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日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その1)

 表題の本(矢部浩治 集英社インターナショナル)を読んだ…左翼なら知っているであろうことも多く書いてあったが、それをより新鮮な形で提示してくれている。また、「何これ!」というような事実も書いてある。今回は本の各章をまとめるのではなく、私が「再確認しつつも、驚いた」点について、ちょこちょこピックアップして書いてみる。なお、類書として本当は憲法より大切な日米地位協定入門 (前泊博盛 創元社)と読むと、なお良い。(こちらは現在読み進め中…よってレビュー内容がごっちゃになることもあるので注意)
S20141223
 まず、日米安保や地位協定が、「日本国憲法」より上位にある謎…「日本国民」の生存権などの「憲法に定められた「権利」を守ろうとすれば、当然「普天間基地」のような危険な空港は「廃止」されねばならないし、横田や厚木の米軍基地も同様となる…しかし裁判などで騒音被害等を訴えても、「統治行為論」で、日米安保や「地位協定」上では、米軍は日本のどこにでも好きなところに基地、施設をつくることができる・・・の「違憲性」は問われず、住民は「敗訴」を繰り返している。「条約は一般の法律よりも強いが、憲法より弱い。近代憲法というのは基本的に、権力者の横暴から市民の人権を守るために生まれたものだからです。だから、いくら日本政府が日米安保条約を結んで、それが日本の航空法よりも強い(上位にある)といっても、もし住民の暮らしや健康に重大な障害があれば、きちんと憲法が機能してそうした飛行をやめさせる。これが本来の法治国家の姿です。」(p43~44)
 「統治行為論」の始まりは、1959年に確定した、「砂川裁判」における最高裁長官の判決で「日米安保のような高度な政治問題については、最高裁は憲法判断をしなくてよいという判決」(p44)を出してからである。これで、司法は「日米安保条約」という「行政」の行為をおさえることを止め、「日本国憲法」<「日米安保」という図式が確立してしまった。さらにこの判決が出る過程で「検察や日本政府の方針、最高裁の判決までふくめて、最初から最後まで、基地をどうしても日本に置き続けたいアメリカ政府のシナリオのもとに、その指示と誘導によって進行したということです。この驚愕の事実は、今から6年前(2008年)アメリカの公文書によって初めてあきらかになりました。」p44~45
 「統治行為論」自体は日本では法学上の「公理」として扱われているが、実はアメリカにもフランスにも、日本で使われているような「統治行為論」は存在しないのだそうな。
 こうして「日本国憲法」<「日米安保条約」という図式の中で、日米地位協定に基づき、在日米軍を具体的にどう運用するかをめぐって、日本の官僚と米軍は60年以上にもわたり、毎月2回会議をしている。これを「日米合同委員会」というのだが、そこで様々な合意が生まれ、また合意したけれど議事録には書かれない「密約」もあり、一つの法体系として膨大な取り決めがなされている。「しかもそれらは、原則として公表されないことになっている。」p50ということだ。
 「日米合同委員会」には外務省、防衛省だけでなく、日本の様々な官庁のエリート達が集まって会議している・・・ま、簡単にいうとここに「原子力村」ならぬ「安保村」がどっしりと日本に根をおろしているわけだ。
 鳩山内閣が政権を取るにあたって示した公約…「普天間基地の県外移設」をぶっこわしたのも、この「安保村」の官僚たちだというわけだ。鳩山元首相はこの安保村の強大さについての「認識が甘かった」と、最近の雑誌インタビューで答えている。

 さて、「憲法」<「安保」体制の下で有名な「不平等条約」として、米軍の航空機は日本の航空法の適用除外とされているということがある。また、沖縄の全上空はおろか、首都圏の空のほとんどの「管制権」が米軍下にある。米軍機は日本全国どこでも、超低空飛行で訓練したりすることが出来る。「オスプレイ」導入時に新聞等で報道された、オスプレイの訓練予定コース(オレンジコース、パープルコースとか呼ばれている)も、元々米軍機が低空飛行訓練をしていたコースであり、実際1994年、「オレンジコース」を飛んでいた米軍機が四国の水がめ、早明浦ダムに墜落し、乗員が死亡する事故が起こっている。また、88年には、なんと伊方原発のすぐ近くに米軍機が墜落するという、一歩間違えば「フクシマ」を超えるような大参事になるようなことも起こっている。(おまけ・・・四国電力は、伊方原発の27m手前に飛行機が落ちても、原発は大丈夫だという主張をしている・・・オイオイ、直撃することは「想定外」かね?)

