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こんな「お馬鹿」な研究、止めてくれ!

 日曜日の夕方、部屋飲みするときはたいてい6時からTBSの「THE 世界遺産」を観て、それから「夢の扉」を観る(ついでに言うと、土曜は「報道特集」・・・このパターンを続けているので、チャンネルは変えないですむ)
 「夢の扉+」には、実にいろいろな「夢」に向かって研究したり、組織・会社をつくったり、様々な内容や人々が取り上げられる。「おお、これは素晴らしい!」というようなものもあれば「なんじゃこりゃ」的なものも多い(^^)  今回その「なんじゃこりゃ」以上のナンセンスな「夢」を紹介・・・というより簡単に叩いておく企画である。
 2月15日に放送された宇宙に発電所を作れ!~高度36,000kmから地球へ “無限のクリーンエネルギー”を送る“宇宙太陽光発電”

 成功すれば“人類初”となる壮大なプロジェクトが、今、日本で進行している。
それは、『宇宙太陽光発電』。高度36,000kmの宇宙空間に、
巨大なソーラーパネルを設置して太陽光を集め、宇宙で電気を作るというのだ!
地上と違い宇宙では、天候や昼夜に左右されることなく太陽光が照りつける。
そのため、高効率でエネルギーを集められ、発電量は、原発一基分に相当するという。
でも、どうやって宇宙から地上まで電力を送るのだろうか―?
この産学官連携の大プロジェクトを率いるのが、京都大学の篠原真毅教授。
「あほちゃうか?」そう言われても、宇宙太陽発電所の研究を、実に24年間続けてきた。
篠原の夢は、『エネルギーで困ることのない未来』を築くこと―。
はるか宇宙から地球へ電力を送る、その全容とは―!?
京都大学に建設された世界最大規模の実験施設で行われる、篠原の研究に迫る。

 ぶっちゃけた話、宇宙に巨大な太陽電池パネルを浮かべ、「マイクロ波」を使った送電システムを地上で受け取るというもの…ちなみに「マイクロ波」を使った送電については、ある程度目処もついていて、発展させれば色々な用途に使えそうだ・・・「送電線」が無くなるかもしれない。
だが、この「夢」の問題は、「宇宙に太陽光パネルを並べる」という発想そのものだ。番組を観ていると、「原発1基分」のエネルギーを得るのに、2㎞四方の太陽光パネルが必要とあった…そんな「太陽光パネル」を作り、宇宙の静止軌道上に載せるのにどのくらいのエネルギーを投入するのか?篠原教授は「計算」したことがあるのだろうか・・・もちろん、軽くするために太陽光パネルに「新しい技術」を投入して薄くすることも出来た…そのためのエネルギーも含めてだ
 さらに宇宙空間では、太陽からの放射線や宇宙線が飛び交う、大変過酷な環境だ。気象観測の人工衛星ですら、何年か経つと新しい物に取り換える・・・耐用年数を上げようとすれば、当然その分、投入するエネルギーはかかる。
 また、地上でマイクロ波を受け取る装置も、どのぐらいの規模になるのか、謎である。番組では「海上」に設置されていたが、海上というこれまた過酷な環境下に、架台も含めた「精密機器」を建設し、維持してゆくのには「エネルギー」がかかる。

 篠原教授は、自分の「夢」のプロジェクトに、いったいどのくらいのエネルギーを投入することが必要で、それを「回収」するのに何年かかるのか番組では何も説明していない。おそらくそんな「計算」すらしたことは無い断言できる。

 普通に科学技術を学んできたら、おそらく「投入エネルギ」>「宇宙太陽光発電エネルギー」になると、誰もが予測するであろう。すなわち、「宇宙太陽光発電」というのは、発電所としては完全に成り立たない…投入するエネルギーをそのまま「火力発電」で燃やして発電したほうが、エネルギーの使い方としては、はるかに合理的である。
 「あほちゃうか」のレベルではない。完全な「お馬鹿」の研究である…こんな研究に金を出す国もまた「お馬鹿」である。

 こーゆーことは、色々ある。例えばトヨタ自動車が燃料電池車を本格的に売りに出した…とことから、世の中「水素社会」に向かうという「イデオロギー」がまかり通っている。しかし、水素を安定して供給するためには、水素ガスを圧縮してタンクに詰める必要があるが、燃料電池車で使うタンクの圧力は700Mp という途方もない高圧である。タンクそのものは実用化されているものの、肝心の水素にそれだけの圧力をかけてタンクに溜め、運搬するのにエネルギーを大量投入しなくてはならない。液体水素にする場合は、-253℃まで冷やさなければならず、これまた膨大にエネルギーが必要だ。さらに「水素社会」を作るには、それだけのエネルギーを投入した上に、「水素ステーション」などのインフラ整備も別途行わなければならない・・・これにもエネルギーがかかる。かくして「水素社会」を構築するよりも、これらにかかるエネルギーを上手に節約しながら、地熱を取り出したり(石油掘削技術の応用で可能)、低温熱源でもタービンが回せる発電方式(これも偶然「夢の扉+」で紹介されていた)を地道に開発してゆくのが、「エネルギー問題」の解決策の一つである。

 しかし、今も昔もそうだろうと思うのだが、科学者・技術者の多くが「目の前の目標」(この場合は発電)だけにとらわれて、全体を見ることが出来ないことに、大きな問題がある。今回はたまたま「篠原教授」や「水素社会」をやり玉に上げたが、その集大成が「原子力エネルギーの利用」であることは、言うまでもない。

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技術屋さんのお話」カテゴリの記事

コメント

今こそ、あなたが、水素技術や宇宙発電等の新技術開発を、
否定的にとらえ、敵視する心理を、冷静に自己分析するべきです、

革命のための革命を目指す方向に、なっていませんか?
明るい未来・豊かな生活につながる技術の可能性を、邪魔なものと感じていませんか?

