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希望は「維新」…か

さて大阪W選挙は、橋下徹氏率いる「大阪維新の会」の圧勝…市長は橋下氏、府知事は松井氏とあいなった。しかし、単純に考えてみれば「自民党」もダメ、「民主党」もダメダメ状態が明らかになった、政権交代2年間の結果をみれば、普通の人がどのような投票行動をとるか…特に市長選は「全党派相乗り」…ではそれら全党派が大阪府政や大阪市制をどれだけ「良く」してくれたのか?どれだけ生活が豊かになるようにしてくれたのか?経済の地盤沈下をどこまで食い止めてくれたのか、セィフティーネットをどれだけ整えてくれたのか?

何もできなった「既成政党」に対し「大阪市をぶっ壊す」維新の構想に期待をかけるのは間違いだろうか?
TAMO2投手はブログ記事橋下徹のブリュ-メル18日で、こんな総括をしている。

結局、失われた20年の不景気に、既存陣営や左派が敗北したということ。有効な展望を示すことが出来なかったからだ。どちらにも関係のある小生も負けたということだ。かなり凹んでいる

橋下の政治手法や思想を「新自由主義」で「ハシズム」だ!と批判することは容易い。今悪い状態を、これ以上悪くなることを防ぐことは大切だという訴えだけでは、閉塞感につつまれた民衆は立ち上がらない。この20年を、どう総括して新しい社会を作るのかという提起は、既存政党の新旧左翼も、全くダメだったわけだ。
もちろん、新左翼の一部勢力は、個別課題を戦いながらも、それを作ろうと動き回っている。しかしその企ては遅すぎ、間に合わなかったのだ。

かつて赤木智弘氏が「論座」で「『丸山眞男』をひっぱたきたい-31歳フリーター・希望は戦争」という論文を発表した。当時、その中身を読んだわけではなかったが、「若い世代に”戦争”を希望させるまで何もできなかった左翼って、何なの」なぜこの青年を「革命」の側に寄せることができなかったのか、つきつけられたと感じたものだ。
003その赤木氏が、なぜ「希望は戦争」を書いたか、その後の反応はどうだったかを取りまとめたものが、今年の5月に文庫になっている。若者を見殺しにする国(朝日文庫)である。
買って読んでみると、「オイ、今の現状なんとかしてくれ!」という、ポストバブル世代の悲鳴と、それをとことん突き詰めて、考えに考えた赤木氏の思考が良く分る。(もちろん、賛同できない部分、?と思う部分もあるが、別に彼になんでもかんでも完璧を求めるわけにもいかんだろう)

彼は「ポストバブル世代」が低賃金の仕事しかありつけず、このままスキル向上の機会も無い「閉塞状況」…その原因を他の世代や中間層による「搾取」と見なし、それを守るのが「平和」なのではないのか?その「権益」は「若者」の犠牲(といっても、ポストバブル世代も「若者」とは言っておられず、より若者や別の「世代」へと犠牲者は増えていっているのだが)によって成り立っている。だから、その構造がガラガラポンになる「戦争」にしか希望を見出せないのだ…と主張する。(もちろん、現代において彼が望むカタストロフとしての戦争はありえないだろう。圧倒的に強い者が、一方的に相手を叩く「戦争」なら、アメリカを始め数少ない国でいつもやっているが)

ではこの「戦争」を「維新」に変えてみたらどうだろう。
「明治維新」でも、暗殺、忙殺、戦争と数多くの血が流された…だが「民主主義」のルールに基づいて「維新」をやるなら、それもエエのではないか。橋下氏の号令の下、「新しい『大阪都』をつくる!」、国家やわけのわからんサヨクとも闘い、勝利する。

多くの人が、賛同するかもしれない。いや、するだろう

あと、「維新」の場合、自分が主体的に「参加」するわけではない。明治維新も結局、鳥羽伏見で多くの「幕府軍」が「勝ち馬に乗る」形で寝返ったから、成立したところがある。土佐高知の雑記帳2011大阪秋の陣を論ずの総括

こんどの選挙では反ハシズム統一戦線とも言うべき幅広共同ができた。
いろいろと反省しなければならないこともあろうが、この経験は次に活きることは間違いない。
の統一戦線なんて、すぐ崩れるだろう(政界再編込みでぶっこわれるとありがたいところもあるのだが、このような”甘い”考えでは、そこから左翼は完全にはじかれるだろう。