 実は日本政府は、日本にどのようなアメリカ人が何人来日しているのか?ということも把握できていない。在沖海兵隊のグアム移転問題が本格化したころ、沖縄に何名の海兵隊がいるこか、実は分からなかった…その上で「在沖海兵隊の定員は1万8千人(実際は定員不足で1万3千人くらいだったらしい・・・それを8千人に減らすから、移転する人数これだけにつき、これだけの金を日本は出す」・・・という「空中戦」のような議論をしていたわけだ。

 もっとスゴイ話がある…アメリカのCIA工作員のようなヤツが、米軍基地経由で「自由」に日本国内に入ってこれるのである。直接、横田基地や横須賀基地にやってきて、青山公園内の六本木ヘリポート(米軍基地)に向かう・・・これは公開された大統領特別補佐官への秘密報告書の68ページにちゃんと「数多くのアメリカの諜報活動員(略)の要員が、なんの妨げもなく日本中で活躍している」と書かれていることである。

いやぁ~さすがに私もここまでとは知らなんだ…まさに「在日(米軍)特権」じゃないのvirgo・・・日本の「国士気取り」のウヨク様は、中国や韓国、在日朝鮮人の「悪口」や「ありもしない特権」についてごちゃごちゃ言うより、こういった事実にこそ抗議すべきではないのか?

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コメント

工作員なんて米国じゃなくても普通に入れるがなw
日本の諜報対策はザルだし。

基地を置かされる理由は簡単。
負けたから
以上。

勝者がルールを決め、正義を決め、法を決める。敗者は従うしかない。それに反発するにはアメリカを超える軍備と経済力が無いと無理。

投稿: ROM人 | 2014年12月26日 (金) 00時23分

日米地位協定のサマリーを、ヨーロッパの新聞の紙面を買って掲載すれば、日本の国際的地位が明らかになると思いますね。

日米従属関係は、何よりも優越するみたいです。

岩下俊三さんのブログ。

http://blog.livedoor.jp/shunzo480707/archives/4798523.html


いつだったか有楽町で基地返還とかなにかなのビラまきをしていたんですよ。そうしたら、通行人のおじさんが、「中国の脅威」とかをまくし立てるのではなくて、こういいました。
 「だってアメリカに戦争で負けたんだからしょうがないんだよ」
 潔くぶっちゃけなことを言う人でした。

 アメリカに敗けたわけではないからフィリピンでも他の国でも自分の判断で、アメリカの基地を置いたりやめたりの判断ができる。日本はにはそういう判断は最初から許されていない。そこが他の国と日本の差だという議論を自分に引き受けるのだから、そのおじさんはなかなか傑物というべきか。
 
 しかし、チベットもある意味では中国「負けた」から主権侵害されていいとかいう人もいるのかもしれませんが、日本でそんなこと言ったら、ボロクソに言われそう。

投稿: | 2014年12月26日 (金) 21時47分

約1匹、オスプレーマンセー→アメリカ様マンセーの奴隷根性丸出しの立派な「日本人」がいますね(笑)

あるみさん、おっしゃるとおり、『本当は憲法より大切な日米地位協定入門』のほうも読むと、とても参考になりますよ。アメリカにケチョンケチョンにされたあのイラクですが、アメリカ軍占領?駐留?にあたっては、日米地位協定よりマシな協定を締結してるんです。どうやら、イラク外務省は、米軍と地位協定を締結する前に来日して、日米地位協定について研究・情報収集を行ったようです。日本のよな屈辱的な目に遭わないために、ということだったのでしょう。

P205-206から引いておきます。

(引用開始)
 そのアメリカとイラクが結んだのが「イラク・アメリカ地位協定」ですが、この協定の正式名称は、「米軍のイラク撤退および米軍がイラクに暫定駐留するあいだにおける同軍の活動の組織化に関する米国とイラク共和国とのあいだの協定」
 となっていました。・・・・・・・これからわかるとおり、駐留米軍の権利を定めたという点では日米地位協定と同じですが、前提となっているのは「占領の終結と同時に外国軍は撤退する」という大原則なのです。
 よく日本人は、沖縄に米軍がいるのも、首都圏に米軍がいるのも、「戦争に負けたからしかたがない」などといいますが、そんなことはまったくないのです。毅然として、国際社会のルールにのっとって交渉すれば、イラクのような、戦争で惨敗し、GDPは日本の50分の1で、隣にイランという大きな脅威のある国でも、米軍を撤退させることは可能なのです。
(引用終わり)

