コンクリートに石炭灰を混ぜる話…
伊方原発3号機を再稼働させようとするかと思えば、1号機は廃炉にするという何かと忙しい四国電力であるが、土木方面ではこんな技術を持っている。
ぶっちゃけた話、表題のとおり…石炭火力発電所(四電では阿南にある橘湾発電所 出力70万キロワット・・・コイツのお陰で原発なくても電気が足りていたわけ)から出る石炭灰、性格に言うと「フライアッシュ」をコンクリートに混ぜて使うノウハウである。
フライアッシュはセメントのような粉末だから、セメントと置き換えて使う方法と、砂…特に最近は採取が限定されている海砂の代替品として使う方法がある。
セメントと置き換えて使用する場合、セメントは水と反応して硬化するが、フライアッシュにはそのような性質はない…ただセメント中の水酸化カルシウムと反応して別の物質となり、コンクリートの組織を緻密化させる働きがある。この反応を「ポゾラン反応」と呼ぶ。セメントが少なくなる分、強度が出にくくなるが、湿潤養生をきちんとすれば、より緻密で長寿命のコンクリートとなる。
砂と置き換えて使う場合でも、そのような反応は期待できる。なお、ポゾラン反応はフライアッシュ以外にも様々なシリカ(ケイ素)を含む物質で起こる…身近なところでは農作物の茎なんかを焼いた灰にもあるそうだ・・・また、コンクリートが使われ出したころ、「火山灰」にコンクリートを緻密化させる働きがあることが経験的に知られており、北海道、小樽港の防波堤に使用された「小樽築港100年コンクリート」は、文字通り、100年以上たった現在でも現役で使われている。
で、このフライアッシュを使うノウハウを四電はよく研究しており、徳島の南のほうや高知の生コンプラントでは、フライアッシュを混入したコンクリートが「JIS認証」を受けて販売されているのだ
砂…といっても、西日本ではほとんどが採石・砕砂を使うので、ある程度の柔らかさを持つコンクリートを得ようとすると、単位水量…1m3あたりに使用する水の量が多くなる…これで強度を上げようとすると、水セメント比を下げる、すなわちセメント量を増やさなければならない。
ところがフライアッシュを使用すると、粒が細かくて丸いので、単位水量を減らすことが出来る。実際、同じ単位水量で採砂ばかりを使った場合と、フライアッシュを混ぜた場合とでは、フライアッシュを使った場合のほうが練りあがったコンクリートの状態はサラサラしたものになる。
フライアッシュは石炭火力の廃棄物だが、こうゆうふうに有効利用することが出来るのだ。
欠点は、付着したカーボン(石炭の燃えカス)の影響により、コンクリートに微細な空気(JISコンクリートでは、その量は4.5±1.5%と決められている)を連行するための、「AE剤」という薬が効きにくくなること…もちろんフライアッシュそのものもJIS A 6201で規格化されており、Ⅰ種からⅣ種までの種類に分類されている…当然、規格外の「石炭灰」はコンクリートに混ぜられることは無い。
以上、コンクリートと石炭灰のおはなしでした
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