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日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか(その5)

5 さて、ここから戦後世界体制を大きく規定している「国際連合」関係の話に移る・・・ま、もっとも知っている人は知っているだろうが、「国際連合(以下、「国連」と略す)は、第二次世界大戦時の「連合国」のことであり、その始まりは1941年8月14日に米英間で調印された「大西洋憲章」がその始まりである。本書で太字で書かれている部分を引用すると・・・
1.両国は、領土その他の拡大を求めない。
3.両国はすべての民族が、自国の政治体制を選択する権利を尊重する。(以下太字ではない)
6.両国は、ナチスによる暴虐な独裁体制が最終的に破壊されたのち、…すべての国の民族が恐怖と欠乏から解放されてその生命をまっとうできるような平和が確立されることを望む。
8.両国は、世界のすべての国民が、現実的または精神的な理由から、武力の使用を放棄するようにならなければならないことを信じる。もしも陸、海、空の軍事力が、自国の国外へ侵略的脅威をあたえるか、またはあたえる可能性のある国によって使われつづけるなら、そのため両国は、いっそう広く永久的な一般的安全保障制度(筆者によれば、これが国連である)が確立されるまでは、そのような国の武装解除は不可欠であると信じる(以下太字でないので略)

 1941年8月といえば、イギリスはナチスドイツにやられっぱなし、まともにナチスと戦っているのはソ連だけ・・・といった状況下において「ナチスドイツに必ず勝つ」「その後の世界平和を維持する仕組みをつくる」まあ、もっとも米英とも「帝国主義国家」だからその利益に反しないようなものとなろう…レーニンが言った「帝国主義間掃討戦」がもう二度と起こらないような仕組みを作り、それをやぶるような国の武装解除は不可欠と言い切っている…なんという自信であろうか!
 その後、この理想主義的な大西洋憲章に、中国とソ連をひきこみ、1942年の1月には26か国からなる「連合国共同宣言」が成立する・・・この宣言は大西洋検証に賛同し、参加国は日本、イタリア、ドイツなどの枢軸国と全力で戦い、単独講和をしないこと、他の署名国と協力することが合意された。その加盟国は大戦末期まで47か国に増え、戦後は「憲章」を作って国際機関に衣替えし、現在200か国近い加盟国を持つ「国際連合」となっているのである・・・しかし実態は第二次大戦の「連合国」であり、「その本質は、あくまでも『米英同盟』を中心とした世界運営にあります。」(p202)

 日本の徹底した「武装解除」も「大西洋憲章」をもとに行われたものだし、日本国憲法第9条の「戦争放棄」「戦力不保持」は、文字通り大西洋憲章の理念に基づいたものである…一方で「沖縄」が「主権は日本」にありながら「日本からの申し出によって」、アメリカの領土のようになってしまっているのは「大西洋憲章」の「領土不拡大」を演じるためでもあった。
 ちなみに対日戦争が終わったとき、マッカーサーは「非武装の日本」を体制の違うソ連から守るには、嘉手納基地の弾薬庫にある戦術核で十分だと考えていた・・・ところが中国革命が成功し、ソ連も原爆開発に成功した事実をうけて「日本全土基地化」に方針を転換したのだ。
 大西洋憲章の米英を除く「非武装・非戦」の理念は、さまざまな国際関係、特に「冷戦」のはじまりにより、国連憲章ではかなり形骸化する…それでもある国に対する侵略は「個別的自衛権」で防衛しつつ、「国連軍」が「侵略国」…国連憲章を守らない国と戦う…という安全保障の枠組みはできた。(その中で「集団的自衛権」という、これまでになかった概念も導入され、これがベトナム戦争やソ連のアフガン侵攻などの「理屈」とされてゆく・・・ここがややこしいところだ。)

 さて、国連憲章の中には「敵国条項」というのがある。要するに第二次世界大戦時に「枢軸国」側についていたドイツ、日本、イタリア、フィンランド等をさすのだが、日本とドイツ以外は大戦終結時までに降伏したり、連合国側について「参戦」したりしているので、事実上敵国条項が適用されるのはドイツと日本だけである。
 日本は国連に多額の金を拠出し、さまざまな国連の活動にも力をそそいでいるにもかかわらず、この「敵国条項」は残っている。もう戦後70年もたっているのだから、こんなもの市文化しているのではないか?とも思われがちだが、そうではない。だから日本のいう「国連改革」の中には、「常任理事国入り」の他、「敵国条項」削除が必ずはいっている。
 では「敵国条項」に関する世界の見解はどうなのだろうか?「現在日本で手に入るもっとも信頼できる国連憲章の解説書である『コマンテール国際連合憲章―国際連合憲章逐条解説』(東京書籍)によれば、なんと『その点については学説は分かれる』となっているのです!(p236)
 この本の元ネタは1991年にフランスの大学教授を中心に80数名もの法学者が結集して書かれ、編集されたものなのであるが、その中で「『しかし、次に示す外交の実例からして、ソ連を含む連合国は〔敵国条項]第107条にもとづく権利を、少なくとも西ドイツとの関係においては放棄したように思われる。』『東方政策〔西ドイツの行った、東ドイツを含めた東欧諸国との関係正常化を目的とした外交政策〕の諸条約は、1970年代以降、西ドイツと東側の隣国との関係において〔敵国条項〕第107条を、そして第53号も無効にした』
1970年代の東方外交の結果、ドイツに関しては、敵国条項は事実上、死文化しているということです。ところがその一方、日本についての記述はどこにもないのです!
 つまりこの本の著者や編者たちは、日本に対する敵国条項の効力は、依然として存続している可能性が高いということを言外に教えてくれているのです。」
p237~238

 ドイツの「東方外交」とは、要するに「戦後処理」のことである…広大な領土をポーランドやフランスに割譲することを認め、国家としての「謝罪外交」も展開し「過去の克服」を行った…それを周辺諸国も認めたということである。
 金だけだしてろくに「謝罪」もせず、それどころか「侵略戦争」を美化する知識人や政治家か闊歩する「日本帝国主義」が、いくら国連でロビー活動をしても「敵国条項」は死文化しないであろう。

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