「再生エネルギー」論者が、即脱原発をつぶす
いきなり「身内批判」みたいなことをするが、私はいわゆる「再生可能エネルギー」が既存の発電方式の代替にならないことが分かっているので、あえて挑発的な見出しにした…毎週金曜日の「四電前抗議行動」でも、「伊方原発再稼働反対」「伊方は廃炉!」と言っているその横で、「四電は自然エネルギーに力を入れてください~」とお願いしているのを、「まぁ、それは無理やで」と心の中では思っているのだ。
本日の四国新聞WEBでは再生エネ固定買い取り抜本改革へ/経産省が専門部会 とある
政府は26日、送電網の容量限界から電力会社が再生エネルギーの買い取りを中断する動きが広がり始めた事態を受け、固定価格買い取り制度の抜本改定に着手した。再生可能エネルギー特別措置法は3年ごとの見直しを定めているが、政府は早急な対策が必要と判断、改定を前倒しする。
小渕優子経済産業相は26日の閣議後記者会見で「電力系統の現状を精査する必要がある。再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と述べ、再生エネルギーの導入促進に関する有識者会議の中に専門部会を立ち上げることを明らかにした。
これだけだと、何のことか良く分からないかも知れない(紙面には詳しく書いてあった)ので、毎日新聞のWEBサイトから再生可能エネルギー:固定買い取り、緊急調査 小渕経産相
小渕優子経済産業相は26日の閣議後の記者会見で、電力大手各社が固定価格買い取り制度(FIT)に基づいて、どれだけの再生可能エネルギーを受け入れられるかを緊急調査する方針を表明した。九州電力が、太陽光と風力発電の新規受け入れを制限したことを受けた措置。専門家が九電の送電網などを詳しく調べ、再エネをさらに受け入れられると判断した場合は、新規受け入れを求める考えだ。
九電は、受け入れ制限の理由を、7月までに申請された太陽光と風力発電(出力計1260万キロワット)をすべて受け入れると、電力使用量が比較的少ない春や秋の最大需要約800万キロワットを上回ると説明。需要と発電量のバランスが崩れると停電しかねないと主張している。同じような理由で、北海道電力や沖縄電力も昨年から再エネ電力の新規受け入れを制限している。 経産省は、九電を含め同様の動きが相次げば、FIT認定を受け、土地を購入するなど再エネ発電事業の準備を進めている事業者への影響が大きいと判断。有識者会議で、電力各社の電力需給の状況や、送電線の容量などの報告を受け、詳しく調べる。電気が余れば、他の電力会社に流したり、揚水発電のくみ上げに使ったりする方策を検討する。揚水発電は、余った電気を使って下流から水をくみ上げてためておき、需要が多いときに放水して発電する仕組みで、蓄電池のような機能を持つ。
また、電力会社が再エネの受け入れを抑制しやすい仕組みも検討する。現在は、電力会社は年間30日間に限って再エネ電力の受け入れを制限できるが、30日を超えれば、再エネ発電事業者に補償金を支払う必要がある。経産省は九電管内については、無補償の受け入れ制限期間を延長することを検討。既存の再エネ事業者からの電力受け入れを減らす分、新規受け入れを拡大させる案を検討する。【安藤大介】
要するに、「再生エネルギー」で発電することは「良いこと」なので、電力会社は「絶対買え!」という無茶な要求を経産省でしようということだ。だが「再生エネルギー」は自然まかせだから変動も大きく、需要と発電量のバランスを安定させることができない。多くの再生エネルギー事業者は、不安定な電力を安定化させるような装置(蓄電池から用水発電まで)を持っていない。これらは本来、再生エネルギー事業者側で持つべきものなのだ(それをすると、ただでさえ高い再生エネルギー電力の単価が上がる)、また多く発電して多く送電したいのなら、その送電線の追加投資分も持つべきだろう・・・今の所、「不安定」な再生発電の電力は、蓄電池等で自家使用するのでないかぎり、電力会社の送電線の中で「熱エネルギー」となって消えているのが現状だろう。(このへんはこのHPのNo.957 (2014/09/22)自然エネルギー発電の「外部」不経済 を参照のこと)
さて、原発に関する世論調査を見ると、「脱原発」派と「原発維持派」が半々ぐらいなのだが、「脱原発」派の中でも「即脱原発」と「代替エネルギーが得られれば、脱原発」とに、だいたい2分されている。私らは「再生エネルギーを推進して下さい」とお願いする人も含めて、「即脱原発・再稼働反対」派なわけだが、「原発がなくなると、やっぱり電力不足になる…だから再生可能エネルギー発電を進めて、脱原発を・・・」と考えている人が、のこりの「いつかは脱原発」派にいるのだろう・・・しかし原発なしで今年の冬も夏も乗り切った現実を考えると、わざわざ高くて効率の悪い(・・・ということは、その分石油などの化石燃料を消費しているという意味でもある)「再生可能エネルギー」に頼らなくても、既存の火力発電所の整備、増強で当面は十分だということが分かる。
