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ネトウヨ涙目だろうが、「慰安婦和解」は不充分すぎる!

年末の慌ただしい中、安倍総理は急遽、岸田外務大臣を訪韓させ、いわゆる「従軍慰安婦問題」の解決を目指した…そして「両国政府の合意」が成されたことは、報道を見て明らかである。
 内容的には、「歴史修正主義者」の安倍政権が、ここまでよく「譲歩」したなというものであるが、所詮1995年の村山内閣時に行われた「アジア女性基金」構想とほとんど変わっていないものだ。ただ、「女性基金」とは違い、「政府の税金で10億円拠出する」ことと、「韓国政府と共同で事業を行う」ことぐらいである。

 「慰安婦」とされた女性たちは、「補償」と「名誉回復」を求めている…が、「名誉回復」とは短に日本の総理大臣が謝罪することだけではない…「真相究明」「責任者の処罰(もちろん時間が経っているので「処罰」は出来ないが、「責任の所在を明らかにすること」は可能である)そして、二度と同じようなことを起こさないための「歴史教育」である。この三点については、何も述べられていない。
 「真相究明」「責任の明確化(≒日本軍・政府による組織的な植民地女性への人権蹂躙であったことの明確化」は、これまでの日韓の「真面目な」研究者の研究を総合し、それなりの時間をかけて行えば「共通認識」可能な文書として残すことが出来るだろう…それを元に「歴史教育」を行い、二度と日韓・・・いや、「戦場」での女性へのレイプ等を含む人権侵害は、現代になっても止んでいないわけだから、(「慰安婦問題」が「問題」として世の中に提起された時も、まさにユーゴスラビア紛争で「民族浄化」という名で、軍による組織的レイプが行われていたのだ)世界のどこでもそのようなことが起こらない、普遍的な「歴史教育」に発展させていく必要があるのだ。
 まして今回の「合意」形成過程において、当事者の意見が全く聞かれていない、無視された中、「政府間のみ」で合意し、さらには盗人たけだけしく「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と、日本政府側から述べられていることである。
 
 もちろん、全ての被害者が「納得」する「合意形成」をすることは難しい。だが当事者の意見も聞かず、頭越しに決めてものが、どうして「最終的」解決に繋がるのだろうか?(この批判はもちろん、韓国政府についてもあてはまる)

 歴史教育に関しては、90年台後半からの「慰安婦問題」バッグラッシュが起こり、いわゆる「新しい歴史教科書をつくる会」などが台頭、自民党やその他保守勢力(もちろんその中には、安倍晋三現首相も含まれる)し、今やどの歴史教科書にも記述されないようになってしまった。それどころか「慰安婦」とされた方の尊厳を貶める発言が公人からなされ、書店には「慰安婦などいなかった」というような書籍が並ぶ始末である。

 今回の急な「和解」の背景には、アメリカの圧力が両国政府にかかったという話がある…このまま日韓の間でロクな首脳会談も行われず、また東アジアでのプレゼンスを維持できないアメリカにとって、慰安婦問題で韓国が中国に接近しているのを防ぎたいという思惑があったのだろう。安倍政権はその上で、最近安定してきた支持率の中、「ネット右翼」的な世論を切り捨てても、「慰安婦問題を解決し、日韓関係を『修復させた』という実績を残すほうが、「普通」の人々からの支持率が上がるため、自らの思想・認識を棚に上げてでも、「村山方式」+αで解決したほうが良い…と計算したのであろう。韓国、パク・クネ大統領も、このまま韓日関係をこじらせたままでは、政治的、経済的にもよろしくない…との計算の上での「合意」である。(もちろん、「ブルジョワ政治」というものはそういった打算・妥協の積み重ねと駆け引きである…と言ってしまえばそれまでだが)・・・それにしても「当事者不在」の合意は、早いうちに「韓国側」から破綻する…それを口実に「最終的」解決に韓国は努力していないと、右派勢力から確実にバッグラッシュが起こる…特に今回の合意は多くのマスコミが大々的に「歓迎」しているので、「韓国側」から破綻した場合、バッグラッシュはいわゆるネトウヨ層のみならず、「普通の」日本人の間からも確実に上がるであろう。YAHOOニュースでは早速、韓国外務省が合意内容を説明、元慰安婦は猛反発 なる報道がなされている。

 このような「慰安婦和解」は、左派である私も当然、認められないvirgo

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あるみさんの怒り!」カテゴリの記事

コメント

 あるみさんに同意します。この合意は被害者置き去りでエリート同士が談合したものです。これでは紛争が再燃しても仕方ないでしょう。
 せめて昨年開かれた各国慰安婦支援団体のアジア連帯会議の示した提言に沿った解決策が採用されるべきでした。最低限、この合意は「終わり」ではなく「始まり」と位置づけて少しでもあるべき形に近づけていくべきです。

投稿: ディッガーズ | 2015年12月30日 (水) 00時03分

ディッカーズさん、コメントありがとうございます。
早速「アジア女性資料センター」のサイトに
日本軍「慰安婦」研究会設立準備会による声明「日本軍「慰安婦」問題、早まった「談合」を警戒する」発表 という記事が出ています。
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=966

なお、私のブログ内で慰安婦問題で解決しなければならないことは3つ…と書いてますが、正確には。「事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰」ですね。
 また、弁護士有志の声明なんてものも出ています。
http://maeda-akira.blogspot.jp/2015/12/blog-post_29.html

問題は「韓国側」の反対、反発はなんとかネット報道で見ることが出来るのに、日本側からこの「宣言」に反対もしくは憂慮を示す声がほとんど報道されないことですね…年明けに東京あたりで「緊急行動」をしなければいけないぐらいの、危険な情勢だと思います。

投稿: あるみさん | 2015年12月31日 (木) 14時31分

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