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「電力化亡国論」持続可能とは、どうゆうことか?

環境問題を考えるサイトの宣伝もかねたエントリーの最後、「電力化亡国論」(近藤邦明 不知火書房)の宣伝
001まず、地球環境は、太陽から熱エネルギーを受け取り、それで大気、水を循環させて、廃熱を宇宙に放り出す「熱機関」のシステムであるととらえる。低エントロピーの「太陽光」エネルギーを受け、地球という「系」の中で増大したエントロピーを、水、大気の循環によって(もっと詳しくいうと、低エントロピー物質にくっつけて)、宇宙に捨てていることで、地球の「定常性」が保たれているわけだ。これができないと、地球という「系」はエントロピーが段々と高くなって、「熱死」してしまう。なお、地球という系は、物質に関してはほぼ完全に「閉じた系」ではあるが、熱・エントロピーに関しては「定常開放系」ということである。(P175 図40より)これは、物質循環(ただし、宇宙の外には抜けない、物質はなくならない)と大気、水循環で、-23℃の宇宙から太陽光を受け取り、熱放射をして地表温度が15℃に保たれている模式図である。

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地球には動物と植物が居るので、それを入れた循環の図が、P177の図41である。ここでは植物は廃熱を蒸散作用で外に捨て、動物は発汗作用で同様のことをしているが、これは地球全体の大気・水循環に乗っかるものなので、持続可能である。
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では、近代以降の工業生産システムはどうだろうか?地下資源を取り出し、工業生産過程で廃熱、排水を出している。「公害」を出さないようにするには、「汚染物」・・・すなわち廃熱・排水に出来ないものは「廃物」として地上に残ることになる。(廃物を完全に取り除くためには、地下資源等のエネルギーを大量に使用して、”廃熱”の 部分が大きくなる)廃物をきちんと管理し、廃熱を宇宙に捨てることができれば、とりあえず「持続可能」な工業社会が出来るわけだ・・・
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が、世の中そんなに甘くない・・・地下資源はいつか無くなるし、廃物だって捨てるところが無くなる(その一番顕著なのが、「原子力」の利用である・・・最初から「廃物」を捨てるところが無い)そこで、「リサイクル」というものが始められる。P181図43、工業的リサイクル
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しかしこれも、地下資源とエネルギーを使うことには変わらない・・・どころか、リサイクルのために地下資源を余分に使わないとイケナイようだ。
ちなみに、自然エネルギー(太陽光、風力)を発電で使うと、P183の図のようになる。
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「再生可能」「持続可能」などと言っても、所詮地下資源・・・太陽光の場合はシリコンやスマートグリッドのための稀少元素、風力の場合は鉄やコンクリート+スマートグリッド資源・・・が必要になる。そして現在その「発電コスト」がべラボーに高いというのは、それらが既存の火力発電よりも地下資源を浪費・・・その割には利用できる電力を生まないということである。
太陽光電池そのものは、もう何十年も前から利用され、人工衛星や離島の灯台の電源などで使われてきた・・・そのエネルギーコストがもし開発しだいでべラボーに少なくなる・・・地下資源をつかわず、廃物を出さないシステム・・・であれば、とっくに既存の電力会社が大々的に行っているであろう。産業資本主義社会というのは、そうゆうものである。

逆に本当の「再生エネルギー」というのは、地下資源をあまり利用せずできるものが望ましいことが分る・・・既存の水力や、無理のないバイオマスなど・・・バイオマスは「発電」に使うよりも、炭や薪のような、直接の「低温熱源」に使ったほうが、「持続可能性」社会に近づくであろう。

電気を大量に利用する「電気自動車」よりも「ガソリン車」「ディーゼル車」で、TNPを目指したほうが、よっぽど持続可能性社会が作られるだろう。

ちなみに、用語としての「持続可能性社会」というのは、1987年にブルントラント委員会が提唱したもので「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」とされている。近藤氏(あるいは「エコ」を志向する本当のあり方)は「工業化社会システム」ではそれは難しく、地下資源エネルギーの余裕のある間に、工業化社会システムからの脱却を少しずつ目指すことが必要であり、太陽光発電や風力発電の「普及」は、より地下資源を使い、廃物を出す「工業化社会システム」の延長であると考えているわけだ。多くの「エコ」を目指す人々が、太陽光や風力を進めるのは、「エコ」に反し、工業化社会を変えることには繫がらないということに、一人でも多く気づいて欲しい・・・というわけだ。

だから洗濯物は、乾燥機で乾かすのではなく、外のお日様と風で干そう雨の日は部屋干しだ・・・ちなみに「独身生活」20数年の私の経験では、ベランダに洗濯物を昼夜連続出しっぱなしにしていても、そんなに下着とかは痛まないのでゲソ

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コメント

おおむね同意しますが

>「電気自動車」よりも「ガソリン車」「ディーゼル車」
さすがにこれはない。

日本中のトンネルやら地下道での排ガス掃除に掛かる洗剤とか、ガソリンを輸送するために使うガソリンとかがあることもわすれちゃいけない。

自動車に使用する部品もかなり減るので、それを製作するのに必要な資源も減る。火力発電所などで、一括して高性能なフィルターで汚染物質の除去ができるので、車のように垂れ流さない。
将来核融合発電ができれば、それだけで完全に排ガスを出さない車になれますしね。

投稿: ROM人 | 2013年4月21日 (日) 10時06分

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