こんな肉や卵、食えるかぁ~!
さて、㈱貧困大陸アメリカの第1章「株式会社奴隷農場」では、アメリカの食肉事情が描かれている・・・
鶏は、ほとんどが4大「インテグレーター(統合者)」という巨大多国籍企業に押さえられている。鶏卵や鶏肉は「インテグレーター」と契約した「農家」が作っているわけだが、設備は借金、鶏も親会社が与えられたものを、会社のマニュアルどおりに作らなければならない。狭い鶏舎で蜜飼いするから、ストレスや病気で死ぬ鶏も多く、抗生物質の投与は欠かせない。これら「工業的生産」は牛や豚についても同様だ。
鶏はすぐ太る成長ホルモンを投与され、足が折れたりしている。牛は寿命が短くなる代わりに、乳の出が倍以上良くなる薬を投与される。肉に赤みをつける砒素剤や抗生物質で、屠畜場の労働条件は非常に悪い・・・悪労働条件下で、移民のメキシコ人達が働いている。
ある人が、自分が「工業的」に育てている豚に抗生物質の注射をしていたところ、豚が暴れて噛み付かれた。その傷を医者に診せたが、どんな抗生物質を使っても直らない・・・対生菌にやられたわけだ。そこでその人は、「いったい自分が今大量に出荷しているのは、豚なのか?それとも何か得体の知れない未知のものなのか?」と考えた。傷が治った後、その人は「工業的」生産を止めたそうな。
「インテグレータ」なる独占企業が生みだされた背景には、レーガン大統領時代の「独占禁止法」の規制緩和がある。そのおかげで大企業の「低コスト」「短期大量生産」なる「興行的」生産が加速してゆく・・・「食の安全」を守るための官庁も「規制緩和」や「予算削減」で、十分なチェックができない・・・かくしてサルモネラ菌に汚染された鶏卵が平気で出回り、食中毒が多発する。
「規制緩和」は食肉だけでなく、そのエサ(人間の分も含む)の穀物を「遺伝子組み換え(GM)作物」に変える過程でも行われる。有名なのがモンサントの種子と、農薬「ラウンドアップ」の組み合わせだ。モンサント社が除草剤「ラウンドアップ」耐性のGM作物の種子を、ラウンドアップと込みで売る・・・当初はラウンドアップを撒くだけで他の草は枯れ、除草剤他農薬を撒く量も減るが、自然のほうもラウンドアップ耐性の草が生えてくる・・・そうすると農薬を撒く量も増えざるを得ない。ラウンドアップを大量に撒く地域で、先天性異常が増えたというデータもあるし、何よりヨーロッパではラウンドアップに発ガン性が認められたため、今のところモンサントのGM作物は作られていない。しかしアメリカではそんな「危険性」の報告などおかまいなしだ。なにせ「食の安全」を守る部署に、「回転ドア人事」でGM作物の特許を持つ「多国籍企業」の役員が居るのだから・・・
危険性の見過ごしは、農薬だけではない。GM作物そのものについてもそうだ。多くの「安全性試験」ではラットなどを使って90日程度しか行わない。スポンサーも特許を持った企業である。2012年、フランスのカーン大学で、かなり長期間(2年)かつ「スポンサー」がそのような企業でない実験を行ったところ、GM作物を与えたラットのグループから大量の様々な病気が出たという結果となった。ところが「御用学者」の支配する学会ではその結果にイチャモン、酷評がついた。まるで「原発安全神話」「放射能安全神話」作成と同じ道である。そのくせ「御用学者」達はカーン大学で行った試験の「追試」を行おうとは、絶対にしない・・・
あーあ、改めてアメリカの「食料事情」を読んで、驚くとともに、TPPとかでこんな肉や作物が日本市場に氾濫するのかと思うと、正直ぞっとする・・・でも普通の労働者階級だと、こんな不健康なモノしか食べられなくなるんだろうな。こんな肉や卵が、食えるかぁ~
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コメント
トラバありがとうございます。
本書を読み始められたのですね。嬉しく思います。
「食」の問題についていえば、巷間よく指摘されていることですが、次のような”悪循環”が懸念されます。
低所得者
↓
安くて体に悪いモノを食べる・食べざるを得ない
↓
病気になる
↓
医者にイケない。医療費払えない
↓
働けなくなる。医療費支払で破産する
↓
失業する
↓
低賃金のクソ労働への再就職で我慢するせざるを得ない。
↓
より生活レベルの劣化・悪化
アメリカの末端の零細農業従事者さえ、塗炭の苦しみを余儀なくされているようです。
反TPP、反GM、反独占企業
これらは一連の問題として取り組むべき課題だと、私は本書を読んで痛感しました。
投稿: 風 | 2013年8月21日 (水) 21時03分
入ってくる入ってこないじゃない。それに関しては、消費者が選ぶこと。
それよりももっと重大なのは、産地表示禁止、遺伝子組み換え有無の表示禁止。日本人はそれなりに食には敏感だから、輸入品が入ってきても致命傷にはならないと思う。
が、それを選ぶ権利が失われたらかなりキツイ。
