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「国民投票」は諸刃の剣

 イギリスがEUを離脱するかどうかの国民投票が行われてから、1週間が過ぎた…実はこの「国民投票」、政権を”しばる”規定はない…で、EU離脱が51.9%、残留が48.1%と僅差であり、「大多数」のイギリス人がEUを離脱したがっているというわけではない。またEU離脱の「理由」である「移民問題」については、イギリスは「シェンゲン協定」(締結国域内での国境通過時のパスポート検査の廃止等により、域内での人の行き来を自由にするもの)に加わっていないため、あくまでも国内法で対処できる。(その中身の是非は、とりあえず置く)
 にもかかわらず、キャメロン首相が「EU離脱・残留の国民投票を行う」と公約し、どこぞやの首相と違ってそれをキチンと履行するための法律を作った。キャメロン首相の思惑とは反対に、EU離脱派がわずかながらも多数を占めたのである。

 この後が大変だ…世界経済に与えている影響はともかく(この結果をうけてイギリスがEUを離脱するにしても、EUとイギリスの間で結ばれている大量の協定見直し作業、交渉が行われるため、本当に離脱するのに2年ぐらいはかかると言われている)、スコットランドや北アイルランドが「EUに残りたい」と独立する動きを見せている。しかしもっと問題なのは、「投票のやり直し」を求める署名が議会のウエブサイトで29日時点、350万人以上に達しているということである。

 「国民投票」は民主主義の究極、「直接民主主義」を実践するものであり、その結果は最大限尊重されなければならない・・・だが「投票のやり直し」や「残留を求める連邦の分裂」が結果として出て来た…ということは、EU離脱に投票した人の多くが、あまり考えないで軽く投票した結果ではないか?と言えよう。加えてEU離脱を声高に主張した政治家達が掲げた「メリット」が嘘だったということも報道されている。

 「民主主義」を貫徹するには、条件が必要だ。それは主体の間で「正しい情報」が公開されていること、もう一つは主体側がその「情報」を理解・判断するリテラシーを持っていることである。「国民投票」は究極の民主主義であるから、なおさらそれが徹底されなければならない。

 それが欠けたまま「国民投票」をすると、現在のイギリスのように「混乱」が生じるわけである。

 翻って、現在の日本を見てみよう…今回の参議院選挙で与党+その補完勢力が勝ち、2/3以上の議席を占めたとしよう。安倍政権は間違いなく「改憲」を発議してくるはずである。改憲のためには国民投票が必要であるが、すでにそのための法律は出来ている…徹底的に「政府」=「改憲したい側」に有利な形で運用される法律である。また、第二次安倍政権になって顕著であるが、マスコミを「恫喝・篭絡」することに、安倍政権はほぼ成功していると言って間違いない・・・すなわち「正しい情報」が国民投票の主体に伝わらないという問題があるわけだ。
 こうした情勢で、「改憲のための国民投票」が行われることは、非常に危険である。

 従って、当面は参議院選挙で、与党・安倍政権とその追従勢力を勝たせるわけにはいかないのである。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

正しい情報が何を意味するのか
事実の客観報道と考えるのが普通だろうな

マスコミは日本周辺の軍事力行使による政治的な動きを
しっかり解説報道してきたのか?
今までは自主的に中国の軍事行動は報道を極小化してきた
そのたぐいの情報を抑えきれなくなったことを政府の恫喝ととらえるのか?

いずれにせよ政治的な意図で情報制限するマスコミに
事実の客観報道を期待するのは無理だ

投稿: まとめちゃん | 2016年7月 3日 (日) 01時43分

バングラデシュでテロがありましたが、アジア諸国におけるテロについての報道なども、事件があると報道するだけで、背景などを探った報道はありませんね。マスコミの政治的意図があるのかな。

投稿: kuroneko | 2016年7月 4日 (月) 09時51分

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