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「展望」第16号 落合論文ダイジェスト(その8)

 格差・貧困との闘いのために(根拠としての労働者支配)

格差・貧困の例として、個人主義・自己責任の国である米国が挙げられる。

日本も含めた世界の格差・貧困は米国が発信源となっているかのような主張は間違っている。

70年代後半~85年プラザ合意までの「日本の1人勝ち」

日本の「製造業」の研究

1.労働組合を骨抜きにするか、叩きつぶすこと(すでに50年代から)

2.中核的労働力を年功賃金・終身雇用・企業別組合の3点セットで企業内に囲い込んでいること。

3.他方で、非正規・下請け・中小零細企業を系列下に膨大に抱えている。

4.欧米のフォード式生産システムが作業工程を細分化し、一人ひとりの労働者の責任分担とノルマを明確化する方式をとっているのにたいし、日本の企業はTQC(統合的品質管理)によって多品種少量生産を行っており、労働者一人ひとりに研究開発と生産から販売、アフターケアにまで責任を負わせている。

 欧米資本は、これを学んで取り入れることによって、格差・貧困が世界に拡大した。

 

 格差・貧困の発信源は日本の労使関係にあるのである。日本の労働組合、労働運動の世界に対する責任が、改めて強調されなくてはならない。

〔注年功賃金・終身雇用は日本では崩壊し、新たに貧困・格差を生んでいる。欧米の企業がこれらを採用したということは聞いたことがない。むしろ 日欧米の「お互いの搾取のやり方」のやり取りにより、90年代以降の貧困・格差が拡大したと取るべき〕

 

テイラーの科学的労働者管理

 作業効率を高めるために作業工程を細分化することを提案した。

 現場で実際に働いている労働者の意見を聞いて進めたため、労働者と管理者の双方から反発されてうまくいかなかった。

 フォーディズムとは、このテイラー・システムをベルトコンベヤーと組み合わせて、作業時間を管理者が決めることによって大量生産・大量消費を可能にしたものである。〔鎌田慧「自動車絶望工場」を見られよ〕

 アメリカではフォードによるテイラー・システムの導入に最初から強い反対があった。 

 テイラー・システムを賛美して、労使一体で導入したのは、旧ソ連(それもレーニン存命中に)と日本である。

 

 日本の労務管理の基礎をなしている統計的品質管理法は、50年代にGHQのエドワード・デミングが唱えた。多品種・少量生産に向いたやり方で、日本の製造業生産性向上運動を通じてこれが普及した。

 その特徴は、目標管理である。

 アメリカで受け入れられなかったのは、彼が、目標管理を実現する方法として自己査定を主張したそしてその結果を数量的成果や処遇・賃金に結びつけてはならないと彼は主張した。

 日本のブルジョワジーはデミングやドラッガーの方法を、上からの目標管理と査定、そしてその結果を労働者の処遇や賃金に結びつける最悪の形態で導入した。トヨティズムの基礎となっているのはこのやり方である。

 

 日本の製造業の現場では、少数の中核的正規労働者は肉体的・精神的に極限までこき使い、しかも給料は上がらない。正規雇用の労働者を増やさず、膨大な非正規労働者で代替し、下請けには過酷なコストカットを迫る。過労死やうつ病の大量発生と早期退職に追い込む一方、派遣切りと偽装請負でワーキング・プアを大量に殺している。このようなあり方を世界に広めることを許したことに、日本の労働者も責任がある。
 
〔注…中央派的労働運動への批判でもあるが第二次産業における「労務管理」と貧困・格差の理屈は分かるが、現在は生産性が向上したことによって、多くの労働者が第三次産業で生計をたてている。ここにおいて第三次産業の「生産物(価値)」が「労働とともに現れ、消えてしまう(蓄えてとっておくことが出来ない)」というところに「非正規労働」の必要性サービス(労働)が必要とされる時にだけ労働するというものが生まれたのではなかったか?「正規労働者」はそれらを「マネジメント(ドラッガー)」するという「職能による差別」が発生したそういった分析も欲しい〕

 

ネグリとハートの「マルチチュード」…グローバリズムと対決する主体となり得るか

「マルチチュード」とは、差別問題や民族抑圧、格差・貧困の問題をみすえる視点がゼロな、平板きわまる議論である。その彼らは、アルカイダやタリバンをマルチチュードに含めない〔中央派の労働者観〕

中間層は衰減、滅減していない…競争社会、自己責任社会のもと、格差・貧困が拡大するなかで、既得権としてしがみつく層が委任民主主義の下で安倍や橋下を支持している。〔安倍はともかく「橋下」は既得権をぶっ壊す主張をしている…とはいえ「橋下」に何かをぶっ壊されても「ゆるがない」既得権を持つ…逃げ切れると思っている層…が、橋下をコアに支持しているのも事実であろう。〕

 

変革を促し獲得するには、自然との共存と社会的連帯をめざす運動の力で、新しい社会の萌芽を現実に突き付けるしかない。

沖縄の人たちがまさにそれである。反原発運動が生み出しつつあるのもそれである。労働組合、労働運動が本来の社会的連帯と相互扶助の使命をとり戻し、非正規労働者の処遇に目を向け、その改善のために努力することが、再生の出発点である。
 
〔労働組合論…はたして関西合同労組はそこまでたどりつけるのか?〕

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