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「節電」の矛盾を労働者に押し付けるな!

 原発による電力が0になったが、世の中には「産業界」だけでなくこれをあまり喜んでいない人も多い。mixiなんか見ていても、昨年夏の「節電キャンペーン」で勤務シフトを強制された労働者層に、その気持ちは強い。例えば非国民通信さんの
ブログ家庭だけで済むはずがない-なんかには、このように書かれている。

電力会社だけではなく行政府の公認の元、料金割引というニンジンによって夜間の操業即ち深夜労働へのシフトが推進されるという悪夢のような事態も差し迫った危機として想定されなければならないことでしょう。何せ行政の長があの人(注:橋下大阪市町のこと)ですから、さらなる節電/ピークシフトを促す策として深夜労働の割増賃金撤廃を提唱するとか、深夜労働を増やした企業に報奨金を出すとか、そういう事態だって一概にあり得ないとは言えません。

 確かに現代社会を動かすにあたり、「深夜労働」をする人間も必要で(高速道路の集中工事や、電鉄会社の保線作業ほかいろいろ)であるが、元々人間は昼間働いて、夜寝るように出来ているので、「深夜・夜間の労働」は特別なものとして取り扱われなければならない。賃金の割り増しや、十分な休息の取れるシフト体制などだ。ところで「非国民通信」さんは現在の資本と労働の力関係から、「節電」の矛盾は労働者にしわ寄せが来ると「警告」を続けており、安易な「脱原発」に警鐘を鳴らしている。(もっとも私から見ると、反「脱原発」のために、自らが常々批判しているところの「自分の信じたくないものは信じない」方向に陥っており、原発の持つ問題を掘り下げて考えること…低線量長時間被曝や、内部被曝の影響が分っていない事、別のところで無駄なエネルギーを使っていること等…ができない。また、彼の底流にある「労働力のフェアトレード」(彼自身、そのような言葉を使用しているわけではない…私がそのようにコメントしたので便宜上そう呼ばせてもらう)が成されていないことによって、原発の安い電力が供給されている矛盾を、これまで他の大企業が「労働力のフェアトレード」をしていないことが「無視されていた」ことによって「正当化」している。(彼が「大企業」がまともな賃金を払い、福利厚生や労働条件がちゃんとしていることで、「大企業」を賛美するが、その背景に「大企業」が労働力も含め「フェアトレード」していないことにあることを不問にしている。
 ま、彼を批判するのは簡単だが、「災害は忘れた頃にやってくる」と警鐘をならした寺田虎彦は、関東大震災から12年たった時「いつ来るかもわからない津波の心配よりも、あすの米びつのほうがより現実的である。」と述べている。ことはそんなに簡単ではないわけだ。

ここで草加さんのブログ「旗旗」の「原発0実現」の日に思うことから、、引用しよう。

それにしてもです。とりわけ財界の反応には本当に怒りを感じます。だいたいがこういう人らは、景気が悪くなると、すぐに労働者に犠牲や我慢を要求するくせに、景気がよくなっても、それをすぐに還元するわけにはいかないとか、かわりに雇用を維持する(要するに首切りをしない)からありがたく思えみたいな人たちです。そして今は口をそろえて政府に圧力をかけ、早く再稼動しろ!節電なんてやってられっか!と合唱しているのです。あまつさえ、節電させるなら雇用の維持も難しい(=労働者の首を切るぞ)と。
 ほんとに政府や財界が「痛みをわかちあおう」とか「痛みに耐えて」とか「頑張ろう日本」とか言う同じ口で、経済に悪影響とかなんとか理屈をつけて、いざという時には自分が引き受けるべき痛みまで、全部労働者にツケを回す。あいた口がふさがらん。こんな奴らのマガママを聞いてたら何もできん。「労組のワガママ」とか言う人には、そんなの財界のワガママに比べたら、とるにたらないもんだと言いたい。

そう、資本が労働者に対して全ての矛盾を押し付ける…これに対抗していく運動を造り上げていかなければならない。具体的には、暑い夏季にはフランスのような長期のバカンスが取れ、ベトナムのように昼間は昼寝をする(そのかわり、ベトナム人は早起きだ…もっともグローバリズムと「市場経済化」が進んでそのような習慣が、私が訪れた2000年当時よりも少なくなっているかもしれない。)そして人間らしい暮らしのできる賃金が保証される…ところまでいくのが理想である。当面は「人間らしく生活できるシフト体制を組め!」「節電を理由にした賃金カット、労働強化を許さない」たたかいが、現代の「ほんまもんの左翼」に求められている。「労働組合」に求められている。

震災直後にも書いたが、小泉改革後に続いたとされる空前の「好景気」によって、企業の内部留保は思いっきりたまっている。こうゆうときにこそ財界はこれを吐き出す義務がある。
今年が冷夏になるか、一昨年以上の猛暑になるかは分からない…しかし原発を止め(世界中のエネルギー・資源の本当の節約になる)、人が人らしく生きられるために、暑い闘いはこれからも続くのだ。

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コメント

「呼び捨てされ激怒」の橋下市長に反論 小林よしのり氏「常軌を逸してないか?」
http://www.j-cast.com/2012/05/01130942.html

投稿: | 2012年5月 9日 (水) 10時33分

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