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園子温「希望の国」

 朝から市内のミニシアターでやっているのを観た・・・3・11後を園子温監督が描いたのは「ヒミズ」についで2作目・・・ただしこちらは見ていないので、あくまでも「希望の国」について書く。

 近未来、「長島県」(広島、長崎、福島からもじった架空の県)東方で、M8.3の地震が発生、沿岸の街は津波に襲われ、原発が事故って放射能を撒き散らすというストーリー・・・時間的には、年末11月ごろに災害が発生し、「年越しお笑い番組」を見るシーンで1~2ヶ月程度の話であろう。

 001 ロケーションその他の関係上、地震被害や原発事故そのものの描写は少ない、むしろ「リアリティーが無い」と言ってもいい。(震災後1ヶ月ぐらいなら、遺体の捜索や「原発事故収束」のためごったがえしているハズだから)・・・坦々と「放射能汚染」によって、地域というか、隣人と引き離され、家族もいっしょに住めなくなり、ぎくしゃくしてゆくという点が重点的に描かれている。

 主人公、小野秦彦(夏八木勲)の庭のところで、原発から20㎞の「オフ、リミット」のラインが出来る。実際はそこまでやらんのだろうが、竹矢来のような「アパルトヘイト・ウォール」が出来る。
  小野家は避難区域から外れたが、隣家の清水家は「何が起こっているのか」も知らされず、「3日間かけだから」と強制避難のバスに乗り込まされる。このへんはチェルノブイリの時と同じように「進行」するが、まさか「フクシマ」を経験した後で、こんな情報隠し(実際、ラジオ等では「原発」について一言もふれられていない)のは、???と感じる・・・しかし「安倍政権」が「国民の権利」を制限する憲法改正を成し遂げ、原子力村がこのまま、いやそれ以上に温存されたならば、「さもありなん」というふうに思える。

 映画は、牛を飼っている小野秦彦一家、そこから「将来子どもが出来るから」と「安全」な所に避難したその息子夫婦、そして「強制避難」させられた鈴木家の息子ミツル(清水優)と、恋人で遊びに来ている最中、津波に流された両親を探すヨーコ(梶原ひかり)を軸に進む。
 秦彦とつれあいの智恵子(大谷直子)は、自分たちはここに住み続けるという・・・実際、周辺に人がすまなくなっただけで、普通の暮らしを続ける。一方、「安全」なところに避難した息子、洋一(村上淳)といずみ(神楽坂恵)には「子ども」が出来るが、産院で「母乳からセシウムが出た・・・安全なはずなのに」と聞かされ、「放射能恐怖症」に陥る・・・完全防護服で街を歩く姿は、皆から嘲笑されるが、実は「周囲」も怖いのだ。

 智恵子の「痴呆症」のようなセリフ「もう帰ろう」、秦彦の「あと10分したら」・・・そういった中、避難勧告に自治体の職員がやってきたり、智恵子が強制避難区域内の思い出の地で「盆踊り(雪の積もる中)」をしているところを、秦彦が見つけ、おんぶする・・・という2人の役者の演技は見事である。

 実際の「フクシマ」では、何人もの、秦彦、智恵子、洋一、いずみ、ミツル、ヨーコがさまざまな人生を行き続けているのだろう・・・

 ラストは「将来世代」に希望を残す・・・という形で終わるが、その直前に秦彦夫婦に起こった出来事は、演出として「これをするか!」というものであった。また、最後の希望も、ガイガーカウンターの音で、不安を残す形になっている。園子温はとことん「残酷」である。

それでも世界は美しい

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