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ヘイト・スピーチは処罰すべし(前篇)

 私が四国に来るちょっと前から、在日韓国・朝鮮人に対する「ヘイトスピーチ」を行う「デモ」やそのカウンター行動が行われている。今でも東京の新大久保や、大阪の鶴橋のような「コリアタウン」あたりでは、いわゆる「在特会」周辺の「ヘイトスピーチ集団」と、それに対するカウンター行動との「攻防」が続いているらしい。
 しかし、「人種・民族・門地」等、人間が変えることの出来ない属性に対し、その人格を破壊する「ヘイトスピーチ」について、「カウンター行動」だけで無くすことができるのだろうか?
 そんな疑問に答えてくれるのが、なぜ、いまヘイト・スピーチなのかー差別、暴力、脅迫、迫害ー (前田朗編 三一書房 2013年11月)である。
001この本には、2009年12月4日に「在特会」によって引き起こされた、京都朝鮮学校襲撃事件についても書かれている。「在特会」の世にもおぞましい怒号「朝鮮学校を日本から叩き出せ」「なにが子どもじゃ、スパイの子どもやんけ」「この門を開けろ、こらぁ」が飛び交い、駆け付けた警察もそれを取り締まるどころか、それを追認するような対応を取り続けたものである。「在特会」はこの様子をビデオに撮ってネットにアップし、自分たちの活動を「広報」「拡散」を狙った。
 この差別街宣に対し、京都朝鮮学校は弁護士と相談、依頼の末、京都の弁護士を中心に約100名からの弁護団を結成、21日にこの「在特会」の行為を京都府警に「告訴」した。警察も「現認」している上、ネットにアップされた「動画」などの証拠もあるにもかかわらず、警察が逮捕などの強制捜査に乗り出したのは翌年の8月・・・その間、2010年1月には2回目の差別街宣に乗り出し、1時間以上にわたり「不逞な朝鮮人を日本からたたきだせ」「北朝鮮の工作員養成機関、朝鮮学校を日本からたたきだせ」「朝鮮人を保健所で7処分しろ」などと怒号を発した。
 弁護団側では、刑事告訴による捜査が長期化し、さらなる法的抑止の必要があると判断し、裁判所に学校から200m以内での街宣活動を禁止する仮処分を申請、これはわずか数日で仮処分決定が発出されたが、「在特会」はその後の3月28日、3回目の街宣行動を行った。これを重く見た裁判所は、5月21日、100万円という高額の関節強制金を命ずる異例の決定を行い、ようやく街宣行動が止んだのである。
 一方、刑事訴訟は2010年8月、街宣の中心人物が逮捕、翌2011年2月に審理が始まり、2011年4月21日、中心人物らを威力業務妨害、侮辱罪等で有罪とし、懲役1~2年(執行猶予4年)の判決が宣告された。これは「表現の自由」よりもその内容である「差別暴言の禁止」ということでは活気的ではあったが、必ずしも被告人も持つ差別・ヘイト意識を「罪悪」としたものではなかった。その証拠に、被告人は法定の中ですらも在日コリアンへの差別や偏見に基づく発言を繰り返し、「反省」などはこれっぽっちもせず(「執行猶予」がついたのは、あくまでも「活動方法」についての「反省」に対してである)あまつさえ、被告人らはその後も全国で同じような「街宣」を繰り返し、一部は執行猶予期間を約3年も残して、強要罪を犯したのである。「執行猶予」は彼らの「ヘイトクライム」の抑止にはつながらなかったのだ。
 一方、弁護団は刑事裁判と並行して、2010年6月、京都地裁に民事訴訟を提起し、同種街宣の差し止めと街宣1回当たり1000万円(合計3000万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。これは2013年10月7日、1226万円の損害賠償と学校周辺での街宣禁止が判決として出されているが、「在特会」側は「一部に政治的主張が含まれている」として控訴している。

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