「美味しんぼ」鼻血描写問題への見解
ビックコミック・スピリッツ(小学館)に連載されている人気グルメ漫画「美味しんぼ」の、なかの「福島の真実」中に出てくる「鼻血」描写問題がかしましい…関西人のくせにものの美味い不味いにはこだわらない(食べ物はありがたくいただきましょう)という立場なので、この「美味しんぼ」も、長い間読んでこなかったし、今回の騒動が起きても、読んでいない・・・読んでいないものの「批評」を書くのはどうかとも思うのだが、他人様のブログやMLで流れてきたものを総合して、このエントリーをまとめるものとする。
まず、「鼻血」描写が風評被害を与えるものかどうか・・・であるが、実際に原発事故の後、「鼻血」に悩まされている人が居る(あるいは原作者が取材した時には居た)というのは事実であろう。これは作中の双葉町の前井戸川町長が「証言」していることでも明らかだ。事実を事実として書いたものが、「風評」になるわけがない。
「鼻血」を否定する人々の意見は、こうだ…外部被曝で体内の造血細胞が壊れて、鼻血がでるようになるのは、1000㎜シーベルト程度まで被ばくした場合であり、福島のような「低線量被曝」の場合には、そんなことは起らないというものだ。
とはいえ、鼻血を出す「低線量被曝者」が、福島にいることも事実である。これをどう説明するか?あくまでも仮定の話だが、放射性物質(セシウム等)が、埃にまざって飛び交っている環境の中で、鼻の粘膜・・・特に鼻中隔から1㎝ほど奥にあるキーゼルバッハ部を”刺激”してその部位にのみ高線量かつ一定時間の被曝を起こし、鼻の粘膜を弱らせて「鼻血」が出るというものだ・・・なるほど、この「仮説」に従えば、低線量でかつ空中にまだ放射性物質が飛び交っている福島の状況と、福島よりもはるかに「高線量」の被曝をうけているレントゲン技師や宇宙飛行士、若田光一さんが鼻血を出さない(彼らは「放射性物質」の暴露をうけているわけではない・・・放射線の暴露をうけているだけだから)ことも説明がつく・・・しかし、今のところ「仮説」でしかない・・・「美味しんぼ」でも検査の結果、放射線との因果関係は分からないと結論づけられている。
広島、長崎の原爆による放射線被害は、実はチェルノブイリや今回の福島のような原発事故の推計には役に立たない・・・そもそも広島の原爆で放出された核物質は64㎏、長崎では126.2㎏なのに対し、福島での事故で旧原子力安全・保安院の炉心損傷推定が正しいものとすれば、116tもの核物質(1~3号機にあった核燃料集合体の核物質を合わせると、約300tにも及ぶ)が放出、拡散されたことになる。1発で大量のγ線を浴びせられた事例と、じわじわと核物質が出てくる状況では、線量は確かに後者のほうが圧倒的に低くなるが、被曝持続時間ブラス内部被曝という面においては圧倒的に大きな影響を及ぼすものと考えねばなるまい。
で、チェルノブイリ原発事故後での調査(ただしIAEAとかいう「権威」ある原子力推進機関がやったものではない)にしても、「鼻血が出る」「倦怠感がある」と答えた人が多くいた…低線量長期間被曝は、ガン以外にもこのような健康被害を起こすと「予防的」に考えて対策するなり、モニタリング等を行うことが大切だろう。
ところが、環境省を始めとする政府機関のやっていることはどうか、「鼻血描写」を「風評被害」として否定。批判するのみで、そのような予防医学的な措置をとろうとも行わない。逆に「風評被害」を強調して、作者が取材して確認した「事実」を「なかったこと、ないこと」にしようとする意図が見え見えだ…これは「スピリッツ」の編集部に抗議した福島県も同罪である・・・あった事実を虚心に見つめることをせず、ひたすら「隠そう、隠そう」とする非科学的な態度である。これはもはや「言論弾圧」に等しいのではないか?
そーいえば福島の事故当時、自民党は野党であり、この「福島の鼻血」問題まで持ち出して、与党、民主党を攻撃していた(それは別に悪いことではない・・・野党として大いにやるべきことだ)ところが一転、政権をとると、安倍首相自らが根拠のない風評に国として対応 (スポニチより)と言い出す始末である。ホント、安倍って「福島はコントロールされている」の他、どこまでウソをつけば気がすむのであろうか!
こんなヤツらをのさばらしておいてはいけない。「風評被害」の名の下、言論弾圧を行う安倍政権と原子力村を打倒しよう
| 固定リンク
「あるみさんの怒り!」カテゴリの記事
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- 辺野古埋立て工事再開弾劾!(2020.06.12)
- デマッター松井!(2020.06.03)
- 不正を防ぐために必要な人にお金が渡らないことはあってはならない(2020.05.22)
- 5・23梅田解放区のお知らせ…デモでありますっ!(2020.05.21)
コメント