東京では「野党共闘」の意味・意義が十分理解されていない
さて、昨日行われた東京都知事選挙であるが、見事な「劇場型選挙」を演出した小池百合子氏の圧勝であった。下馬評では2位につけていた「野党統一候補」鳥越俊太郎氏も、自民党公認の増田 寛也氏に及ばず、3位であった。
いや、もう街頭やマスコミの「イメージづくり」で小池氏が強すぎた…ゴチゴチの「自民党都連」から飛び出し「伏魔殿」のような東京都に立ち向かう「ジャンヌ・ダルク」というイメージに、皆さま勝てなかった…としかいいようがない。
それにしても、なぜ鳥越氏が知名度に劣る増田氏にさえ勝てなかったか…その辺の総括が必要だろう。
これもいろいろあるのだろうけれど、一つは東京では「野党共闘」の持つ意味・意義があまり浸透していなかったからではないか?というのが私の素直な考えである。何分、参議院選挙東京選挙区は6名も議員を出すことが出来る…地方の一人区で「自公を倒そう」とする気概が足りなかった…特に候補者や党指導部において…のではないかということだ。(もちろん今回の選挙でも「草の根」で鳥越候補を応援し、電話かけ等出来る限りのことをやった人には敬意を示すものではあるが)
一つは有力予定候補者であった、宇都宮健司氏が立候補表明をした時に「野党共闘で」と言わなかったことである。直前にタレントの石田純一氏が「野党統一候補なら、立候補しても良い」と表明…これは参議院選挙で「野党統一候補に投票しよう!」と言うアピールが本音であったのだが…舛添退陣後、反自公の「最有力候補」でもあり、知名度も過去に2回、知事選挙に出馬しているわけだからそれなりにある、加えて政策も細かいところまでかなり練り上げられている。この最重要人物が「野党統一候補で」と一言名言しておれば、仮に鳥越氏に最終的に一本化されたとしても、野党・市民も含めた話し合いの中でかなり良い政策が練られ、「イメージではなく政策論争」で選挙が行われたと思う。
これは鳥越氏が出馬表明をして、いきなり「野党統一候補」として担ぎ上げた共産党・民進党にも責任がある。ネームバリューだけで、出馬当初はほとんど政策らしい政策も語れない人を「ハイ、統一候補です」と出されても、反自公の人たちは「はぁ?」と困るだけであったろう。
「野党統一候補」「野党共闘」というのは、市民の側から出てきた運動である…ただ候補者の調整は「政党」がやらなければならない。が、あくまでも市民の声を聴きながら、じっくり時間をかけて行うものである。もちろん今回はその「時間」が無かったというハンデもある…一応公示日に立候補手続きを済ませると、それを取り消すことは出来ないため、公示後の一本化というのは不可能であるから…
後は鳥越氏の選挙の「稚拙さ」だろうか…「小池劇場」を上回ることは難しかったとしても、本人が街頭に出て来る回数は少なく、短すぎた。またTVの討論番組にもでて来なかったと聞く。女性スキャンダルについても、記者会見等できちんと釈明するのではなく、「裁判」という形のみをとった…過去の「知名度」と「野党統一候補」の看板だけで「勝てる」と勘違いしていたのではないだろうか?
また、「野党共闘」は「何か新しいことが起こる」期待感を、無党派層に持ち込まなければならない…その工夫もせず、やたら有名人士や野党の大物に期待しすぎたのではなかっただろうか。
また、宇都宮氏に戻るが、この人、政策とかはいいのだが、どうも周辺で起こっている事態が見えず「突進」してしまうところがあるようだ。前回の都知事選挙の立候補過程もそうであったと聞いている。そこで「脱原発」を争点とする「細川・小泉連合」が出て来ると、「脱原発」の人たちがそっちにいっちゃったという「苦い経験」を、どうも忘れているらしい。
とにかく、スウェーデン並の予算規模を持ち、なおかつ日本の顔である首都の長が、一見ソフトだが実は極右である小池氏に決まった…市民は彼女がこれから何を行い、何をなさないかをよく監視し、東京の「右傾化」を止める日常的な闘いを続けなければならない。
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コメント
鳥越さんが当選しなかったのは必然でしょう。国政と都政を勘違いしているのではないか?なぜ女性問題の説明をしないのか?都知事としてハードな仕事をこなしていく中で身体は大丈夫なのか?全体的に準備不足感が否めず多くの都民が不信感を抱いたでしょう。
選挙結果後の池上氏のインタビューでもそれを拒否されました。結果に関わらず支持者の方に感謝の意を述べたりこれからの事を述べられたりするべきではなかったのでしょうか?聞く耳を持っているとは一体なんだったのか。
正直もう野党共闘はそう長くは続かないのではないのかと思います。宇都宮氏の応援拒否の件でも既にヒビが入っていますし民進党の中でも岡田代表の件や、わざわざ無理して鳥越氏を出したのにどういう事だ!と不満も聞こえています。
さらに鳥越さんが今回の敗戦の弁を述べる際に" 引き続き野党共闘していこう "と言われた際に共産党の方々からは拍手が上がったが民進党の方々は沈黙なさっていたそうです。既に野党共闘の限界が見えてきたのかもしれません……
投稿: 多重残像拳 | 2016年8月 1日 (月) 23時40分
多重残像様…確かに「野党共闘」の限界が見えてきたかもしれません。それに衆議院選挙だと、ある意味全部「一人区」ですから、勝とうと思えば共産他が全て選挙区で降りて民進党VS自公という構図をつくらないといけない…これは共産党も飲まないでしょう…あと、民進党の代表選挙で、どう彼らが「変わるか?」ですね。
投稿: あるみさん | 2016年8月 3日 (水) 20時23分