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自民党「憲法改正草案」を読んでみる(その5)

 さてお次は第八章「地方自治」である。草案はこれにかなりの書き加えがある。
 現行憲法では、第九十二条~九十五条の4ヶ条、九十三条に②があるだけだが、改正草案では九十二条~九十七条と二条増加、さらに各条項も多くの項に分けられ、細かく規定されている。
 まず草案第九十二条「地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う」2「住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う」と、いわゆる定義づけの新設条項としてある。まぁ、あまり問題はなさそうだが、2項の「公平に負担」を深読みすれば、「少額の税しか払わない(払えない)者には、それなりの行政サービスしかしない」宣言とも読める。
 草案第九十三条は、現九十二条「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」に書き加えたものである。「地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める」とある。基礎自治体は現在の市町村、広域自治体は都道府県と解釈できるが、法律で定める時に「道州制」に変えることが可能である…おそらくそうするのではないか…また、「都」の定義を法律で定めれば、橋下徹の言う「大阪都」も可能になろう。この条項は「道州制」への布石と考えて間違いない。
 また九十三条3は「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない」義務規定を持ち込んでいる…国と地方自治体の「上下関係」まで明らかにされていないが、おそらく沖縄のような「自治体が国の政策に異を唱えること」が、憲法で禁じられることになる。また「原発政策」にも地方自治体は口が出せないことになる。
 草案九十四条は、現行憲法九十三条の「議会設置」と「議員、公務員(憲法では法律の定めるその他の吏員…各首長を示す…と記載)の直接選挙規定であるが、草案の2項にしっかり「当該自治体の住民であって日本国籍を有する者が直接選挙する」と、国籍条項をしっかり入れている。
 現行憲法第九十四条は、地方公共団体は、その財源を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」とあるものが、草案九十五条で「地方自治体は、その事務を処理する機能を有し(条例制定に関する事項はそのまま)」と簡略化されている…地方自治体の財政破綻を見越してか、財産管理権が消されているのが特徴だ。
 草案第九十六条は、「地方自治体の財政及び国の財政措置」について書かれた新設条項である。「地方自治体の経費は、条例の定めるところにより課する地方税その他の自主的な財源をもって充てることを基本とする」2「国は、地方自治体において、前項の自主的な財源だけでは地方自治体の行うべき役務の提供ができないときは、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない」とある。
 現在、地方税は「地方税法」で全国ほぼ一律に決められているが、草案では各自治体の「条例」で税を決めることが出来る…地方の特性、人口構成や産業にあわせた柔軟な地方税制を自治体ごとに作ることが出来る反面、いわゆる「都市間競争」「地方間競争」を税制面から後押しするものでもあろう。また、住む地方によって「税率」等が違うということは、日本国内での「公平」という面から見ても、問題であろう。2項は現在の「地方交付税・交付金」その他補助金拠出の根拠を作ったものとして評価は出来る。
なお、3項に「第八十三条第二項の規定は、地方自治について準用する」と、財政健全化は地方自治にも適用すると書かれている…これは地方税増税宣言である。
 第九十七条は、「地方自治特別法」の規定で、現行憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」を詳しく定義しなおしたものである。
 以上、地方自治についてみてきた。

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