中野晃一さん講演会(後篇)
さて、日本の「政治状況」を変えるための最近の動き、すなわちSRALDsのような若者や「ママの会」のような女性が主導する動きについて述べられる。SEALDsも女性の活動家が注目を浴びているが、特に女性の活躍は大きい…これは「安倍政治」に「女性を蔑視する」という本質があって、それが分かるからだということだ。別の言葉でいうと「「おんな子ども」の平和主義」が今の運動の特徴である。これはSEALDsの演説にも見られるよう、殺される側、真っ先に個人の尊厳を奪われる側からの平和主義ということである。
SEALDsであるが、学ぶものは多いと中野氏は言う…実際に彼らとの付き合いも多いようだ…例えばある行動、スローガンを実行しようと決めたら、それをどう見せるか、どうしたら見てくれるかということを考えるのに同じくらい時間をかけて取り組むそうだ。また、他者をリスペクトするということを大切にする 違っても良い、人として、個人として尊重された連帯を目指しているのだそうな。(なるほど、私 のブログでは彼らの「新左翼」へあからさまな排除等を批判してきた…しかし逆に見ると、中核派や革マル派なんぞは、彼らからすればもう「リスペクト」するに値しない存在である…ということでもあるし、彼らの「独善性」は、相手をリスペクトするような「運動」を生み出せず、SEALDs的なものと全く対話が出来ない状況にある…ということだ)
今取り組まれていることは「野党は統一せよ!」ということを市民の側から突き上げ、実現させることである。すなわち市民が直接、様々な行動により政治家に要求をする動きが起こっているということだ。これはこれまでの「お任せ民主主義」では無い(もっとも「共産主義社会」においては、民衆が自ら直接課題を解決してゆく「直接民主主義」になるのであるが、当面「議会制民主主義」を是としている以上、「政治家、候補者に積極的に要求し、実行してもらう」という手しか無い)…「お任せ民主主義」では、それぞれの政党が「公約」「マニュフェスト」というメニューを出し、選挙民はそれを選ぶという形である。欲しい物がメニューになければ、投票行動に結びつかないということだ。
短期的な取り組みとしては、参議院選挙、衆議院選挙で市民が後押しする野党共闘を進め、個人の自由や尊厳の擁護を旗頭に「リベラル左派連合」を形成する…と同時に「この道しかない」という硬直した考えを止めることである。
国政選挙の得票率を見ると、全有権者(棄権した人も含む)のうち、自民党に投票した絶対得票率は2007年第一次安倍政権が下野する原因となった参議院選挙から2014年の衆議院選挙まで、13.5%~18.1%で推移している…すなわち全有権者の2割しか投票していない。それでも自民党が政権与党の座にあるのは、公明党の協力と小選挙区のマジックにすぎないことが分かる。自民党は「投票率が上がらない」ことと「野党を分断させること」をその仕事としている。だから「野党共闘」と「投票率を上げる(ような魅力的な候補者選び等)が求められるということだ。
中長期的な取り組みとしては、日本の政治文化を変えていく…1回の選挙、1年ぐらいで「良くなる」ことなど無い…5年、10年たって「2015年が一番悪かったなぁ」と言えるようになれば良い。リベラル・リスペクト・リニューアルを理念としたReDEMOSへの兆戦、守り反対するだけでなく、個人の尊厳を擁護する政治を育んでいく、めげない、あきらめない、投票率を上げる…ということである。
講演の後、香川大学の先生、ママの会、そして中野先生によるミニシンポが行われたが、時間の都合で参加者からの質問に対し3問ぐらいしか答えられなかった。これについては割愛する。また、熊本震災を受けて、商店街で募金活動をしていた学生がこの集会に合流し、募金を集めて行った。
なぜか最後に「デモやります!」と言う言葉…えっ、聞いてないよ!と文句を言いつつ、小雨がパラつく中、幸町キャンパスから丸亀町グリーンまでデモ…しかし参加者は共産党と革新懇のみ…とりあえずいっしょに歩いて行ったが、しまらないデモになってしまった。
| 固定リンク
「かくめいのための理論」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- コロナ禍での社会ヘゲモニーを握ろう!(2020.05.15)
- 憲法1条を守れば天皇制はなくなる?(2020.05.05)
コメント