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豊島の産廃処分方法(後編)…「都市鉱山」は成り立つか?

ここで、家櫃港を後にして、一旦宇野へ(豊島と直島を直通するフェリー・船は無い)
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宇野から高速船で直島へ…銅精錬を続けてきたためか、豊島よりも木の元気がない感じ。
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直島の港に「海の駅」があり、そこから町営バスで三菱マテリアルの精錬所へ…ここも事前予約が必要で、バスには私の他、老年夫婦のみ…翌日、豊島に行かれるとのこと。
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狭い島なので、すぐに精錬所の門前へ…運転手さんが手続きを済ませて中にはいる。奥のほうに、「中間処理施設」がある。
写真を撮るヒマもなく、中に入って、ビデオ視聴後、職員さんの案内で見学開始。なお、中間処理施設の内部は撮影可だが、窓の外を撮影するのは不可とのこと。
ここは豊島の産廃の他、直島の一般廃棄物も処分している。ピットに入る特殊トラック
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やっていることは、破砕機で廃棄物を粉砕した後、磁選機で鉄系の溶融不要物と、それ以外のものに分別する。溶融不要物はロータリーキルン炉で熱され、鉄が取り出される。一方、他の廃棄物は回転式表面溶融炉で、1300℃以上の高温で処理される。(写真はその模型)
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燃えカスはいわゆる「スラグ」として取り出される。この中には銅やアルミなどの有用金属が含まれているため、比重選鉱やふるいによる選鉱でそれらが取り出される。スラグは砂の代替品として、県内のコンクリート製品に使われることは、前回書いたとおり。
回転式表面溶融炉や、ロータリーキルン炉から出た廃ガスは、一旦800℃以上に保たれた後(それ以下になるとダイオキシンが再生するおそれがあるため)、冷却、バグフィルターを通り、触媒等で苛性ソーダ等を入れて中和され、排出される。
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三十数名が12時間交代で働く、中央制御室。
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産廃も、これだけ少ないスラグになって出てくる。

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スラグ砂を使って作られたコンクリート製品…基本的に鉄筋の入っていないブロック等の材料となる。

一方、バグフェィルターを通らなかったものは「溶融飛灰」として、三菱マテリアル精錬所の「溶融飛灰再資源化施設」に送られる。また精錬所内には「有価金属リサイクル施設」という、シュレッダーダストからスラグ、有用金属を取り出す施設もある。
今回はこちらもついでに見学させてもらう(もちろん事前予約時に申し込んでおく。なお、直島の施設は見学料は無料)
「有価金属再資源化施設」は、中間処理施設同様、キルンで溶融してスラグや有用メタルを取り出す。有用メタルは銅精錬における電気銅を作る原理で取り出す。(まあ、銅の電気分解ですな)。また、キルンから発生する熱は発電に使い(サーマルリサイクル)、精錬所で使う電力の10%を賄っているそうな。

「溶融飛灰再資源化施設」は、飛灰に水を加えてスラリー状にし、フィルタープレスにかけられ、銅洗練処理施設に原材料として回される。出てくる水は排水処理をして、外に放流される。

本当はもっと細かい工程とかあるのだが、これが「廃棄物をリサイクル」して「有用な金属」を取り出す手法である。ものすごい手間とエネルギーが使われていることを感じた。「何か質問はありませんか?」と言われたので「節電とか今騒がれているけれど、ここでどのくらいのエネルギーを使うのですか?」と聞いてみたら、やっぱり「よくわかりません」とのこと。案内の方も、そんな意地悪(かつ本質的?)な質問が来るとは思っておらず、単に施設内の個々のしくみ等を教わっているだけなんだろうな。

さて、日本はエネルギー源どころか、工業製品の原材料となる資源も少なく、多くを輸入に頼っているのはご存知のとおり…しかしここでやっているような、廃棄物から有用な金属を取り出す「都市鉱山」というものが注目されている。いわば循環型社会をつくる一つの方法でもあるのだが…先ほども書いたとおり、厖大な手間・設備とエネルギーがかかる。「リサイクルだから、循環型社会だから…」といって「地球にやさしい」わけではないのである。現に直島の中間処理施設は、建物はまだまだ持つが設備の耐用年数が15年ほど…豊島の廃棄物処理は新たな廃棄物が見つかって3年ほど延びることになったわけだが、ほんと、ギリギリなんだそうである。
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マテリアルの施設で写真を撮れるのは、玄関のみ…
ここで、豊島を案内してくれた方の言葉…「たかが砂の代用品を作るのに、こんなに手間とお金をかけている。」と…また、豊島でもらったパンフ「豊かさを問うⅡ」のP36に、第16回技術委員会での永田委員長のコメント(2003年7月27日)から引用すると…

循環型社会は、サスティナブル・ソサイアティというのが一番適切ではないかと思っている。我々は、決してリサイクルを目標に循環型社会を作っているのではない。リサイクルはあくまで一つの手段に過ぎない。「大量生産・大量消費・大量リサイクル」というのは、すでに世の中で否定されている。この考え方は、整理しておいたほうがよい。(中略)循環型社会は、エネルギー自然を含めて、可能な限り、供給量や使用量を少なくしていくと同時に、有害物質やその可能性のあるものは原則的に使用しない、どうしても機能を得るために使用しなければならない場合には、循環体系の中で使いこなしていくのが人間の知恵だと思っている。今までのように、出口でなんとかしようという対策ではだめだというのは、世の中の常識と思う。そういう意味で、上流側の対策の重要性は強調されすぎることはない。上流でやることが効果的に機能していくことになると思う。

原発は、循環に乗らない「放射性廃棄物」を生み出す欠陥システムである。だが「脱原発」をやっても、電気が欲しい、太陽光だ、風力だ、火力だぁ~といっても、所詮最後は「廃棄物」となるのだ。そこんとこを見据えておかないと、なんにもならない。エネルギー源が無くなったところに、厖大な廃棄物の山ができるだけなのだから…

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