 後半の部分、「よく日本人は・・・・・」というあたり、奴隷根性丸出しの立派な日本人にピッタリではあーりませんか(笑)

 情勢が変わって、今現在も米軍はイラクでコチョコチョやっていますが、撤退が大原則になっています。また、米兵の犯罪はイラクが裁く、ということにもなっているようです。

 第二次世界大戦で日本と同様、米軍主力の連合軍にケチョンケチョンにされたドイツとイタリアがありますね。ボン・ベルリンやローマの上空は米軍が管制権を握ってるんですかねぇ。日本・東京の横田・横須賀→六本木ルートみたく、ベルリンやローマでも、アメリカ人が自由勝手に入出国できるルートがあるんですかねぇ。たぶん、ないですわな(笑)

投稿: 風 | 2014年12月26日 (金) 23時28分

>ベルリンやローマでも、アメリカ人が自由勝手に入出国できるルートがあるんですかね

極め付けの馬鹿だなww
ベルリン周辺はソ連占領区だよw基地云々の問題。なんでソ連領に米軍基地作れるわけねーだろw

しかも日本と地理的要因も違うから、ソ連陸上兵器からの攻撃範囲に基地は置けない。在独米軍基地がドイツ西部に存在してるのはそういった理由だ。イタリアの米軍基地は、ローマは地中海寄りで基地を置くメリットが全くないから、北東の方に基地をもってる。


沖縄はともかく、首都圏に米軍基地があるのは、物資的な面。東京湾からすぐに物資を基地に運べる。
日本海側だと大回りする必要あるし、呉は当時沈船+国際条約違反の機雷散布で艦艇係留は無理だったからだろう。


そして闘いに負けたのは確かだが、ならば次は政治と宣伝で勝てば良いだけのこと。
国防上の観点からして基地撤退は望ましくはないが、地位協定の大幅な見直しは右側とて反対する奴はそういないだろう。

左翼の失敗はあれもこれもと最初から理想を掲げて地道な努力をしないこと。革命で一気にすべて解決しようという無茶な伝統が、すべてを台無しにしてる。
まずは地位協定のみに絞って現状改善を行うべきだ。米軍が十中八九不起訴になるクソ検察のやり方も含めて。
政治的に勝つってのは、戦争や革命と違って地道な努力が必要。アメリカは強大だ。それに勝つためには、相応に準備を重ねて政治的に勝っていくしかないだろう。

まぁ、日本の政治家や役人に、そういう宣伝戦アメリカとやり合える奴がいねぇってのが一番の問題なんだけどな。

投稿: ROM人 | 2014年12月27日 (土) 03時48分

日米地位協定は不公正ですが日本国憲法も地位協定と一体化した不公正不平等憲法ですね。
アメリカの奴隷となるべしの憲法9条。
憲法9条がありながら国連常任理事国を企図する害無脳症、国連そのものが連合軍の成れの果て米英仏中露の軍国主義のカタマリ。
左翼であっても神国日本はどうあるべきか少しだけ考えましょう。
経済至上主義の仲間集めではは保守と同じです。
保守は働いて働かせて経済発展、左翼は働かずともカネヨコセ、日本では生活保護レベルでも最貧国から見たら超裕福な暮らしです。
米軍基地があろうも裕福な生活が欲しいではおかしい。
生活優先で仲間集めをした左翼では基地も原発もなくせません。
神国日本には米軍基地も原発も要らないその前に特定国の侵略を完全に防止です。

投稿: tatu99 | 2014年12月27日 (土) 09時10分

ま、ぶっちゃけた話、ROM人さんのような質問・疑問にほとんど全てこの本は答えていますね…私のつたないレビューでは伝えきれないので、ぜひ本書を購入するなりしてお読みいただければ幸いです…1200円+税…そんなに高い本ではありません。さっそくアマ○ンへ、あるいは近所の書店にLet’sgo!

投稿: あるみさん | 2014年12月27日 (土) 22時37分

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