スターリン主義でも、第四インターの言う所の「内ゲバ主義」でもない、本当の左翼の理念と運動と世界は、主体が自らの意思で参加することに意義がある。橋下行政より時間も手間もかかる。だが、我々は寄り道をしすぎたのだ。

ま、まとめにはなっていないが、赤木氏の本p264~265に書いてあることをかみ締めてみよう。
 

続いて、社会民主党首の福島みずほのコメントについて。まず彼女が自覚するべきなのは、個人の見解よりも社民党党首としての責任でしょう。(中略)
 1995年ごろ、本来であれば労働市場を調整し、ポストバブル世代が労働者としてまっとうに働けるようにするために、政策をつくらなければならなかった党は、いったいどこの党でしょうか?
当時は、自民党の一党独裁ではなく、すでに連立政権の時代になっていました。そして、自民党と連立を組んでいた政党といえば、新党さきがけともうひとつありましたね。ええ、もちろん日本社会党です。(中略)
 政党としての名前が変わったとはいえ、社会的には社民党が社会党の直系だと認知されています。ですから、現在の社民党党首は、95年当時の若者に対する就業政策の失敗ということについて、まずは謝罪すべき立場ではないのですか?

これは全ての既成政党、左翼諸党派にも投げられた言葉である。

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コメント

小生も記事に同意します。そして、現状を変えるには、一国の政権奪取では余りにも無力であるとも思っています。occupy 運動は、海を隔てつ腕を結ばなければ。

投稿: TAMO2 | 2011年11月29日 (火) 22時34分

まぁ馬鹿が橋下に過剰反応して、よってたかって集結したからなぁw
権益を手放したくない連中をあぶりだしているようで面白かったww


ま、ここから何処まで改革をやれるかですね。
もしもこれで大きな成功へと導けば、次は国政ということになるでしょう。

投稿: ROM人 | 2011年11月30日 (水) 00時48分

今回の件はすべて想定内。多分、一番悩んでいるのは祭り上げられた橋下でしょう。理念も思想もないから。新左翼党派はホントに回り道(というよりは外れている)をしていると思います。路線・戦略が「党派」ではないですから。やはり○○でなければ、人民は信用しませんから。

投稿: 元々中核派 | 2011年12月 1日 (木) 00時57分

>主体が自らの意思で参加することに意義がある。橋下行政より時間も手間もかかる。

時間がかかるというより、いつ起こるのか分からないという方が正確なのではないでしょうか。
世界的にみれば民主化運動や反貧困運動、最近の日本でみれば反・脱原発運動ということになるでしょう。
従来の組織論では対応できないのは明白で、特に先進国では左翼のみならず既存政党が主体になることなく、隊列の末席を汚すに止まることは当然でしょう。

問題はどうするのか?ということですが、私はカオスの中へ個人として流れ込んでいく動きを強める他無いように思っているのですが。。。
まぁ自信を持って言えるまでに至っていません。

投稿: キンピー | 2011年12月 1日 (木) 10時52分

キンピーさん、ご無沙汰です。ご理解はされていると思うのですが、私が言っているのは「革命、変革」のための組織以前の「民主主義一般」論についてかように述べているわけです。トップダウンで、議会も翼賛勢力で固めた「改革」の速度と、「本当の下から積み上げてくる民主主義」による変革では、スピードも、かかわる主体のしんどさも違うということです。「ハシズム」のほうが早いしラクだし、「左翼」は「批判」だけしてれば良い…

とはいえ、「いつ起こるか分らない」という視点は大切ですね。のんびり「党づくり」をやっていては間に合わない。

また「維新の会」も所詮はこれまでと同じ形態の「党」であることには変わりません。これに対抗するのに同じような「党」のぶつかりあいでは、面白くないでしょう。
>私はカオスの中へ個人として流れ込んでいく動きを強める他無いように思っているのですが

カオスは、橋下らが作り出すことになるでしょう。そこに個人があるていど確信をもって「流れ込む」動きをサポートするしくみ(赤木氏も別の意味ですが、闘えと言うならスタートラインに立てるようにしてくれ!と言っています)を協同でつくるのが「左翼」の役割かもしれません。

投稿: あるみさん | 2011年12月 1日 (木) 20時21分

コメントが糞長くなってしまったのでTBさせていただきました。

なお、あるべき社会を考える右翼・左翼からすれば橋下的なモノこそカオスかもしれませんが、カオスこそ現実なのではないでしょうか。

投稿: キンピー | 2011年12月 2日 (金) 02時19分

大阪選挙からは遠くの(地理的にも熱中度も)人間です。
「維新の会」のほうが「希望は戦争」よりも取っつき易い、しかし根底には相通じるものがある、ガラガラポン願望においては同格でしょう。
ダイレクトに「希望は戦争」と言われても戦争の一語には死ぬのはイヤだと拒否反応が強い。
真の意味での日本再生には不当と思える序列主義や既得権者を一掃するガラガラポンしかないのだが戦争以外の言葉が見つからない。
 
