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「電力化亡国論」じゃぁ、太陽光発電って、何なの?

「電力化亡国論」あるいは環境問題を考える近藤邦明さんのサイトを宣伝する続き・・・
前にも書いたが、私は太陽光発電や風力発電といった、「再生可能エネルギー」による「発電」を「脱原発」のための代替エネルギーとして使うというヤツ達は、基本的に信用しない(原発全廃までは共闘できるが・・・)

 発電という「工業的行為」について、何もわかっていないからだ・・・(で、そうゆうヤツ等の多くが「ロハス」とか言っているんだから、笑わせてくれる)

 とりあえず、発電に関する物質(+エネルギー)収支というのを観てみよう。電気エネルギーというのは、自然に利用できる形態が無いため、工業的に「製造」・・・正しくは、あるエネルギー源から電力エネルギーまで「変換」されなければならない・・・ここで「エネルギー保存則」の他、「エントロピー増大則」には逆らえないので、元あった「一次エネルギー」は、電力エネルギーに変換されるまで、かなり損失する。

 これを図に示したものが、P134の図である。5942_2

と、同時に、これはなぜ太陽光発電のコストが高いかということも示している。
石油や天然ガスを使った発電の場合、燃やしたエネルギーの3割(最新型のガスコンパウンドサイクル・・・天然ガスでガスタービンを回し、その余熱で水蒸気の汽力発電を行うやつなら、5割を越える効率となる)が電力になるが、太陽光発電の場合、設備(この場合、太陽光発電に必要な純粋なシリコンや、時間変動の激しい発電をバックアップするための火力発電、スマートグリッドに使われる半導体、蓄電池など)に使われる「工業製品」がとてつもなく多いことを示している。

 再生可能エネルギーでペイしそうなものは、バイオマス的な「生物資源」を燃やすか、水力発電ぐらいだろう。なお、風力発電は、台風その他の事情のため、より多くの資源を必要とし(頑丈な構造物が必要になるからね)、かつ安定性が太陽光より悪いので、お話にならない。

 太陽光はクリーンだ・・・と思っている人は、太陽光発電パネル作成が文字通り、「工業的」になされているのであり、核燃料の製造・加工から廃棄物の処理までおなじように「エネルギーがかかる」ということを、すっぽり忘れてしまっている人である。

 太陽光発電は、パネルの効率が20%を越えた、コストが下がる新技術ができた・・・という報道なんかもよく聞くが、それをささえる蓄電池、スマートグリッド等を考えれば、たちまち数%程度の発電効率にしかならないだろう。実際、植物の行う「光合成」の効率も1~2%程度といわれている(だから植物は、動けない)

 太陽光発電(あるいは風力、原子力発電)が、それ自身エネルギーを生み出すのは、全て太陽光発電で発電したエネルギーで、次の太陽光発電をつくり、「拡大再生産」できなければならない。しかし今の状況では、太陽光発電でつくった電力で、その太陽光パネルがダメになる前に、同じ太陽光発電パネルを作るエネルギーを作ることすらできていない。

 補助金政策で太陽光発電を増やせば、事業者は確かに「ペイ」する・・・しかし地球全体のエネルギーから見れば、別のところで作った厖大なエネルギー(および資源)を太陽光発電パネル作成にし使用し、その太陽光パネルが作るエネルギーは、それを作るためのエネルギーを生み出す依然に「ゴミ」とかしてしまう・・・太陽光発電を作るためのエネルギーで、直接発電したほうが、よりマシなのである(これを「迂回生産」と呼ぶ)

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コメント

そんな時こそ宇宙太陽光ですよ

投稿: ROM人 | 2013年4月17日 (水) 19時38分

宇宙太陽光にかかるコスト考えてみましょう

投稿: | 2013年4月18日 (木) 17時21分

そりゃぁ作り始めはコスト高いでしょうよ。
それを普及させ、経験と技術を積むことでコストは低下する。どんな発電方法でも最初はそんなもんです。

まぁ太陽光ネタだからそう書いたけど、たぶん核融合炉の方が早く出来るし、効率も良さそう。

投稿: ROM人 | 2013年4月18日 (木) 19時14分

一応、NEDO関連で太陽光発電の側面支援研究をしていたことがありますが、いくつか反論。

・パネルがダメになるのは10年前後ですが、「石」そのものは、100年持ちます。
・石油10円、固体設備40円のデータは、20年前のものではないでしょうか?
・最大の反論(論より証拠)は、ドイツの動向です。彼らは成功ゆえに、優遇を止めるところまで来ました。

投稿: TAMO2 | 2013年4月18日 (木) 21時34分

投手殿、図の前提条件を書くの忘れていました(AFOですな)
太陽光発電の効率を10%、電力原価は50円/kWhです。石油火力は発電効率40%、発電原価に占める燃料費の割合60%、電力原価10円/kwh、共通の仮定 燃料石油価格25円/ℓ、燃料石油エネルギー量 9Mcal/ℓ=10.5kwh/ℓ、発電施設建設・運用費用内エネルギー費用の割合、20%です。
去年の太陽光発電の買取費用が42円(今年は37.8円)ですから、50円というのはそう昔の値ではないと思います(買取価格を”不当”に安くしないと成り立たない?)

投稿: あるみさん | 2013年4月19日 (金) 23時17分

石が100年持とうが、10年毎にその他付属物のための資源、エネルギーを投入せねばなりません。そして蓄電システムのようなところに、かえってコスト(資源)がかかっているのでは?と思います。
あとドイツでは中国メーカーに負けて、太陽電池会社が倒産しました…人件費ぐらいしかもう安くはならないのではないでしょうか。補助金制度は「政治的」に決められるものですから、経済的に成り立っている「証拠」にはならないと思います。(ドイツで何か技術的なブレイクスルーが起こったのか、聞いたことがありません)

投稿: あるみさん | 2013年4月19日 (金) 23時23分

日本の核融合炉が一気に記録塗り替えたのニュースになってましたね。下手したら20年ぐらいで実用化できるかもしれません。
そうなったら、もう水力以外は地震とか緊急時用に小数残すだけで必要なくなりますね。


……なぜか市民団体が核融合に反対運動起こしたりしてますけど。

投稿: ROM人 | 2013年4月20日 (土) 08時50分

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