「再生可能エネルギー」「自然エネルギー」を安定した電力に変えるということは、エントロピー増大則(熱力学第二法則)から考えても無理なのだ…その「夢」が実現しないと原発がなくならないと思いこまさせる「再生エネルギー」論者が、則脱原発の足を引っ張っていると言っても、過言ではなかろう。
| 固定リンク
「かくめいのための理論」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- コロナ禍での社会ヘゲモニーを握ろう!(2020.05.15)
- 憲法1条を守れば天皇制はなくなる?(2020.05.05)
コメント
あるみさん、お久しぶりです。基本的なことですが、なかなかわかりづらいので、今一度、この話を続けてください。私の素朴な認識では、そもそも原子力自体が、効率が悪いこと。また、石油がないと原発自体が動かせないことが基本です。また、発電所から大鉄塔を通じて都市に電気を送るのは、鉄塔や電線が切れたらアウトです。また、長距離に電気を送るのはロスが大きい。福島や浜岡、柏崎から、原発稼働させて、大鉄塔通じて、長い電線で、東京まで電気を持ってくるのは、安全性以前にムダとおもいます。深刻に思うのは、どうしても電気のいるところはそんなにないということです。家の照明など、必要最小限にすれば、相当電気量減らせるはずです。最近のエアコンは、扇風機つけっぱなしより電気食わないし、またそもそも風通しをよくすればいい。あと蓄電池については、3・11以降、技術開発はどうなっているでしょうか?病院などのことを考えると、ローカルな発電蓄電システムの開発は、原発以前に、大鉄塔、電線問題があるので、やはりなんとかして欲しいとおもいます。まあtvなければだいぶ解決するし、音楽は電気なくても生で十分と、ギター弾く友人が言ってましたから。なんでこんなに電気ばかり使わせるのか、考えてみると変だと思います。やはり都市での総量をどれだけ減らせるか、ローカルに最低必要な電気量をどうやって確保すべきか?そういった議論をして行って、どれだけ原子力が、無駄で、不安定で、不経済で、危険で、核武装のためにしかないことをいって行くべきと思います。あと大鉄塔と大送電線の健康被害など。TK
投稿: TK | 2014年9月27日 (土) 22時12分
まぁ俺も原発は反対ですね。コストとか危険云々ではなく、あれだけ派手に事故った東電に対して、責任追及も賠償問題もロクにできない政府が御し得るシステムではないのが理由ですが。技術的には心配がないし、石油のコスト変動に対するリスク分散、核融合などの次世代発電が実用化されるまでの繋ぎとしては悪くないと思っていますが、日本という国が扱うにはあまりにも過ぎた玩具かと。利権の温床でしかない。
スカイツリーは照明をLEDに替えたことで、電力消費量を4割減らしたとか。たとえば国でLEDに対して補助金を出して蛍光灯と同額にすれば、現在の電力を大幅に下げる契機になる。
旧式エアコン、冷蔵庫なども同様に、非効率的な機器を積極的に新型省エネタイプに買い替えさせるだけでも、相当浮くかと。
投稿: ROM人 | 2014年9月28日 (日) 00時06分
あるみさん偉い。
太陽光発電は幻想であり汚い。
原子力発電こそが当初は夢のエネルギーと言われていたのではないかな。
石炭石油に代わるクリーンエネルギーと大宣伝された。
永遠に稼動し続ける廃棄しなければ当に夢のエネルギーでした、ところが原発設備は地元政治だけでなく地元民を巻き込んだ腐敗の温床となりました。
右も左もバラマキ獲得合戦です。
左翼の末端では平等意識・生活改善意識が残っているかもしれませんが上部では右よりはるかに腐敗して利権と支配欲です。
原発と同じく太陽光発電設備で将来の廃却汚染がはまったく報道されていません、それよりも高コストで無駄です。
太陽光パネルそのものに有害物質は使用されてないのか廃却するときのシステムはこれから考えるのかならば原発と同じで更に効率悪く馬鹿げています。
今まで役所主導の補助金行政でまともなものは何一つありません、補助金行政にはホイホイと乗っかる左翼政治家つまり右も左も国民よりも利権大好きなのです。
革命は政治的に抑えられた民衆から生まれるとすれば(個人的には興味ない)政治が推進する太陽光発電は住民意苦痛を強いる反革命なのだ。
投稿: tatu99 | 2014年9月28日 (日) 09時32分