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「植民地朝鮮の開発と民衆」を読んで

「開発と収奪の植民地朝鮮」と題して、表題の本(許粹烈著 保坂祐ニ訳 明石書店 2008年5月)を10回にわたり長々とレポートしてきた。ざっくりまとめてみると・・・

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①併合後10年間、日帝は特に植民地朝鮮に対して開発行為を行ったわけではなかった・・・これは朝鮮総督府が1919年3・1独立運動まで、朝鮮を「武断統治」を行っていたこともある。日帝による「初等教育」も普及しなかった。
②3・1独立運動後、日帝側もある程度の「武断統治」を止め、朝鮮の「開発」・・・資本投下に乗り出す。20年代は「産米増殖政策」もあり、農業開発が進んだ。朝鮮人の水利施設維持の努力という下地もあり、朝鮮の農業生産は進んだが、肝心の朝鮮人の一人当たりカロリー摂取量は少なくなる。これは米の日本への輸移出が主たる原因である。また、日帝国内でもあったように、自作農が小作民に転落する傾向も見られた。
③30年代に入ると、豊富な「水力発電資源」を使っての工業開発・・・重化学工業が急速に発展する。重化学工業は帝国主義段階経済の「基礎」であるから、これが日帝の「基礎体力」の上にプラスされることになった。同時に、日帝は中国大陸に向かって本格的な「帝国主義戦争」に突入することになる。また、没落した農村(相対的過剰人口)をベースに、朝鮮に本格的プロレタリアート=日帝の墓堀り人が登場することになる。
④農業開発にしろ、工業開発にしろ日帝の”都合”により進められたものであり、朝鮮半島では生産手段の日本人への集中が進んだ。これは日帝資本への莫大な富をもたらした(総督府の財政が赤字でも、資本が儲かりゃエエのである。逆に朝鮮人から「税金」が取れないほど「貧しく」したから、総督府・・・といっても、日常政務の経費程度の話・・・は赤字だったとも言える)
⑤特に重化学工業において顕著に見られるよう、日帝資本の「領土切り取り」的な開発は、朝鮮人の自主的発展には何ももたらさなかった。
⑥教育において「クウォーター制」等のハンデがあり、加えて賃金・昇給への「民族的差別」によって、結局朝鮮人は日帝資本に「搾取」される側に陥った・・・日帝は見事、朝鮮を「植民地経営」したのである。
これを筆者は次のようにまとめている
 ところで驚くべきことは、解放後になると日帝時代の急速な開発の結果生じたものが、まるで蜃気楼のように消えてしまい、韓国はまた世界で最も貧しい農業国の一つとして残されるようになったという点である。どうしてこのような極端な変化が起きたのだろうか。
 私たちはその解答を開発の主体から探すことができる。日帝時代の開発は一言でいえば、「日本人たちの、日本人たちによる、日本人たちのための開発」であった。朝鮮の地の上でなされた開発であったにもかかわらず、朝鮮人たちは脇役にしか過ぎなかったのである。(p295)

 この研究書は「日帝時代の開発」行為を、朝鮮総督府その他の資料、データをもとに定量的な分析をした研究結果であり、必ずしも具体的な「朝鮮植民地支配」の中身が分るものではない。農村分解や工業化の過程で、どれだけ日帝本国と「違った」のかも明らかにされていない。植民地ゆえの弾圧や抑圧の具体的悲惨さは、この本からは分らないのだ。

 もう一つ、経済史にしろ産業史にしろ、あるいはもっと大きく日本の近代史にしろ「日本本国」だけを見ていたのでは分らないということが、私としてはより確信が持てた。本書からは外れるが、近代産業の基本インフラ「鉄道」の整備にしたところで、釜山―京城を結ぶ京釜線が開業したのは、1905年、日露戦争に合わせてである。関釜航路もこの年、山陽鉄道によって開かれている。「戦時輸送」という特殊な面はあったものの、朝鮮半島の「勢力圏化」やその後の植民地経営と大きなかかわりを持ったものとして「学習」されねばならないだろう。
 他方、植民地で行われた産業・経済政策(あるいは準技術的なもの)も含め、一つのことだけを見ていたのでは分らない。これは台湾の例だが、土木学会でも大いに称賛されている技術者、八田與一と烏山頭ダムの業績も、単に「台湾の農民に尽くした」とするだけでなく、日本産業史・・・台湾の農業開発における位置や技術史の中で見るとどうなのか(以外にもっと興味深いものがあるかもしれない)ということを「学習」しなければならないだろう。