一個人の趣味と、割り切って「革命」をあつかうのなら何もいいません、
ただし、
革命のために、「貧困と抑圧が必要」であり、豊かな生活が邪魔であるという感覚ならば、
広く一般の支持を得ることなど不可能でしょう、

当たり前の生活の中で、革命を支持しうるような「制度の創造」が、
革新勢力に突きつけられた課題になっていると思います、
しかし、それが今の社会とどう違うのか、説明するのは難しいのではないか、とも感じています。

投稿: 羽賀 | 2015年2月26日 (木) 04時54分

羽賀さん…>明るい未来・豊かな生活につながる技術の可能性を、邪魔なもの…なのではなく、もう純粋的・科学的に「明るい未来、豊かな生活」にはつながらないからこそ、これを書いているのですよ。
簡単に言いますと、「水素社会」なり「宇宙太陽光発電」というのは、化石燃料エネルギーを「迂回」して利用した発電方法にしか過ぎません。水素に圧力をかけて安定した状態で供給するにも、宇宙に巨大な太陽光発電所を打ち上げて維持していくにも、膨大な「化石燃料エネルギー」が必要であり、その量を減らすことは、いくら「技術」が進歩しても無理なのです。記事に書いたように(投入エネルギー)>(水素・宇宙発電から得られるエネルギー)になることは分かり切っています。水素を圧縮したり、2㎞四方の太陽光パネルを宇宙に打ち上げるのに、「最低」どれだけエネルギーがかかるか?は、その気になれば計算できるでしょう。(そうゆう計算は研究を進める側が「説明責任を果たす」べく行うのが筋です)そして確実にそのエネルギー量は、「水素・宇宙太陽光」発電から得られるエネルギー量を超える…だから水素社会や宇宙太陽光発電を進めれば進めるほど、普通に火力発電したり自動車を動かしたりするより「化石燃料を食う」ということを言っている。逆に言えば、そんなものを進めなくても「豊かな生活」は可能なのです。
詳しくはこのブログの左上にある地球のアイコンをクリックして下さい。「環境問題を考える」というまじめなHPがあります。水素社会も、太陽光発電も、風力発電も、ケチョンケチョンに「粉砕」されております。

投稿: あるみさん | 2015年2月26日 (木) 21時00分

いろいろな見方、考えがあることを、あらためて教えていただきました、
環境問題を考えるブログで、勉強させてもらいます。

しかし、
50年前の技術の常識で、現在の技術を語れないように、
現在の仮定と想定を元にした、技術の限界は、50年後の姿を語るものではないと思います。

石炭・石油・天然ガス、過去の炭素資源を消費し尽くす前に生活の質の転換が起こるのは間違いない事と思いますが、
人が新技術への挑戦を、やめることは無いと断言できるがゆえに、

生活信条の違いや、無駄なことだからいう理由で、技術屋の活動をやめさせることは出来ないと思います。

投稿: 羽賀 | 2015年2月28日 (土) 02時20分

羽賀さん…科学技術も長い歴史をもっています。確かに50年後、100年後の科学技術がどのくらい「進歩」しているかは分かりません。宇宙の成り立ち、素粒子の成り立ちを追い続ける研究は、例えば莫大な金のかかる「加速器」や「スーパーカミオカンデ」みたいな装置が必要ですが、そうゆうものまで「否定」しようとは思いません(とはいえ、「今生きている人間」にとって、そのような「研究」に金を使うぐらいなら、貧困対策等に使え!という意見も出てきそうですが)
その「長い科学技術」の研究の中、「否定」されてきたものも多くあるわけです…「錬金術」「第一種、第二種永久機関」等々…「錬金術」は通常の化学反応では出来ず「核分裂・核融合」でないと出来ないことが明らかになっております。「永久機関」は、エネルギー保存則やエントロピー増大則が明らかになることで、完全に否定されています。
ぶっちゃけた話、「水素社会」や「宇宙太陽光発電」は、エネルギー保存則やエントロピー増大則から完全に逸脱した「科学技術もどき」なのです。そうゆうものを「真面目に」研究する、あるいは「金を出す」科学技術者・技術官僚って、いったい何をお勉強してきたの?というのが、本エントリーの趣旨でもあります。

投稿: あるみさん | 2015年2月28日 (土) 21時13分

了解しました、
たしかに、エネルギー収支比(ERP)の概念で捉えると、
水素エネルギーを、石油の代わりとして捉えることはできません、
公的な機関での、将来生活予測でも、化石燃料依存の限界から、「多様なエネルギー」源での収支サイクルを検討していますが、
水素が主役ともなっていません、地域完結型のバイオマスガス等も候補に上がっているようです、
ただし、主役になれなくとも、研究自体は、続けてほしいですね、将来何が活用できるかわかりませんので。

投稿: 羽賀 | 2015年3月 1日 (日) 15時11分

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