やはり左派・リベラルは「経済」に弱い!?
かつて「野党共闘」に懐疑的なエントリーを上げた(旧民主党が寄って来るハズが無い)のであるが、昨日行われた北海道5区の補選において、野党統一候補の池田まき氏が、看板、地盤、カバン(資金)+知名度が無いにもかかわらず「善戦」したことは特筆に値すると思う。
じつは選挙の前日、26日だが、私はクリニックの診察があったので「伊方原発再稼働」に反対する松山での集会には行かず、代わりに高松で行われた中野晃一さん講演会 に出席し、安保法制の位置づけや野党共闘について学んできた(これは別途エントリーを上げる)が、その講演の中で講演者、中野上智大学教授は「これだけ『負けることが確実』な選挙で、ここまで、善戦していることは凄いこと」だと言うことを始めに言っていた。また集会中、中野教授のLINEに「小池共産党書記局長と、民進党の前原誠司が並んで宣伝カーに乗っている!」という情報が入り、これは凄いと思った。
この「野党共闘」は、単なる政党間の集散離合ではなく、「安保法制反対」「安倍政治を許さない」市民建ちが様々に働きかけ、お互いに協定を結んで出来上がったものだ。また知名度の低い池田氏を応援するためのボランティアスタッフが駆けつけ、かつ全国に「北海道五区の有権者に電話をかけて下さい!」という「電話ボランティア」の呼びかけが成され、それに呼応した人も多くいた…「無党派層」への取り込みが勝負を決めるからだ。要するに形は「与党「」VS「野党」であるが、「与党」VS「安倍政治を許さない」広範な左派・リベラルとの闘いであり、「新左翼的」な言葉で言えば一種の「蜂起戦」として闘われたと言えよう。
だが善戦むなしく、野党陣営は敗れた…当然なぜ敗れたかの「原因分析」をして次に望まないといけない。投票率は前回の58.43%に対し、今回は57.63%と若干下がっている。これは「投票呼びかけ行動」が効果を発揮しなかったということに他ならない。やり方を工夫する必要があるのかもしれない。
そして池田氏と、与党側の和田よしあき氏との得票差は約1万2000票、また和田氏は前回の町村氏よりも4,445票増やしている。平和への結集第2ブログの記事 によれば、最悪落とした票数は4,445票と推定しているが、強力な組織力を持つ与党候補の壁を破るには、野党側があと1万票以上、票を上乗せ…あるいは与党に流れた無党派層を引き込むにはどうしたら良いか…ということを考えるため、池田氏、和田氏両者の「選挙前、選挙中」の演説をYou Tubeで探してざっと見てみた(こんなことは私が「病欠」しているから出来るのである…もちろん大量の画像を見ることは出来ないので、ホント、ざっとしか見ていない)
私が見た限りで、池田氏の主な主張は「福祉」「子育て」に特化している…もちろん「安保法制」や北海道では特に問題となるTPPについても取り上げている。「安倍政権打倒」の第一歩になる選挙だから、「安保法制」や「安倍政治の失態」について語っても良いハズだが、市民がかついだ「野党統一候補」であり、「安保法制反対」「安倍政治を許さない」人の票は確実に入るので、いかに無党派層に受け入れられてもらうか?ということに腐心した結果であろう。…別な見方をすれば、これは一種の「争点ぼかし」として捉えられかねない…次の参議院選挙でここで「揚げ足」を取られる危険性もあるが、今回は相手側も「安保法制」には触れず(触れられず)、争点化しなかったとも言えよう…
対して和田氏のスローガンは、まず先に「経済」であった…「経済を良くして、それを福祉や子育てにまわそう」という主張である。すなわち、「経済」(正確には「経済成長」)について述べることが出来たかどうか?が、無党派層の関心を引き付けるかどうかのカギになるのではないかと感じた。
もちろん和田氏にしても、アベノミクスの破綻が明らかになっている以上「アベノミクスで経済を向上させる」と言うことも出来ず、具体的にどうやって「経済」を向上させるか?ということは私の見た限りでは述べていない。しかし元三菱商事のサラリーマンで、ペルーとインドへの駐在経験もある。本人も「人間機関車」と自らをアピールしているところから「停滞している北海道経済をなんとかしてくれるのでは?」と期待を持つ無党派層を取り込んだのかも知れない。
「経済」について野党側が語るのであれば、まずは「アベノミクスの失敗」…つまり一部の人を除いて、アベノミクスの恩恵を受けていない…ということを突けば良い。ただそうすると「対案を出せ」ということになる…福祉や子育て方面に「カネ」を流し、経済が流れるようにする、財源は富裕層への増税もしくは「財政均衡」という幻想を無視し、国債発行による公共投資を行う…とはっきり述べるしかない。(しかし「財源案」は今の日本の状況では、思いきり叩かれるだろう、そうするととにかく「カネを回す」ことのみ意識して述べるほうが良い。
もちろん、敗因はそれだけではないだろうが、私の感覚では「経済」について語れなかったところに「惜敗」の原因の一つがあると思う。
おまけ…TAMO2ちんの日常リベラル再生のために
Yahooニュース 野党共闘は成功したのか?北海道五区補選分析
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コメント
今、別のブログを確認したところ、出口調査では支持なし(無党派層)の7割が池田氏に投票している…「寝ている」無党派層を起こすにはどうしたら良いか?という文脈で、内容を根本的に見直す必要があるかも知れない。
http://sun.ap.teacup.com/souun/19892.html
投稿: あるみさん | 2016年4月25日 (月) 21時54分