ま、この本はその「とかっかり」みたいなものである。普通のサラリーマンがそんな大それた研究をライフワークの如く続けるわけには、イカんのだから…virgo

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コメント

その本を読んでそういう感想が持てるあたりがすげーなw

>「日本本国」だけを見ていたのでは分らない
世界恐慌前後を比較して「ほら、日本の統治で経済は右肩下がり!」とか言っている作者に対しての皮肉ですね、分かります。

てか、あるみさんは朝鮮の開発が日本のためだった、だからダメと言うスタンスだが。

そうだなぁ…… イチャイチャしたいという理由で女に近寄っちゃだめなのか?
そのために餓えた女に食事を提供したり、プレゼントを贈ったりしても「いやらしい目的!! 目的が卑しいから食事もプレゼントも価値はない!」とでも言のか?
馬鹿馬鹿しい。
 動機なんてどうでもいい。日本の都合だろうが、政治家の都合だろうが、結果として民衆に帰ってきていれば、それでいいだろうに。李氏朝鮮時代の悲惨さを調べてないから、軽々しく日本の統治は悪とか言えるんだろうなw

>朝鮮人の一人当たりカロリー摂取量は少なくなる。
9章でも突っ込んだのに、またアホなこと書いている。
輸出したせいで栄養価が下がったって、その輸出で得た金が何処へ行くのか、とか全く考えてないんだなww
その本はミスリードを促すために、米の消費量しか記述していない。
確かに朝鮮人は米を日本に輸出したが、その金で満州から粟を輸入してる。
それで栄養を得ているだけだ。
あるみさんの行っていることは、小麦の消費量を示して「日本人は餓えている!」だとか、米の消費量を示して「アメリカ人は餓えている!」と言うのと、同じレベルのことだぞ。

>領土切り取り
日本人および日本政府が所有していた土地は全面積の3%だぞw農民から強奪はないし、ただ李氏朝鮮が所有していた土地を接収しただけ。
しかもわざわざ、申告漏れのせいで土地を失う農民が出ないように、行政指導と啓蒙を実施。未申告地を0.1%未満にまで下げることに成功している。最初から略奪する気なら、政策を訴えず「あ、未申告だから没収」とかやるだろ普通。
ちなみにこの土地の調査には当時の朝鮮の国家予算の二倍くらいぶっこんでる。

>搾取
搾取される人種が国会議員になったり、陸軍大将になってA級戦犯になったりするのかw
それはただ教育の不足であり、ただ日本が貧乏だったからだな。悪いとは思うが、日本だって無尽蔵に金や人員がいるわけじゃない。東北で餓死者を出したりしている状況では、完璧な朝鮮の教育支援ができるわけないだろ。

>教育
李氏朝鮮時代なんてそもそも学校自体が無かったのだから、それを構築しただけでも十分だと思うのだが。教師の数と金の問題だろ。

そもそも初等教育の就学率だって
1910年:1% → 1923年:11% → 1935年:22% → 1943年:49%
と、右肩上がりに上昇している。
就学率1%をここまで持ち上げることに成功したのに、これに対して「教育を受けないようにさせた」とは、どういう思考回路から来るのか理解不能。


結局のところ李氏朝鮮時代と、当時の日本の財政について調べず、朝鮮だけしかみてないから、そんな貧相な思考になるんだろうな。
「生活保護者にはエアコンとテレビとパソコン、洗濯機、冷蔵庫が完備されていなければならない!そうじゃなかったら差別だ!」とか言い出しそう。

日本は確かに完璧な統治はしなかったし、やれるだけの体力も無かった。
だが、李氏朝鮮時代と比べれば、朝鮮人民は非常に楽な生活ができた。それだけで十分だろ。

投稿: ROM人 | 2013年7月20日 (土) 22時49分

>動機なんてどうでもいい。日本の都合だろうが、政治家の都合だろうが、結果として民衆に帰ってきていれば、それでいいだろうに。李氏朝鮮時代の悲惨さを調べてないから、軽々しく日本の統治は悪とか言えるんだろうなw
>李氏朝鮮時代と比べれば、朝鮮人民は非常に楽な生活ができた。それだけで十分だろ。

