« 日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その1) | トップページ | 2015闘春でゲソ »

日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その2)

 この本は「基地」と「原発」が表題にでているけれども、「原発」に関することはほとんど書かれていない。(PART2のうちの、半分くらい)・・・しかしそこに「安保村」の「統治行為論」が貫かれていると説く。
 わずかに救いなのが、原発に関して起こされた3件の勝訴の事例である。そのうち高裁で宇唯一の住民勝訴の判決(設置許可無効)を書いた川崎和夫裁判長(当時)は、のちの朝日新聞社の質問に答えて「自分はそういう考えをとらなかったが『原発訴訟に統治行為論的な考え方を取り入れるべきだという人がいるということは聞いたことがあります』とはっきりのべています」p60
 3件目の判決が、2014年5月15日に出された、大飯原発三、四号機の再稼働差し止め判決である。福井地裁の樋口英明氏の判決を、再度掲げてみると
 「地震大国日本において基準地震動(関西電力が設定した最大振動=700ガル)を超える地震が大飯原発に到来しないというのは、根拠のない楽観的見通しにしかすぎない」「当裁判所は〔関西電力側が展開したような〕きわめて多数の人々の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないと考えている」(p60~61)・・・きわめて格調高い判決である…というより、一企業の「金儲け」よりも「憲法25条」に規定されている生存権を重く見た当然の判決である・・・しかし筆者は「この判決が政府・与党はもちろん、関西電力の方針に影響をあたえる可能性もほとんどありません。少なくとも最高裁までいったら、それが完全にくつがえることを、みんなよくわかっているからです」(p61)と、悲観的に考えている。S20141223_2

 「福島の悲劇」は、「統治行為論」といった、いわばウラ側の論理が、福島の人たちにほとんど共有されていないところにある…沖縄では長年、「基地問題」で苦しみ、闘てきたため、そういった「ウラ側」の問題が良く分かってきたのだが(いわゆる沖縄の「保革連合」も、そういったところが共有されて出てきたものだと思う)、福島(本土)の場合は、今まで何も問題なく暮らしていたところに、突然「原発事故」があらわれたのだから、無理はない。
 しかしそれ以前に「原発を推進してきた側」から、無理やり通されてきた「日米安保・法体系」>「日本国憲法・法体系」と同様の「法体系」が、民衆の知らないところで「密約的」につくられてきたことにある。

 そしてその「秘密法体系」は、「日米原子力協定」から始まっている・・・これを筆者は「密約法体系」と呼んでいる。

 「統治行為論」的には、原発からもれた「放射性物質」が、環境汚染物質として取り締まられるのではなく、「無主物」として扱われるトンでもない「法体系」として表れている。環境汚染に関わる様々な物質…ヒ素や鉛等の重金属など…は法律で排出基準等が決められているが、そこには「放射性物質は除く」と書かれているのである。すなわち、ヒ素や鉛等の重金属よりもたちの悪い「放射性物質」が「環境汚染を起こす物質」であると定義されていなかったわけだ。さすがにこれはマズいだろうと、法改正が成されたが、放射性物質に関しては「環境汚染を防ぐための上限」が記載されていない・・・とんでもないことである。
 

 「こうして駐日アメリカ大使と日本の最高裁が米軍基地に関してあみだした『統治行為論』という『日本の憲法を機能停止に追い込むための法的トリック』を、日本の行政官僚や司法官僚たちが基地問題以外の問題にも使い始めるようになってしまった。官僚たちが『わが国の存立の基礎にきわめて重大な関係を持つ』と考える問題については、自由に治外法権状態を設定できるような法的構造が生まれてしまった。その行きついた先が、現実に放射能汚染が進行し、多くの国民が被曝しつづけるなかでの原発再稼働という、狂気の政策なのです。」(p87)

これが「日本が原発を止められない理由」である・・・ではなぜ、そんな無茶苦茶がとおるようになったか、アメリカ軍の占領政策とそれに対する日本側の対応、日本「独立」時における対応等が、分かりやすく展開されている。(続く)

|

« 日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その1) | トップページ | 2015闘春でゲソ »

かくめいのための理論」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

反原発にしては結構まともな意見の本だな。
感情的にならず、理論と理屈を背景に出してるのは珍しい。

違憲立法審査も、実際に被害が発生してからでないと問えないのもおかしいシステムだし。

まぁ原発やら基地で騒いでいる左翼も、この本の著者みたいに感情じゃなく論理で物事を訴えてほしいもんだ

投稿: ROM人 | 2014年12月28日 (日) 09時01分

この記事のテーマに通じるところがあると思います。

ニュースワーカー2(共同通信記者のブログ)http://d.hatena.ne.jp/news-worker/
に、

京都新聞の、
民意が示したもの「戦後70年体制の行方」 
http://www.kyoto-np.co.jp/info/seiji/minni/20141216_7.html

という連載が紹介されていました。 

投稿: kuroneko | 2014年12月29日 (月) 16時40分

京都脱原発訴訟原告団事務所が禿しく敗訴、処分されていた事がわかった。

市民共同法律事務所、中村和雄弁護士 市長選挙2連敗共産党
http://homepage2.nifty.com/inachan//kyousantou.htm
原告をだまして控訴を取り下げさせておきながら、一転して勝てるわけもないと代理人を下りてしまった。

京都南法律事務所、共産党アルカイダ
 井関佳法
裁判所を間違えて答弁書出し、相手方の主張通りの判決が出てしまった。

弁護士 杉山潔志、敗訴タイ記録
城陽・久御山民商の藤村さんのレーシングカー事件・・・逆転敗訴となりました。
最高裁判所では ・・・惜敗しました。
城陽・久御山民商の秋元さん、伏見民商の藤本さんの事件では・・・裁判所は 信用できないと切り捨てました。
八幡民商の中妻さんの事件では・・裁判所は認めませんでした。

 中尾 誠 タリバン
ビンラディンが9・11事件の首謀者であるのであれば、殺人罪、建造物損壊罪などで、逮捕・起訴すればよいのである。
容疑者(主犯はオバマ)を、日本の警察・検察は逮捕できる、さらに言えば、国内の治安維持のためには逮捕しなくてはいけない。

岩佐弁護士
今年の憲法集会で日本が中国で2千万殺したと言って会場一同えーっ
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/kyousan/1404579015/

投稿: | 2014年12月30日 (火) 18時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1094529/58396115

この記事へのトラックバック一覧です: 日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その2):

« 日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その1) | トップページ | 2015闘春でゲソ »