「ネバダ・レポート」でIMFが出来ること?
昨日の続き・・・まず「ネバダ・レポート」を考える前に、まずIMFがどのくらい「融資」できるか見てみよう。現在IMFは融資財源を約2,500億米ドル持っている。そのうち合意済み融資額が2,330億米ドルだから、差し引き170億米ドル・・・1ドル104円としてたった1兆7,680億円しか融資できない。日本の国債発行額は181兆円あるから、こんなものは「焼け石に水」である。
そもそもIMFは「財政破綻」した国家を助けるためにあるのではない。外貨不足で流動性が枯渇した場合、資金を供給するというのが役割だから、外貨準備高世界2位、大外資産世界最大の日本がIMFから援助を受けるということは在りえない
昨日上げた「ネバダ・レポート」のうち、①②③の公務員賃金、一時金カットや年金のカットは、別にIMFがやらなくても、日本政府がマクロ経済の影響を考えずに、超ウルトラな「財政再建政策」を取れば、行うだろう。単にそれだけだ。
④の「国債利払いの停止」は、181兆円もの国債を発行していて利払いの停止になれば、新規国債発行も停止しなければならない。利払いを停止しますが新たに借金などさせてくれるヤツがどこに居ろうか予算も執行できない・・・国家が停止する大混乱となる。
⑤の「消費税20%」は、このまま自民党(的)政権が続いたら、なる可能性は十分あるが、IMFは関係ない。
⑥所得税の課税最低限の100万円という額の「定義」がしっかりしていない。単身者か夫婦か、子どもがいても年齢によって違う・・・一律100万円と言われても具体的ではない。自営業者が白色申告をして社会保険もおさめていない場合、最低課税限度は基礎控除の38万円のみになる・・・これから100万円に上がることは「いいこと」ではある。
⑦地価の公示価格の5%課税について・・・公示価格というものをそもそも理解していない。公示価格というのは全国の基準地点を選んで国土交通省が毎年発表している基準値の価格のことで、これを参考にすべての道路に面する地価(路線価・・・公示地価のおよそ70%といわれている)を市町村が決定し個々の地価の価格を固定資産台帳に登録して課税している。すなわち「公示地価」だけでは課税できない。債権・社債については個人・法人または利子に対する税額と売却益に対する税額が異なる。利付債の利子については個人・法人とも源泉分離課税の場合は20%である。株式については本則では20%であったが、2009年から2013年の間は10%に引き下げられていた。2014年から配当金・売却益ともに20%に戻る・・・よって所得金額の1%の課税など、問題にもならない。(というより、書いていることが現行制度と照らし合わせて、意味不明だということ)
⑧のペイオフの実施というのは、金融機関が破綻した場合に1000万円までの元本と利息分を預金保険機構が払いますが、それ以上は切り離しますよということ。実際に行われている。第2段階の30~40%の「没収」というのは、仮に全部の預金から没収するとすれば、預金残高は銀行634兆円、信用金庫が127兆円の両方だけで761兆円・・・その30%を「募集」すれば228兆円が手に入るから、確かにウハウハです・・・でもその過程で取り付け騒ぎや資金の金へのシフト、海外へのキャピタルフライト等、いろいろ「防衛策」を資本も民衆も取るでしょう・・・即日実行するには、憲法を停止して戒厳令を敷くしかない・・・逆にいうと、ほとんど「革命」軍がやることだとは、昨日も書いた。
要するに、「ネバダ・レポート」は経済について良くわかっていない人が「脅し」のためにデッチ上げた「怪文書」(しかも2001年という大昔に)でしかないことが分るだろう。こんなものを「展望」に載せてはイカんでしょ
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