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「引き取る行動・大阪」の代表に会ってきた

 年末の某日、「沖縄差別を解消するために沖縄の米軍基地を大阪に引き取る行動」、通称「引き取る行動・大阪」(以下、「引き取る行動」と略す)の代表の方とお会いしてきた…この運動の意義と意味をより詳しく知り、自分なりの何らかの「結論」を出そうと考えたからである。

 「引き取る行動」については7月ぐらいに「大阪に米軍基地を引き取る」運動に、半分くらい賛同する というエントリーを書き、コメント欄でのやり取りで「30%ぐらいの支持にするか」と結論づけたものである。
チラシももらって来たぞい…
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代表との話の前に、何度かメールでやり取りもしていたが、リンク先のエントリーにもあるよう、日米安保を容認・支持する世論が多数を占める中、安保を破棄(あるいは弱体化させて)沖縄の基地を撤去することは不可能であり、また安保を容認している構造の中で、沖縄に基地が押し付けられてきたこと…逆に「本土」が沖縄に基地を「押し付ける」ことで、かえって安保が見えにくくなり、安保反対の声が小さくなり、「容認」する声が高まった…しかし「安全保障」や「S00620150901安保の恩恵」を受けている「本土」の側が、沖縄に荷重な基地負担を押し付けていること自体が「差別」なのだから(実際、沖縄の海兵隊そのものは、沖縄にいる必要は無い…)沖縄の基地は本土で引き取るべきであり、それが「沖縄問題」の解決に繋がるというものである。

 この辺の理論は、高橋哲哉氏の「沖縄の米軍基地 『県外移設』を考える(集英社新書)に詳しい…とはいえこの「本土引き取り論」は何も高橋氏の独創ではなく、野村浩也氏の「無意識の植民地主義―日本人の米軍基地と沖縄人」や、私のブログでも「基地を本土に持って帰って…」と主張する「かまどぅぐゎの女の会」の知念ウシィさん達の主張と、それに対する反論へ反論等を、新書版に会うようまとめ、かつ高橋氏の論考を加えるというものである。野村浩也氏の著書は読んだことは無いので分からないが、高橋氏はこれに、今まで「安保反対」を叫ぶことで基地を無くそうとした左派に対する批判も行っている…すなわち「安保が無くなるのは、いつですか?」と…あるいは「基地はどこにもいらない」というスローガンも、安保を無くせない(あるいはそれにどっぷりつかっている以上)結局は沖縄に基地を固定化するものでしか無かったと、手厳しいものである。

 では「引き取る行動」とは何か…一言でいえば「ポジショナリティーの変更」ということだそうな。すなわち「沖縄差別」に加担していた自らのポジション、立ち位置を変える…ということで「沖縄差別」を止める…それが辺野古基地建設阻止、沖縄からの基地撤去に繋がるということ…二番目は「沖縄差別」によって沖縄に基地を押し付けることで、「日米安保」が成立しているのだから、「本土に基地を持って来れば、安保は無くなる!」ということだ。

 なるほど、「安保支持・容認」している日本全体の世論をひっくり返すのは難しいが、「引き取る行動」は、「引き取る場所」周辺の住民の「ポジショナリティー」だけが変われば、実現しそうだ…基地を「引き取る」(チラシにも書いてあるが、この運動は何かの利益等を求めて基地を「誘致」するのではなく、純粋に「引き取る」のである)にあたって出てくる様々な
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問題は、現に今、基地を「引き受けている」沖縄が抱えて対応している問題であって、解決不可能というものでは無い…チラシにはこう書いてある「沖縄の米軍基地を大阪に引き取るとなると、様々な懸念があることも承知しています。しかし、それは実際に沖縄で起きていることであり、私たちはずっとその責任逃れをしてきたのだということを肝に銘じなければならないと思います。様々な問題や懸念は、沖縄から基地を引き取ると決めた上で、大阪に住むみんなで話し合って解決していきましょう。それを理由に沖縄に基地を置き続けることだけはもうやめたいと思います。そして、ずっと沖縄任せにしてきた米軍基地のこと、安全保障をどうするのかということを自分たちの問題として考えていきましょう。そして、本当の意味でそれらが必要ないと判断できるのであれば米軍基地の撤去は迅速に進めることができると思います。」

