橋下「維新」八策批判(その4)…働け働けといってBIを称えるとは
さて、その(5)社会保障制度 の批判となるが、(6)経済政策・雇用政策・税制の「税制」ともかかわってくるので…
(5)社会保障制度
・受益と負担の明確化(世代間格差の是正)
・年度毎のフローでの所得再分配だけでなく、一生を通じてのストックによる所得再分配
・一生涯使い切り型人生モデル
・現行の年金制度は一旦清算=リセット
・年金の積立方式への移行(最低ライン)
・さらに、資産のある人は、まずはその資産で老後の生活を賄ってもらう→掛け捨て方式(ストックでの所得再分配)
・何歳まで努力をしてもらうのか、老後いくらを保障するのかを設定=事前告知→それに合わせた保険料を設定
・保険料は強制徴収(税化)
・リバースモーケージ(所有不動産を担保に年金のような融資を受ける仕組み)の制度化
・持続可能な医療保険制度の確立=混合診療解禁による市場原理メカニズムの導入
・持続可能な生活保護制度の確立=就労義務の徹底
・ベーシックインカム(最低生活保障)制度の検討
ほとんどが現行の「年金制度」の見直しである。ただし、現行の「年金」も実態は若い世代の掛け金を老後世代に払うような賦課方式ではあるが、実は年金として積み立てたお金を「運用」し、その運用益で賄うしくみである。なまじバブル期に金が集まったのをエエことに、しょうもないハコモノやテーマパークを作って「運用」に失敗したことが、年金破綻といわれているシロモノである。とはいえ、ここは複雑で分り難い年金制度をリセットして、(企業年金、共済年金、国民年金云々)誰でも最低限生活を送れるような「年金制度」を作る必要はあるだろう。
実は年金で積み立てているお金は、十兆円ぐらいあるといわれており、当面の制度激変緩和をその十兆でしのぎながら、無理の無い範囲で年金一本化、できれば税金による運営がいいだろう。ただ、強制徴収というのは、現役時代に何らかの理由で「収入の無い人」にとっては、非常に不利になる。しかも賃金格差がうんと広がって、低所得層が増えているのに、働け働け…では保険という名の「貧困罪」への罰金のようなもので、とうてい「社会福祉」とは言えない。
「掛け捨て方式」や「何歳まで努力をしてもらうのか…云々」も、民間会社と個人がそれぞれリスクをとりながらやる方法だ。わざわざ国の政策にする必要はない。こうゆう内容を言っているということは、国(あるいは道州)は、「超最低限年金」しか賄わず、今ある、あるいはこれからの年金財政を民間金融資本に解放するということだ。これに関する批判は、次に行うことにして…
医療や介護等、他の福祉政策は「混合医療の解禁」のみ…なんじゃこりゃ「混合医療の是非」よりも、医師・看護師の不足、待遇改善等が先だろう。特に外科、産科、小児科(後者は少子化対策でも必要だ)の医師不足は深刻だ。介護関係も、介護労働者の待遇改善、介護施設の経営安定という「大目標」を立て、そこにむかって大好きな「マネジメント」をやっていく。いろんな案を出していくのが筋でしょ
極めつけは「持続可能な生活保護制度の確立=就労義務の徹底」を言いながら、「ベーシックインカム(最低生活保障)制度の検討」などと書いていること。「働け働け」と劣悪な労働条件をそのままにして人にムチ打ちながら、BI(ベーシックインカム)…これは働こうが働くまいが、生存に必要な最低限の物を「現金」で保証するという制度…これは既成の「労働観」「生活観」「家庭、人間関係観」や「お金への価値観」をひっくり返す程の可能性を持った政策である。労賃は「労働力」の価格ではなく、「労働」への価格となり(従って今「3K」と呼ばれている仕事はやり手が少ないから、すごく賃金が上がるぞ)「お金は絶対必要」ではなく、必要な時に働けば良い…という社会になる。贅沢をしたければそれこそ金に成る仕事を一杯すれば良い(体を壊さないようにね)
…どうせやるのは「生活保護者」への「就労圧力」による締め付けだけだというのは、目に見えている。
(6)経済政策・雇用政策・税制については、なにやら沢山項目が上がっている。次回の批判前に、項目だけあげておこう。(5)の社会福祉政策と通じるところがあるのも、よく分るだろう。
(6)経済政策・雇用政策・税制 ・新エネルギー、環境、医療、介護などの特定分野に補助金を入れて伸ばそうとするこれまでの成長戦略と一線を画する「既得権と闘う」成長戦略~成長を阻害する要因を徹底して取り除く ・岩盤のように固まった既得権を崩す ・徹底した規制緩和による新規参入、イノペーション ・現在存在する社会インフラの徹底した選択と集中 ・ストックの組み替え=高度成長時代に造られたストックを成熟した国家にふさわしい形へ ・経済活動コストを抑え、国際競争力を強化 ・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大→TPP/FTA ・大きな流れ(円高、海外移転など)に沿った対策=大きな流れを人工的には変えられない ・労働集約型製造業の海外移転は止められない ・貿易収支から所得収支、サービス収支の黒字を狙う ・円高による輸入業の儲けを輸出業の損失へ=円高による為替差損益の調整制度(ソブリンデリバティブ) ・高付加価値製造業の国内拠点化 ・サービス産業の拡大=ボリュームゾーンの雇用創出→IR型リゾートなど ・医療・介護・保育の分野では一方的な税投入による雇用創出をしない=ユーザーの選択に晒す ・産業の淘汰を邪魔しない=産業の過度な保護は禁物 ・人は保護する=徹底した就労支援 ・労働市場の流動化、自由化→衰退産業から成長産業へ、外国人人材の活用 ・教育機関による人材養成=グローバル人材の養成 ・女性労働力の徹底活用 ・フローを制約しない税制=民間でお金を回す(使わせる)税制 ・一生涯使い切り型人生モデル ・資産課税=固定資産税は現金化、死亡時に精算(フローを制約しない) ・使った分(設備投資、給料、消費)は消費税以外は非課税 ・国民総背番号制によるフロー・ストックの完全把握 ・(全商取引の把握=非課税となる要件) ・国民総確定申告制 ・超簡素な税制=フラットタックス ・減免、特措法などは原則廃止 ・夫婦、障害者、事業承継が課題(方策の一例~一定規模の事業で雇用創出をしている場合のみ、事業承継を認める?それとも原則通り一代限り?資産の売却?) ・脱原発依存、新しいエネルギー供給革命
果たしてこれで日本のデフレ不況を乗り切り、民衆の生活が良くなるか
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