警察は捜査で得た全ての証拠を提出しろ!
いささか旧聞になるが、1月12日、ある冤罪事件が明らかになった。毎日新聞WEB
強姦事件:逆転無罪判決…別人DNA型認定 高裁宮崎支部
鹿児島市で2012年、当時17歳だった女性に暴行したとして強姦(ごうかん)罪に問われた元飲食店従業員の男性(23)に対する控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は12日、懲役4年の実刑判決とした1審・鹿児島地裁判決(14年2月)を破棄し、逆転無罪を言い渡した。控訴審のDNA型鑑定で、女性の体内に残された精液から男性とは別人の型が検出されたことから、岡田信(まこと)裁判長は「強制わいせつと認定する証拠さえない」と述べた。さらにDNA型が特定できなかった捜査段階の鑑定を「稚拙」と批判。特定できたのに捜査官の意向で鑑定できなかったことにした証拠隠しの可能性にまで言及した。 (以下略)
この事件では、女性の体内に残された精液の量が少なく、警察は「鑑定不能」としていた…ところが再鑑定してみると、あっさりとDNA鑑定ができた。しかも「証拠」とされた被疑者のDNAとは明らかに違うものだった。もうこれは確実に、一審判決が「冤罪」であったことの証拠になった。
この件については、記事中にこんな記述もある。
また、県警の鑑定について(1)鑑定に使用したDNA溶液の残りを全て廃棄している(2)鑑定経過を記載したメモが廃棄されている−−などと指摘し「信用性に疑義がある」と言及。さらに、県警の鑑定ではDNA型が特定されなかったのに、控訴審では容易に鑑定された経緯を踏まえ、「県警の鑑定は著しく稚拙だった可能性がある」と指摘。「実際には型が検出されたのに被告の型と整合せず『鑑定ができなかった』とした可能性を否定できない」と証拠隠しともいえる構図にまで踏み込んだ。
ま、確実に「証拠隠し」が行われたのであろう…実際、警察はある被疑者が「これこれこうゆうふうにして犯罪を犯した」というストーリーを、様々な証拠や証言から類推するわけだが、その「ストーリー」から外れるものを、検察に証拠として提出しないことがある。検察も検察で、その証拠をうのみにするか、あるいは検察も「ストーリーに会わない証拠」は隠すことがある。
かくして、様々な「冤罪事件」が起きる…そしてその「再審」で新証拠を突き出すことは大変難しい…また今回のように警察が得られた証拠を隠蔽したり、最悪の場合「破棄」したりすれば、もうどうしようもない…「再審」が難しいのも、ここにある。
裁判所は検察(警察)から出された「証拠」を元にしか判断を下せないので、警察が捜査で得られた「証拠」を隠すことは、冤罪の元であると言えよう。
「冤罪」を防ぐには、取り調べの可視化とともに、捜査で得られた記録・証拠を全て出させるという仕組みが、絶対に必要である。そして、「矛盾した証拠」があれば、「疑わしきは、被告の利益に」という、刑事裁判の原則に徹するべきである。
最後に、DNA鑑定の技術が進歩し、様々な「冤罪事件」が解決している…しかしここにおよんで、警察はDNA鑑定を警察自身しか行えないようにしようと企んでいる。リテラ、鹿児島・強姦事件で逆転無罪!冤罪生んだ警察の卑劣な証拠隠しと捏造、さらに冤罪増やす「DNA鑑定独占」画策中 の記事中に、こんな記述がある。
今回は民間でDNA型の再鑑定が行われたがゆえに、男性は幸いにも逆転無罪判決を勝ち取ることができた。しかし一方で、今、捜査当局は“DNA鑑定の独占”を企てているという事実がある。経費削減を名目に、これまで大学の法医学教室などに外部委託していたDNA検査を原則中止し、すべてを警察本部の科学捜査研究所で行おうとしているのだ。(中略…次のページ)
これまで大学の法医学教室など外部に委託しているDNA検査を原則中止し、すべてを警察本部の科学捜査研究所で行うというものだ。その理由は経費削減。しかしそんなことを信じるわけにはいかない。なにしろ、2013年度の司法解剖に伴う検査料は総額14億2900万円に対し、そのなかの外部機関によるDNA検査は約3200万円という小さなものなのだ。 現在、科学技術の進歩によりDNA鑑定の精度は飛躍的に高まり、4兆7000億人に1人を特定することが可能だ。また警察による鑑定も年間27万件を超える。こうした事件の鍵を握る重要な証拠を捜査機関が独占する。それはすなわち、証拠を警察の都合よくいくらでも操作することが可能になるということだ。
ゆめゆめ、疑うことなかれ…警察のDNA鑑定独占を、許してはならない
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