 ただ、この運動には問題点が2つある…それはせっかく「引き取ろう」とした米軍基地候補地が、「米軍様」に都合が悪ければ、どうしようもない!というところだ。これは他に「引き取る行動」がある福岡や熊本などとネットワークを作って解決してゆくか…いや、そもそも高橋氏が提唱する「海兵隊の基地機能を西日本の様々な施設に分散させる」こと自体、米海兵隊は拒否するだろう…やはり「集積」の効果があるからだ…だから米海兵隊の基地を「引き取る」となると、普天間基地の機能だけでなく、訓練地や駐屯地、さらには辺野古に付け加えられようとしている「軍港機能」がセットになった、かなり巨大なものを「引き取る」必要があると思う…一応、「引き取る行動」では普天間の機能+陸上部隊の訓練区域を引き取るとしている…チラシに示された候補地には「夢洲」「泉大津の埠頭」「関空」と、港湾機能も引き取れそうな所があるが…あと、佐世保に居る強襲揚陸艦は、確実に船舶交通量の多い関門海峡、瀬戸内海を通るのは嫌がるだろうから、大阪をはじめとする瀬戸内沿岸で「引き取る行動」は成立しない可能性が高い…後に残るのは、「ポジショナリティー」の変わった「自分たち」だけである…これでは何の解決にもならない。
 二つ目は、「本土」における基地強化攻撃…と闘えなくなるという点である。関西では米軍のXバンドレーダーが設置されたばかりである。それに西日本では「岩国基地」という、これまた最大級の基地があって、そこでは数少ないながらも、住民と「安保反対、基地建設反対」をスローガンに闘っている人が居るわけだが、そこに「米軍基地を引き取」りましょうという人が来て、信頼されるか?そんなことは無い。
 あと、「本土に引き取れば、基地はなくなる」というが、「基地を引き取った人」が「基地を無くす…安保を無くす」主体には成りえない…相反した行動を同一人物がやることは出来ないのは、「運動の世界」でもなんでもそうだ。そう、どうしてもこの運動は、既存の「反戦・反基地」運動とは両立しない。

 もともと代表の方は、「反戦・反基地」の意思も強く持っていることは、私も良く知っている…しかし「沖縄に基地(犠牲)を押し付けたくない」という思いが、運動を続ける間に強くなってきて、既存の運動にある意味「愛想をつかして」新しく立ち上げた運動だから、無理もない。沖縄の基地問題を真面目にやると、必ずいきつく「壁」なのである。(だから「壁」にぶつからずのうのうと「沖縄連帯!」と叫べる「本土」の人は、沖縄問題に真面目に取り組んでいるとは言えない)

 だから何度も言うように、これは既存の運動が永い間、「安保破棄、沖縄基地撤去」をやり切れなかったことへの、痛烈なアンチなのである。だから私の「ポジショナリティー」も問われるわけだ…「(あるみさんも)安保の恩恵、沖縄に基地があることの恩恵を受けているでしょ?」と…
 また、この運動は「沖縄の人がどのように評価しようと(賛成しょうとするまいと)、本土の人間に問われていることだから、私たちは運動する」とも言っていた…

 そうすると、私の「ポジショナリティー」をどうするか…ということが、この問題に対して真摯に答えることになる…革命的左翼のシンパである私は、「現在のポジショナリティー」を変えず…すなわち「沖縄への差別者」であるポジショナリティーを変えず、「辺野古基地建設反対」を愚直に行動し、普天間基地を無条件に撤去させる運動を続けよう…それが結局「安保破棄・日帝打倒」に繋がるのだから…ただし、「引き取る行動」の意義は評価しつつ、「沖縄への差別者」であることに悩みながら、闘おうではないか。悩みながら闘う…「サイボーグ009」みたいだな…これが私の出した結論であり、「30%支持」の中身である。

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コメント

八尾空港の近くで生まれ育った者ですが、引き取り運動にほぼ100%賛成ですね。「核抜き、本土並み」という沖縄との約束を日本人はまずは果たすべきです。

投稿: TAMO2 | 2016年1月16日 (土) 23時33分

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