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「豊島産廃問題」から学ぶこと…あるいは若干の感想

「豊島産廃問題」のあらましを記事にしてきたが、この「闘争」が曲がりなりにも勝利し、県が過ちを認め謝罪、産廃を撤去して元の状態に戻す道筋が整った。新たな産廃が見つかって処分期間の見通しが長くなったこと、破壊された海に自然がもどりつつあるが、跡地をどう利用するかまだ未定なことなど、まだまだ問題は多くある。しかしこの「闘い」をきっかけに、「循環型社会」を目指す機運が高まり、また「行政の無謬性」が裁かれたのである。そして豊島の人々や運動を支えた人々に「二度と同じ過ちをおかさない」決意が芽生えた(残念なことに、産廃の不法投棄や処分場からの汚染事故は後をたたないし、さらに福島第一原発事故というとりかえしのつかないことが起こり、かつ責任をとるべく者どもが「無謬性」のもとで未だに何も刑罰はおろか、反省も謝罪もしていない)

この闘いが「勝利」した理由として
1.敵(相手)がはっきりしていたこと…この場合は業者と県
2.島民が分裂する要素がなかったこと…産廃の運動をしても一文の得にもならないが、産廃業者や県の「味方」をしても得をする者がいなかったこと(産廃業者は暴力的恫喝で島民をおさえつけていたが、兵庫県警に摘発されると「島民を分裂させる」行動はとれなかった。また県も、わざわざ島民を分裂させてまで「行政の無謬性」を押し通す理由や利益はなかった。)
3.環境問題への関心が高まり、支援・支持が広範に得られたこと。またそれを得るための努力を島民が惜しまなかったこと(県内100箇所座談会等)
4.対峙する相手が「国」(あるいは「国策」)ではなかったので、国が県や「産廃業者」をコントロールすることに期待できたこと

が挙げられると思う。特に2.と4.に関して、案内人の方が「沖縄は基地に反対するけれども、基地で利益を受ける人もいる…だから分裂するんだ。」「中坊公平弁護士が『国がうごいたのは、橋本龍太郎首相(当時)のおかげなんだ!』(こうゆう「国家権力そのもの」には尻尾を振る中坊公平弁護士は、あまり尊敬しない)と言った…別の弁護士が『いや島民の皆さんががんばったおかげだと言ってくれたが。」というような話をしてくれた。

 橋本龍太郎は、沖縄の基地問題において、「普天間基地を返還してもらう」と沖縄県民に約束しながら、その舌の根も乾かないうちに「辺野古に代替施設を作る」とした張本人である。その後の自民党(+公明党)政権で、名護市民投票に防衛施設庁(当時)の職員を介入させ、辺野古地元や北部振興で金をばら撒き、住民の「分裂」を図った…ひとえに沖縄に米軍基地を維持することは「国策」だからである。だからなかなか勝てない。

 最大の「国策」と対峙しているのは、やはり三里塚闘争である。闘争初期は多くの農民が反対同盟に結集し、陳情や請願を何度も行っている。「非暴力」で進められていた闘いに機動隊の暴力が差し向けられ、同盟員や支援の多くが負傷、逮捕、投獄される。農業が斜陽化する中、空港公団から「札束による切り崩し」が行われ、一軒、また一軒と土地を売って闘争から離れていく…その中でも、成田市議に反対同盟の北原鉱治氏が、芝山町議に鈴木幸司氏(故鈴木謙太郎さんの父親)が当選している…そして今も、萩原進さんと市東孝雄さんが農地をまもって闘っている。

 「相手が国策でなかった」とはいえ、一文の得にもならない、ただただ美しい島を取り戻したい、子や孫に残したいというあたり前の要求からでてくる「公共心」が闘いの軸であることは、三里塚も豊島も変わらない。市東さんは、百姓の収入の150年分の補償金を積まれても「俺は消費者のために、1本100円の大根を作り続ける!」とそれを撥ね付けたのだ。

 もう一度言うが、決して豊島は「産廃の島」ではない。水の豊かな、緑あふれる静かな島なのだ。
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案内してくれた方は言った「私たちは、闘いなんか好きじゃないんです…」と。

「瀬戸内国際芸術祭」もきっかけに、豊島をはじめ小豆島や直島、男木島、女木島等が「アートの島」として観光客を呼び込もうとしている。少し不便で、お金も時間もかかるかもしれないが、豊島や直島なんかに、遊びに来なイカ

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コメント

失礼します。
今回、豊島の土壌を大津市で処理するのを断念したというニュースを見て、その経緯を調べていましたら、こちらのブログに行き着きました。
直接現地へ訪問されたりと大変勉強になりました。ありがとうございました。
他の投稿もすごく考えさせられることばかりです。これからブログをぜひ拝見させて頂きたいと思います。

投稿: もと | 2012年5月31日 (木) 00時07分

もとさん、訪問およびコメントありがとうございます。少々「過激」で変なブログですが、今後ともよろしくお願いします。

投稿: あるみさん | 2012年5月31日 (木) 23時47分

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