょうが、いつ「入管」に見つかって「収容」されるリスクの多い「不法滞在」は、計画的な「テロリスト」はやりません。
と、いうことで「エンターテイメント」にツッコミを入れるのはここまで…しかし「さいとうたかを」、排外主義あおりすぎ。
【追記】そういえば、「中国人アルバイト」がそこに一人でネットを張って爆発物を仕掛けることができるのなら、少なくともその近くまでは直接、人が行くことができる。で、優秀なとび職人を呼んで、簡易に親綱を渡した上で安全帯等で落下を防ぎ、桁下に行くことは可能だろう。その職人に爆発物のコードを切らせればよいわけだ。1000t列車も、ゴルゴの出番もナシ…巡視艇の中で、一人黙々と讃岐うどんを食すゴルゴのシーンで終わることに
あと、優秀な職人さんは、こんなときのためにも大切にしておきましょう。待遇が悪いと人が来ないので、とび職なんかの「技術」も継承されません。それはそれで、重大な問題なのです。
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コメント
良いも悪いも向銭看の中国人が、そんなテロはしませんよ。党や国家は自分の利益のために利用する対象に過ぎません。
真面目な日本人の姿を外国人テロリストに投影し過ぎ。
ってか、ゴルゴの作中人物たちが日本人の考え基準ってのは、昔から言われていたような。
(xx人はそういう発想しない、とかね。)
でもまあ、そんな日本人と考えが近いなあと思うのは、やっぱり韓国人。古き良き(悪しき)日本人に近いと、彼らと仕事で係わりを持つといつも思います。
近いがゆえに、些細な差で違和感を感じ、反発して、場合によっては排外主義になると言う・・・。
投稿: TAMO2 | 2011年6月 6日 (月) 07時57分
>ゴルゴの作中人物たちが日本人の考え基準ってのは、昔から言われていたような。
まあ、原作者もそんなにアチコチ海外取材なんぞ行ってないでしょうし、一つの国民、民族を知ろうと思ったら、それなりに長い時間かけてお付き合いしないとアカンでしょう。
日本人と韓国人…まぁ、言語体系は近いですからね。でも経てきた歴史や、中国からの影響度がまるで違うわけで…
投稿: あるみさん | 2011年6月 7日 (火) 22時28分