このリクツから言えば、「チベット人の生活」は中国共産党の「チベット占領」後、宗教的な因習もなくなり、非常に楽になったから、「中国のチベット支配」に誰も文句をいうことが出来なくなってしまいますね・・・「それだけで十分だろ。」と返されれば仕舞いです。

投稿: あるみさん | 2013年7月21日 (日) 20時57分

なるほど。あるみさんの脳内では、併合前よりは併合後の方が生活レベルが向上していると判断したわけか。

 日本の併合によって食料、教育、衛生面、インフラ、全てにおいて李氏朝鮮より向上しているのは事実だ。チベットもそうだとでも言うのか?
 チベットのように宗教弾圧をし、違法に土地を取り上げたのか?ゴロクの反乱みたいに反抗する村を焼き払ったりしたのか?

 日本憎しでそこまで判別不能なら、君が代を聞いただけで気分を害す教員とかと一緒に、精神科に行くべきだなw

投稿: ROM人 | 2013年7月21日 (日) 21時40分

 日本自体は、日清戦争で朝鮮を独立させてあげただけで十分。教育レベルも低いし、開発のための金も莫大になるから、放っておこうとしたのに。独立派弾圧してロシアに就こうとするわ、ハーグ密偵事件起こすわ、あげくの果てに併合反対派の伊藤博文を暗殺するわ。

併合前に、チベット人がそんだけやりたい放題やってたとでも言うのですかねw

投稿: ROM人 | 2013年7月21日 (日) 21時54分

ROM人さん、チベットにおいて中国政府の介入により、生活水準が低下し、生活も向上しなかった(ダライラマなんちゃらがイギリスの保護下で統治していた時代)根拠とかを示してね。

あと、ハーグ密使事件も、伊藤博文暗殺も、朝鮮が日本からの独立を保つための、止むにやまれぬ抗議、運動だったのです。それを「やりたい放題」などと言うのは、現代中国がチベット人独立、民主化運動化を「テロリスト」扱いする心性と何等変わりがありません。

人の(中国の)ふり見て、我がふり直せという立派なことわざが日本にありますなぁ~

投稿: あるみさん | 2013年7月22日 (月) 21時31分

ああ、経済自体は上昇しているさ。だが実際にそれがカロリー面や収入の向上につながっているのか?
でも問題は、日本と違って民族浄化をしている点だろ。

 虐殺ネタは言うまでもないが、チベット地域はすでに漢民族。朝鮮時代の日本人の入植とは比べ物にならない。
 遊牧民の遊牧を禁止して強制移住する。
 強制避妊手術もするし、漢民族との間には一人っ子政策を適用させずに混血を推進。
 文化大革命で寺院を破壊しまくり。

日本が朝鮮に対してこんな統治をしていたとでも言うんでしょうかね。

投稿: ROM人 | 2013年7月22日 (月) 22時58分

というか、経済発展してても国家でガンガン虐殺しまくりじゃねーか。少なくとも日本はそんな殺戮はしてない。

避妊強勢や混血による民族浄化もしていない。文化財の破壊もしていない。強制移住もしていない。

何も生活水準は賃金やインフラだけじゃない。さて、日本は朝鮮人を虐殺したり、民族浄化をしたりしたのかな?

投稿: ROM人 | 2013年7月22日 (月) 23時06分

あなたの一番の問題は「植民地朝鮮の開発と民衆」を信じ切って、右から左に垂れ流しているということ。
批判なき者に進歩はないということを肝に銘じるべだ。

投稿: 柏崎 | 2013年7月25日 (木) 14時17分

ついでに言うと、俺の突っ込みも完全スルーしてるしな。

米のカロリーとか、世界恐慌とか、一度突っ込んだことを最後にもう一度披露してくれたしw

信じたいものは全部信じて、都合の悪いことはアーアーきこえなーい、だからなw

投稿: ROM人 | 2013年7月25日 (木) 20時47分

一方でテキサス親父は、ネットに出回っている慰安婦調書が公式な物か調査した。その結果、高給とか日本兵と遊んでいたというネット上のレポートは、実際に米軍が調査した結果であることが判明。


まるっと信用していいのは、こういう公文書の類だな。

投稿: ROM人 | 2013年7月27日 (土) 11時36分

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