現在の若者の微妙な心情など判らないが就活の苦労、その一方に苦学が消え楽学ばかりの世で続いて楽な高報酬労働を期待するのが多数だとしたら違和感がある。
若者が希望の職につく可能性アップには終身雇用否定し労働生産性による給与体系拡大しかないと思う。
しかし若者こそ年功序列と終身雇用を望むゆえに就活に苦労だろうな。
就活をすっきりするにはかつての大企業側による就職指定校制度があるけどマスゴミは一言も言わず就職がが大変な時代とご満悦だ。
(経営側資本家側発想と見做されるだろうけど労働者の敵ならぬライバルは労働者)
 
遠くにあっても心情的にはよく判らないまま橋下支持でありました。
その心は大阪市政の公務員とは労働者を看板にした不当な既得権者であり非効率な仕事で市民生活には負の存在としか映らない。

しかし結果がどう出るか最悪の場合にはノック知事を支持した大阪府民だったしなあとも考える。
政治にしろ労働運動にしろ全員参加や民主主義の掛け声には非効率の正当化つまり固定組織の序列主義拡大の必然がある。
落ちこぼれ心情の人間としてはどのような組織に対しても違和感・不安はあります。

投稿: tatu99 | 2011年12月 2日 (金) 10時57分

tatu99 さんご無沙汰です。
>若者が希望の職につく可能性アップには終身雇用否定し労働生産性による給与体系拡大しかないと思う。
終身雇用否定で労働力の流動化を測るとしても、肝心の「労働する場」がありません。これは「構造改革」による生産性の上昇(供給力の過剰)よりも「需要の減衰」が問題でして、「橋下改革」に期待するのであれば、彼の「ぶっこわし」の過程である程度なんかの「需要」が出てくる、あるいは公共事業程度しか思いつきません。で、「公務員の既得権益」を剥がしても、多分にそんな「財源」は出てこないでしょう。
>政治にしろ労働運動にしろ全員参加や民主主義の掛け声には非効率の正当化つまり固定組織の序列主義拡大の必然がある。
民主主義的にやると、非効率は正当化されますが、固定組織の序列拡大は「民主主義」とは相容れませんよ。

と、クソ真面目に答えてしまう…

投稿: あるみさん | 2011年12月 3日 (土) 18時06分

橋下による維新の会「旋風」は、どう見ても中央政界に余波を送るとは思えない。これには、大阪の特殊事情を知っておかなければならない。一つは帝国主義そのものの存亡の危機があるということと、第二に、大阪の選挙事情がある。前者においては、大阪都構想に付き合ってられないということであり、後者は学会などのことである。80万人にも及ぶ会員の貧困層を掴む勢力と、経済的に浮かばれない若者層がいるのである。このことを理解していない識者がほとんどである。大阪人の長所と短所とがあるが、後者が顕現しているだけでそれが全国に及ぶのであれば、二番煎じもせいぜい頑張ってほしいと思うばかりである。もっと悲惨な状況に若者は叩き込まれるだけである。小賢しい人間には何の関心もない。

投稿: 元々中核派 | 2011年12月 5日 (月) 02時50分

元々中核派さん、分析ありがとうございます。
>橋下による維新の会「旋風」は、どう見ても中央政界に余波を送るとは思えない。
まじめな「政策」で中央政界への「余波」を送ることはできなくても、現在の既存政党不信を敏感感じた「自民・民主」党議員が「当選」のためだけに「維新」にすりよる、あるいは「維新」的な政治手法をとろうとすることは充分あると思います。(当然、民衆にとって良かろうものが出来るわけではありませんが)…これが進展すれば政界再編、すなわち「ハシズム」政党か「旧守派」制等かに再編され、お互いが「帝国主義の危機の乗り切り⇒民衆への矛盾押しつけ」競争をやることになる。それが小泉(橋下)の2番煎じであっても、その被害を蒙る民衆の受け皿としての「党のようなもの」が作れないと、より悲惨が待っているでしょう。

もっとも橋下があっという間に「都構想」を投げ出してしまう可能性も充分あるわけですが。

投稿: あるみさん | 2011年12月 5日 (月) 16時35分

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