集団的自衛権なんて、もともと無かったのでゲソ
安倍内閣はこれまでの憲法解釈「国は憲法9条下で、集団的自衛権は持つが、これは行使できない」という、これまでの内閣法制局の解釈を替える攻撃にでてきた。
ある意味、9条や96条改憲という、選挙前に語られていた「改憲論」をとりあえずおいといて、麻生のいう「いつの間にか改憲(ナチス的手法・・・ただし麻生の認識は間違いである。ナチスは共産党や社会民主党など反対派を「弾圧」して、ワイマール憲法を暴力的に停止状態にしただけなのだから…「ナチス憲法」なんてものも存在しない)に持ち込もうとしているようだ。8月8日に、憲法解釈を担う内閣法制局の新長官に、元国際法局長の小松一郎駐仏大使を起用したのは、その地ならしであることは言うまでもない。
国連は先の大戦後、戦後秩序をどうすればよいかというやりとりの中で、「個別的自衛権」は認めるという立場をとった。・・・すなわち、イカ娘・・・じゃなくて、ある国が他国を侵略したとき、それに対する自衛権はどの国にもあるよ・・・ということだ。侵略行為そのものは、「国連」(連合国)が、「国連軍」を率いて、侵略国に「制裁を加える」、それまで「個別的自衛権」でがんばってくれ!という考え方だったのである。
ところでところでところてん・・・米国がそこに「集団的自衛権」という概念をねじ込む・・・すなわち、「同盟国が攻撃されたら、その国を守るために軍事行動を起こしても良い」というものだ。
これは「冷戦」が現実的ものになる中で、アメリカが自らの「覇権」を守るため(直接的には、対ソ連対象であるが)、「同盟国」に対する攻撃は「アメリカ」に対する攻撃とみなし、自動的に参戦するぞということである。
結局、この考え方は国連にも受け入れられ、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」が認められるようになったわけである。
で、日本が考えている(日米同盟下での)集団的自衛権の類型を見てみよう・・・
(1) 日米が公海上で共同訓練中などに、米艦船が攻撃され、自衛隊艦が反撃する。
(2) 米国に向かう可能性がある弾道ミサイルを、日本のミサイル防衛システムで撃破する。
(3) PKO で他国部隊が攻撃され、自衛隊が駆けつけて反撃する(駆けつけ警護)
(4) PKO で自衛隊が外国軍隊を後方支援する
(3)(4)は国連PKOとの関連である・・・確か日本のPKO法では、自衛隊は危険なところには行かないことになっているハズだから、(3)(4)を考えることは自衛隊を戦場により近いところで使うということに他ならない・・・その必要は、あるのか?
(2)はもっともAFOらしい・・・とりあえず米国の「仮想敵」であるロシア、中国、イラン、北朝鮮(果たして米国を攻撃できるミサイルがあるのかどうかも、疑わしいが)であるが、これらのミサイルは全て北極海上を通り、日本上空なんか飛ばない・・・日本のミサイル防衛システムにそこまでやらせるか?という問題がある。
ただし、「仮想的」が横田や嘉手納の米軍の拠点をミサイル攻撃することは在りえる(私が「仮想的」だったらそうする)・・・しかしこれは日本の領土への攻撃でもあるから「個別的自衛権」で十分対応できる(しかし、日本国内にミサイルが飛んでくること自体、防がなければならない・・・そのためには、横田や嘉手納の米軍基地に出て行ってもらったほうが良い)
(1)は、よっぽど「仮想的」に対する「侵略的軍事演習」≒「侵略」をやらなければ、ありえない・・・ふつーに民衆に役立ちそうな「海難事故救出訓練」や「災害時の救援訓練」(これらだったら、武装した軍艦、航空機はいらないだろう)だったら、そこに「仮想敵」が攻撃しても意味はない。
(1)のケースで「攻撃」を受けるのは、「仮想敵」に対する軍事的威嚇=戦争をしかける場合のみである。
ということで、「集団的自衛権」を認めるのは、アメリカの「仮想敵」に対し、日本がいっしょになって「戦争」をしかけるケースしか在りえない。「戦争をしない」憲法9条に、真っ向から違反するものである。
安倍政権への当面の対応1・・・集団的自衛権を内閣法制局に認めさせない・・・ここで9条や現代戦争をしっかり考える必要があるのだろう。
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コメント
(1)について
ソマリア沖の怖さを知らんのか。イージス艦にRPGで突撃してくるような海域だってあるわけだが。侵略が無くとも、対称は「軍艦」ではなく「艦船」。
(2)
グアム「俺米国領で、米軍の重要基地なんだけど」
ハワイ「俺なんて一度奇襲受けてるんだけど」
こいつらの存在を忘れてる。
投稿: ROM人 | 2013年8月10日 (土) 22時36分
ROM人がオスプレイに乗ってやってくるぅ~♪♪
おひさ(笑)
■イージス艦
イージス艦っつーのは、RPGで突撃してくる海賊に、やられてしまうほどヤワなのか? 近くにいる他国の軍隊に「助けてくれぇ~」なんて言わないと、沈んでしまう艦船なのか? なんとも頼りねぇなぁ(笑) そんな弱っちい艦に、何百億円もつぎ込んでいるのか?
■グアム・ハワイ
グアムやハワイに飛んで逝くミサイルがあったとしてさ、なんで、それをニポン上空で撃ち落とさなけりゃならないわけよ? あぶねぇだろ、んなことしたら。ニポン国土・近海上にミサイルの破片がバラバラ落ちてくるなんて、やだね、あたしゃ。。。
投稿: 風 | 2013年8月11日 (日) 21時21分
ソマリア沖の「海賊対策」はPKOとは全く別のものです(根拠法も全く別に作っています)
ハワイ・グアム…「集団的自衛権」の類型パターンは政府・マスコミがそのように「宣伝」しているものです。ハワイ、グアムよりも「米本土」を念頭においています(文句があるなら、政府・マスコミに言ってね^^)
投稿: あるみさん | 2013年8月11日 (日) 22時01分
別にソマリア沖に限定したわけじゃ無いが、世界どこでも、戦争は起こってるし、いつどんな方法で襲ってくるかわからない。
さすがに海上戦力ならば主砲どころか、ファランクスで十分。でも地上や空中ならば、もっと安価で大量の兵器が使える。現にアメリカも散々痛い目を見てる。
自衛隊の戦車の傍で米軍の戦車が吹っ飛んだとしても、自衛隊はただ見てるだけ。でも日本が攻撃された場合は守ってね、なんてねぇ。それが嫌なら日米安保は破棄すべきだし、安保破棄なら大増税と大軍拡と核所有が必須になってくる。
(いつも言っているが、自分はコレがベストだと思ってる。増税してでも、在日米軍撤去すれば、アメリカに尻尾を振る奴も少なくなるだろうし)
平和は無料で買えるもんじゃない。金や行動が必須。平和が大事、平和は尊い、と言ってる連中に限って、その代償が何なのか、理解できてない。
平和を買う金や軍拡に進む勇気が無いなら、日本国内の平和のためには、次点であるのが日米安保だ。その状況で、一方的に守ってね。俺たちは守らないけど、というのはあまりに無責任。
>ハワイ・グアム
少なくとも俺は「アメリカへ」と書いた記事は何度も見たが「米本土へ」と書かれた記事は見たこと無いな。
そこまで詳しく宣伝されていた覚えもないが。
投稿: ROM人 | 2013年8月11日 (日) 22時33分