オージーとか台湾なら、別に輸入でもいいけど、三馬鹿と米の輸入食品はないわー
投稿: ROM人 | 2013年8月22日 (木) 23時04分
>日本人はそれなりに食には敏感だから、輸入品が入ってきても致命傷にはならないと思う。
この度し難い楽観論がどこからくるのかわからない。
>消費者が選ぶ
選んでないから、現状においてさえこれだけ輸入品が出回っている。「消費者が選ぶ」ってのも、度し難い楽観論だな。
さすが、オスプレーマンセー派らしい楽観論。
「入っていくる入ってこないじゃない」じゃない、「入ってくる入ってこない」、これこそが重大なのである。。。
投稿: 風 | 2013年8月24日 (土) 06時29分
アメリカからの輸入食品がよくないとしてもそれ以上に中国食品が危ないでしょう、アメリカでさえ中国食品には批判的です。
こんな肉や卵が食えるかとこれで労せずしてダイエットできればいいですね、医療費増大ストップです。
>鶏はすぐ太る成長ホルモンを投与され
しかし普通の労働者は左翼ホルモンを投与されても健全な労働者にならないし困ったものですね。
左翼的には正しい教育で人間改善ができる幻想がありますが大半の人間には学習効果など怪しいものです。
左翼の学習効果というものは貧しさからの開放を表に出しながら実は個人的な欲望つまり卑しい拝金思想をくすぐっているだけです。
共産党のポスターを見ていつも思うことです。
差別的反革命的な発言ですが不健康な食品しか食べられない労働者は革命的思想とはいっそう遠くなり資本家階級〈死語です〉以上の我欲の塊となります。
投稿: tatu99 | 2013年8月24日 (土) 10時31分
当然、入ってこないのが一番良い。
だがそれ以上にって、話なんだが……
>楽観論
気を付けている人間は今まで通り国産を買うでしょう。
そして興味の無い人間は、現在の時点で中国産んを買ってる。それがアメリカ産になるだけで、そこまで大きな動きはないでしょう。
中国産とアメリカ産なら、どっちもどっちだし。
>選んでない
輸入米が売れないし、国産か輸入かを選べと言われたら大半が国産を選ぶだろう。その味や健康面よりも安さを選ぶのもまた、国民の自由だ。
漁業も農業もそうだが、欧米みたく巨大企業による一括管理にシフトしていくべき。
コスパが悪いから価格勝負で不利になるのに。
投稿: ROM人 | 2013年8月24日 (土) 12時38分
健康にいいからと「安全」な食品を選んで買える人は幸せですよね。そうでない「不健康」な食品を買わざるを得ない人が増えつつあるから問題なのですね。
なんでデフレになってきたかといえば、所得が減って購入する物が安い方にシフトしなければならなくなったからでしょう。とするならば、「安全」な食品を選んで買える余裕ある人がどれほどいますかね。
tatu99さん
>不健康な食品しか食べられない労働者は革命思想とはいっそう遠くなり資本家階級(死語です)以上の我欲の塊となります
革命思想などどうでもいい話ですが、生活を維持するために必死に働いたり努力することを「我欲の塊」と貶めていいのでしょうか?そんなことは人間として当たり前な営為だと思うのですが。仕事を貰うために自民党の選挙応援をすることも、助けを求めて共産党に投票することも同じように自分や家族の生活の為でしょう。どちらもおかれた立場でそうしているだけであって、どこの党を支持したからといって批難されるいわれはありません。イデオロギーで考える人などごく少数だと思いますよ。
もし、「我欲の塊」と批難されたいのであれば、それは多額な所得を得ているにもかかわらずに税金逃れをしたりさらなる減税を唱えている「資本家階級」の方だと思うのですけどね。
無礼なことだとは思いましたが、あえて言わせていただきました。申し訳ありません。
投稿: BM | 2013年8月25日 (日) 22時07分
BMさんの言うとおりで、アメリカ的な新自由主義政策が日本で貫徹されている以上、日本でも貧困層が増え、「入ってきた」安い輸入農産物を食わねばならないという状況ができるでしょう(たまぁ~にサクランボをスーパーで買いますが、安い米国産を買ってしまいます)
あと食品の表示…特に遺伝子組み換え(GM食品)であるかどうかの表示は、アメリカでは行われておりません。日本でGM食品の表示が行われるにしても「TPP」で「それは非関税障壁だ!」といわれれば、アウトです。
あと、中国の「毒食品」というのはある意味、わかり易いのですが、もし中国と食品・食料加工多国籍企業が結びついたら(中国もTPPに参加する可能性が無いとは言えません)、その破壊力…中国の農村社会に対するそれも含めて…はすさまじいことになるでしょう。インドではすでにGM綿が政策として入り込み、多くの農民が最初の利益は上がっても、途中から経費倒れ、借金まみれになって自殺する例が後を絶たない状況になっていると、本書にも書かれています。
投稿: あるみさん | 2013年8月25日 (日) 22時28分