蓮舫新体制で、「野党共闘」はどうなるか?
さてこの間、民進党代表選挙が行われ、蓮舫氏を代表とする民進党体制が固まった…しかし、旧民主党政権を「自爆」においこんだ野田元首相を幹事長に据えるなど、「なんだこりゃ?」…の体制に違和感を持つ人も多いだろう。実際、蓮舫氏は自ら「保守」と名乗り、「辺野古基地建設の見直しは行わない」など、自公体制との対決軸が全く見えない「民進路線」を取るようだ…これで「選挙」に勝とうということ自体、危ういものだ。
ぶっちゃけた話、「野党共闘」というのは「安部政治」を打倒するためのものである。だから民進党は共産党や山本太郎氏並の、自公政権に対する「対抗軸」を打ち出し、無党派層をとりこんでゆかないと支持率のアップは見込めない…自公政権との「違い」がなければ、結局「自公のほうがマシ」となる…よって安倍政権への支持率も50%を超えるという結果がでてくるのである。
前にも書いたように、「共産党」は民衆からの「野党は共闘」という声に真摯に耳を傾け、全ての選挙区で独自候補を立てるという路線を捨て、一人区では香川を除き、候補者を立てないと宣言し、事実「野党共闘」が成立した。このおかげで32ある一人区のうち、11区で「反安倍」勢力が勝つことができたのである。逆にやらなかったら、もっと負けていた…というわけだ。
だが「民進党」は、そこから学ぶことが全くできていない…特に今回の指導部はそうだ。日刊ゲンダイの9月22日付け記事、高野孟氏安部悪政の下地つくった戦犯が幹事長自公民大連立の悪夢 にはこう書かれている。
「野田佳彦幹事長」には驚いた。旧民主党OBの何人かと話をすると、みな「安倍政権下で起きている悪いことのほとんどは、野田政権時代に始まった。そのことを蓮舫新代表は知らないとでも言うのだろうか」と怒っている。その通りである。
第1に、安保法制。野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会は12年7月、憲法解釈を変えて集団的自衛権を行使を認めるべきだと提言し、それを「能動的な平和主義」と名付けた。それと連動して自民党もほぼ同時期に「国家安全保障基本法(概要)」を発表して政権交代後に備えた。
第2に、武器輸出。藤村修官房長官は11年12月、佐藤・三木両内閣以来の武器輸出3原則を見直して「包括的な例外協定」案を発表した。それを受けて安倍は14年4月、同3原則を廃止した。
第3に、オスプレイ配備。米国の言いなりで受け入れ、12年10月に沖縄に配備を強行させた。
第4に、尖閣国有化。12年9月、中国への根回しを欠いたまま尖閣諸島の国有化に踏み切り、日中関係が一気暗転、安倍政権の扇情的な「中国脅威論」キャンペーンに絶好の材料を提供した。
第5に、原発再稼働。野田内閣は12年6月、3.11後初めて大飯原発3、4号機の再稼働を決定し、7月から運転させた。また同時に、再稼働の「新安全基準」を定め、それを担う「原子力規制委員会」を設置する法案を成立させた。同委員会は12年9月に発足し、せっせと再稼働推進に取り組み始めた。それを受けて安倍は、全面的な原発復活・輸出路線に突き進んだ。
第6に、TPP。最初に「参加を検討する」と言ったのは菅直人首相だが、野田は11年11月「参加のため関係国と協議に入る」と表明、12年に入り各国に政府代表団を派遣し始めた。それを引き継いで安倍は13年3月、TPP参加を正式表明し、甘利明特命大臣を任命して交渉をまとめさせた。
第7に、消費増税。野田内閣は12年2月に「社会保障・税一体改革」大綱を閣議決定し、8月に「14年に8%、15年に10%」とする消費税法改正案を成立させた。これをめぐる安倍との駆け引きの中で、やれば負けると分かっている解散・総選挙を打って、同志173人を落選させ、安倍に政権をプレゼントした。その野田が蓮舫の傀儡師になって、一体どのように自民党と対決して政権を奪い返すというのだろうか。見えているのは「自公民大連立」という悪夢の予兆だけである。
と、まあ長々と引用したが、「アベ政治」の悪政に線路をしいたのが、野田元総理その人なのだ…そんな人を幹事長に据えた党を「野党共闘」で勝たせたとしても、結局「自公民大連立」になるだけではないのか?ということである。
そうなると、もう「議会政治」内では共産党、社民党、生活の…党の3党に頑張ってもらうしかないわけだが、共産党を除くと…というか、共産党だけでも「絶対に勝てない」のであるから、絶望的だ…
それでも民進党は「党利党略」もあってか、「野党共闘」を完全に否定してはいない…毎日jpでは党首会談:4野党、選挙協力協議 衆院補選に向け合意 とある。補選レベルなら、「野党共闘」は崩さないということだ。
なるほど、個別選で勝ち、「自公」少しずつダメージを与えながら、勝機をつかむという手も無くは無い…しかしそこだけである。
新左翼の私がいうのもなんだが、もう「市民運動」側は選挙戦術に係るにおいて、「野党共闘」よりも「共産党を応援する」という戦術をとったほうがいいのではなかろうか?そうでもしないと「民進党」が本気で自公と対決できる党に変わることが出来ないだろう…自公との対決軸がはっきりしているのは、この党ぐらいなのだから…
それがやれないのであれば、いっそ自分達で「新しい党」を作るぐらい考えないと(もちろんここから「既存の新左翼」なぞ、ゴミ箱に捨ててもらって良い…それらが「解体」した中から、新しい人材や考えを引っ張ってくれば良い)ダメだろう。
本来、これは「既存の新左翼」が成すべき仕事であった…「社共に変わる新しい労働者党をつくる」というのが、かつての革共同のスローガンであった…それが全くできない今、上記の二戦術を、「市民運動」が担わないといけない…「既存の新左翼」は、その触媒(もっとも化学反応において、触媒は無くならないものなのであるが)として働かなければならないだろう。
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