指導者を殺しても、何も変わらない!
アフガニスタンで続く「紛争」…先日、その一方の当事者であるタリバンの指導者を、無人機による爆撃で殺害した…という報道があったが、当然、タリバンのほうは新指導者を出して「抵抗」を続ける構えである。
時事ドットコムより
タリバンの新指導者に強硬派=アフガン和平、一層困難に―マンスール氏の死亡確認
【ニューデリー時事】アフガニスタンの反政府勢力タリバンは25日、最高指導者マンスール師の死亡を認め、ハイバトゥラ・アクンザダ師を新指導者に選出したと明らかにした。アクンザダ師は強硬派とされており、米国や中国が模索するアフガンの和平実現はより困難になったとみられる。
タリバンは声明で「アクンザダ師は指導者評議会(シュラ)によって満場一致で選ばれ、シュラの全メンバーが忠誠を誓った」と発表。マンスール師については、米政府の発表通り、無人機攻撃で殺害されたと認めた。
アクンザダ師はアフガン南部カンダハル出身で、カリスマ的指導者だった故オマル師からの信任も厚く、「先生」と呼ばれていた。「タリバン内では最も古いメンバーの一人」(テロ専門家アフメド・ラシード氏)とされ、旧タリバン政権下では司法当局を管轄していた。(2016/05/25-18:30)
だいたい、「交渉相手」の指導者を殺してしまえば、「交渉」することもできない。また、よほど脆弱な組織でなければ、指導者を殺したぐらいで組織が壊滅するわけはない。
アフガニスタンで「交戦勢力」が交渉し、和平に持ち込むにはどうすれば良いか…それはアメリカ(そして中国も)が「介入」するような形で、和平に持って行こうなんて考えを止めることである。
以前、紹介した本「イスラム戦争―中東崩壊と欧米の敗北(内藤正典 集英社新書)」では、2012年に同志社大学において、カルザイ政権(当時)のマスーム・スタネグザイ顧問大臣他、タリバン政権時代の駐パキスタン大使、アブドゥッサラーム・ザイーフ師、高等教育大臣のディン・ムハンマド師、そして反政府イスラム勢力ヒズブ・イスラミ(イスラム党)代表ガイラト・バヒール師らが集まって、学生との対話集会と言う形で「和平会談」を行ったことがあるのだ。その後、四人は主催者とともに学生達が行くような「居酒屋」に行き、みんなで鍋をつついたのだという。(もちろん「酒」は無し、鍋も魚だったそうな)
このように、アメリカ抜き…あるいは「大国」の思惑抜きのところ(同志社大学が私学であることにも留意しよう…「国立大学」だとこうゆうことはとても出来ない)では、彼らは胸襟を割って「話し合い」をすることが出来るのだ。
とにかく、アメリカがいつまでもタリバンを「テロリスト」扱いして、空爆を続けていることが問題である…対テロ戦争…これはアフガン、パキスタンでは実質「タリバン=テロ組織」規定をして、それを殲滅、屈服させようとするものだった。これに日本は「インド洋での給油活動」という形で「参戦」している。
この時は「安保関連法」なぞなかったので、いちいち「特別法」を作って自衛隊派兵の根拠にしたわけだが、「安保関連法」が適用されている現在、「給油活動」のような「戦争協力」がホイホイと出来るわけだ。
さて、現在日本が参加している「南スーダン国連平和維持活動」に11月派遣予定の第五普通科連隊(青森市)から、安保関連法の適用を検討しているという報道がなされている。
東京新聞WEB…安保法の新任務適用を検討 南スーダン、青森部隊に
自衛隊が参加している南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に、防衛省が11月から陸上自衛隊第5普通科連隊(青森市)を中心とする部隊を11次隊として派遣する方向で調整していることが、23日分かった。政府は、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新任務を初めて付与することを検討している。 今年3月に施行された安保関連法は、正当防衛などに限っていた武器使用基準を緩和。武装集団に襲われた国連要員らを自衛隊員が急行して助ける「駆け付け警護」や宿営地の共同防衛が可能になり、これら新任務をいつから適用するかが焦点になっていた。
選挙に勝利しようがするまいが、安保法制を廃止に追い込み、安倍政権を打倒しよう
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