「展望」第16号 落合論文ダイジェスト(その7)
〔Ⅳ〕グローバル競争大国化との闘い
① 日本の金融化、レントナー国家化
グローバリズムの基軸となっている金融化と投機化は米国が主導(83年の金融完全自由化以降)
80年代以降、多くの資本主義国は米国によって、金融業の規制緩和、金融自由化を迫られる。
日本は96年の「金融ビックバン」の開始によって、金融化、投機化が進んだ。
11年、米国企業が金融で儲ける割合… 29.4%
日本企業が … 27.0%
日本のグローバル金融資産の巨大さ
2012年の日本の対外純資産は、296兆3150億円で過去最大
13年の政府統計 325兆70億円
IMFによる主要国の対外純資産 中国 150兆2870億円
ドイツ 121兆8960億円
91年以降、22年連続で「世界一の債権国」の座(米国は対外債務が莫大で、比較にならない)
グローバル金融資本というとき、最大最強で、国内的にも対外的にも一番あくどく禁輸的利益を得
ているのが日本である。
新自由主義のもとでは資本間の角遂が激化する
各国の市場が一体となって一つの市場を形成するような平板な理解となるのはなぜか?
第1 資本が単一で均質なものに融合してしまうような理解
第2 国家権力も単一で均質なものに融合してしまうような理解
第3 国家と国家、資本と資本、国家と資本の間の対立、矛盾がなくなるかのような理解
↓
資本が単一で均質なものと仮定する、資本論第一巻的な世界のように理解する。しかしそうはならない。
資本には所有権がある。それを認める(奪う)のは国家権力である。国家による所有権の認知や保護ぬきに、資本は一瞬とも存在することもできない。
グローバリゼーションは歴史や市場の法則にしたがって必然的にできたものではない。米金融寡頭制国家がつくり出したものである。
資本が国境をこえて自由に移転するかのように見えるのは、投機的米金融資本とその国家が、政治的、軍事的に強圧して障壁を開かせることによって可能 〔軍事力の必要性〕
中国、ロシアをはじめとする新興国では、さまざまな障壁を張り巡らして資本の「自由な」移動を制限している。
G7、G8サミットでは、繰り返しタックス・ヘイブン規制の強化を決める。
新自由主義国家は、自国の多国籍企業(グローバル企業)の利益を擁護し、その発展で国家の発展を確保しようとする。
どんなグローバル企業も、強い国家の支援なくして競争に打ち勝つことはできない。
旧ソ連圏まで組み込んだグローバル市場では、帝国主義国(その資本)同士が市場、資源と勢力圏を求めて争闘戦を展開しはじめている。
金融寡頭制国家間の不均等発展 → 争闘戦の激化 → 世界戦争
デヴィット・ハーヴェイに倣って、新自由主義を「ニュー・インペアリズム」(新帝国主義)というべきである。
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