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中野晃一さん講演会(前篇)

 さて昨日エントリーで触れた、2015夏[安保国会]から2016夏[熱い選挙]へ―学生・ママたちの民主主義―日本政治の最先端を学問する 中野晃一さん講演会 の内容紹介である。23日の13:30より、香川大学幸町キャンパス、教育学部415教室にて行われた。

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 まず主催者「安保法制に反対する香川大学有志の会」香川大学元学長の近藤先生よりあいさつ。これまで政治運動の主体は労働運動であると考えていたが、安保関連法反対闘争の中でSEALDsやママの会のような市民運動が立ち上がってきた。香川でも19日に「市民連合」が結成され、野党統一候補擁立の動きが始まっている。不特定多数への投票行動につながる候補を擁立し、選挙までのボルテージを上げるのだということであった。
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 続いて、中野先生の講演…まず安倍政権が認めた「集団的自衛権」とはどうゆうものか?ということについて述べられる。これは9条の「解釈」による「専守防衛」…直接攻めてきたら反撃はするが、深追いはしない…ということを改め、アメリカ(グローバル資本…本当はこの中に日本の資本もはいっているが、中野先生は「アメリカ」という言葉しか使わなかったのであえて入れた…だからこのエントリーでは「アメリカ」を日本のものを含む「グローバル資本」と読み替えて欲しい)の利益に追従して地球の裏側まで自衛隊を派兵するものであるということをはっきりさせた。
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 そのアメリカの「利益」とは何か…グローバルな寡頭支配、アメリカを中心とした「国際秩序」のことである。これを資料として渡された「米国連邦会議上下院合同会議における安倍総理大臣演説(抜粋)」に出てきた「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」であり、最後のほうにある「(日米同盟は)それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつき」によって「国際秩序」を守るということである。実は同様のことを、「敗戦」70年を迎えた安倍談話の中にも盛り込まれている。安倍は「植民地支配」や「侵略戦争」を反省しているのではなく「日本は常に、国際社会が壮絶な犠牲と上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき進路を誤り、戦争への道を進んで行きました。」とある…すなわち当時米英を中心として整えられつつあった「国際秩序を乱した」ことを「反省」し、二度としない…だから「国際秩序」を乱す「国」や「テロリスト」に対してはアメリカと一緒に戦争をする…ということになるのである。また、アメリカへの挑戦者、中国を牽制することもにおわせている。
 実際今の時代、直接植民地にしたり「傀儡政権」を作って支配するということはグローバル資本にとって割にあわないことであり(だから植民地は独立し、アメリカはベトナム戦争で敗北し、イラクでも完全な「傀儡政権」をつくることは出来なかった)グローバル資本の利益…というよりも収奪…のための「国際秩序」を維持することがよっぽど資本の利益になるのである。また、阿部政権は先の安倍総理演説で「TPPには、単なる経済的利益を越えた、長期的な、安全保障上の大きな意義がある」と述べ、自由、民主主義、法の支配(しかし安倍政権がこれらをことごとく反故にしていることを棚にあげて、こうゆう言葉を吐くこと自体、「グローバル資本の寡頭支配」の矛盾を示している)もちろんこの演説の中で「安保法制の充実に取り組んでいる」旨、アメリカに約束していることは言うまでもない。
 こういった「国際秩序」の中で、先進諸国における「コンセンサス政治」が崩壊し、多数の国民が政治から「疎外」されている…アメリカ大統領選挙におけるトランプ氏(石原、橋下のような扇動政治家)やサンダース氏(自ら「社会民主主義者」であることを公言)の思わぬ人気はここから発生している。すなわち「1%と99%」との対立である。また、その「疎外」「矛盾」を覆い隠すために「ナショナリズム」「排外主義」「ヘイトスピーチ」が煽られていると説く。(ただ中野氏は、欧米におけるナショナリズム、排外主義は、移民排斥を訴えるネオナチのようなものが下から台頭し、それに政治家が乗っかる形をとっているのに対し、日本の場合は政治の「右傾化」が先で、ナショナリズム、排外主義は後から付いてきていると考えている)

後半に続く

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