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二つの憲法観が並立しているが、実態はこうだ!

 未来第207号 を入手したので、読んでみた。4面に「焦点 象徴天皇制は『国民の総意』か ビデオメッセージが投げかけたもの」という汐崎論文があり、5面に「検証 憲法9条は幣原の発想 改憲派『押し付け憲法』論は破産」という、須磨論文がある。このうち4面の汐崎論文には表題にこそ書いていないものの明確に、矢部宏冶氏の「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」や、古関彰一「日本国憲法の誕生」(岩波現代文庫2009年)から引用して、「憲法がマッカーサーによって押し付けられたもの」であると書いている…具体的には「GHQ案の憲法第1条は、現行憲法第1条とほとんど同じである。このような憲法の制定過程は、象徴天皇制が「国民の総意に基づく」ものではなく、マッカーサーによって『押し付けられた』ものであることを明らかにしている」と、5面の見出しと「異なる」見解が並んでいるように見える。
 しかし、5面の須磨論文は、たしかに「世界」2016年5月号に掲載された堀尾輝久氏の「憲法9条と幣原喜重郎」およびそれを受けた東京新聞の「9条は日本側が提案―マッカーサーの書簡発見」(2016年8月12日)の特集記事を紹介したものである。と同時に、「幣原をそんなに美化していいのだろうか。」と書いている。そしてこう続けている。
 「1951年2月に平野三郎は幣原に会い、聞き書き(憲法調査会によって印刷され、現在、国立国会図書館に収蔵)をおこなった。そこでは、幣原の最大の問題意識は天皇制の存続にあり、天皇制がアジア侵略戦争の根源であるとして、天皇制の廃止を求める諸国にたいして、幣原は戦力不保持と象徴天皇制をセットにすることで、連合国から天皇制の存続の合意を取り付けたと書かれている。」・・・ということだ。
 要するに憲法9条と1条(を含む象徴天皇制)はセットであるということだ…それは戦後革命期に、敗戦帝国主義国が「生き残り」をかけ、軍隊よりも天皇制の存続を重要視したということである。その過程で天皇ヒロヒトも含めた日帝政治委員会と、連合国軍最高司令官・マッカーサーとの合作である「現憲法」が「GHQの手によって」作られた…という歴史的事実は、動かすことは出来ない。

 この2つの論文の「醍醐味」は、一見矛盾した「見解」が並んでいることではない。どちらも現在の憲法問題…特に汐崎論文は、現天皇の退位に関して「象徴天皇制」がいつ「国民の総意」を得たのか?という根本を問うところが「革命的左翼」としての視点から抉り出されている…を「革命的左翼は、どう切り込むか?」という問いかけとその答えである。
 汐崎論文は結論として「天皇のビデオメッセージをめぐって問われなければならないのは、『生前退位』の是非ではない。アキヒトを最後の天皇とするのかどうか、すなわち天皇制の存在の是非である。日本人民の主体的な選択が問われている」と結び、須磨論文は「ことの本質は、天皇制護持を求める幣原と軍事的再生を阻止するマッカーサーの意志が一致したのであり、どちらが先に『9条』を提案したのかはまったく意味のない詮索である」「とはいえ、憲法公布から70年間、くりかえし『押し付け』を論拠にして9条改憲攻撃が吹き荒れてきたが、かろうじて人民の力で守ってきた。憲法9条は侵略戦争で数千万のアジアの人々と自国民を犠牲にしたことにたいする謝罪と反省の国際公約である。」と結ばれている。

 現行憲法は人民から見れば、戦後革命の「敗北」による「妥協の産物」であると同時に、またそうであるがこそ、国家権力=日帝を縛るもの、日帝に人民から「押し付けた」ものであることを明記して、この記事を閉じよう。

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