« 蓮舫新体制で、「野党共闘」はどうなるか? | トップページ | 二つの憲法観が並立しているが、実態はこうだ! »

ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実

 昨日、NHKのETV特集(アンコール)ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実 を観た。相模原で起こった障害者施設での大量殺人事件で、犯人とされる男が「ヒトラーの思想にはまった」などと発言したこともあっての「再放送」なのだろう。「(治療の見込みのない)障害者を殺す」ということが、どうゆうことなのか考えさせられる放送内容であった。
 ヒトラーが政権を取る以前から、「社会ダーウィニズム」…すなわち「強者が生存し、弱者は生き残れない」という生物界での一現象(実際、生物界では「強者」も「弱者」もうまく「共存」しているわけであるが)を人間社会に当てはめた思想がまかり通っていた。特に「精神病」が薬物等で「治る」ことが出来るようになった結果、精神科医の中から「治らない精神病の患者」をどうするか…ということが考えられてきたらしい。また当時は精神病も含め、多くの病気が「遺伝する」と考えられており、「国民経済」にとって治療の見込みのない「遺伝病」「精神病」の患者は子孫を残してはならず、また淘汰されなければならないという思想、思考が共有されていたようだ。
 ヒトラーの「我が闘争」に「ドイツ民族(アーリア人種)の優秀性」を保つために、「社会ダーウィニズム」的発想が取り入れられていたことは、むしろ自然なことであったのだ。なぜなら当時ドイツ精神病学会のトップぐらいが、そういった断種や「死を与えること」を当然と考えていたからだ。
 かくしてヒトラーが政権を取った後、ユダヤ人への迫害とともに、精神障害者や「不治の病」を抱える「労働力として使えない…価値なき人々」への迫害が始まる。始めは施設に閉じ込め、断種手術を行うところから始まったが、1939年9月1日、折しもポーランド侵攻開始日に「T4作戦」として、「精神障害者」を肉体的に抹殺してゆくということが行われる。
 まず「精神障害者」等のリストを作り、その患者の状態…治るのか治らないのか、働けるのか働けないのか…ということが調べられる。そのリストを元に、4名の「精神科医」がチェックし「死を与える」かどうか判断される…「死を与えられた」障害者は、バスに乗せられて抹殺施設に送られ、ガス室で殺される…というシステムが作られた。
 そのシステムには、ドイツ中から精神科医、看護師ら、精神病院で働く人も「動員」された…恐ろしいのは、そこが「虐殺施設」であることを後で知っても、「自分は悪いことはしていない」と普通に証言してしまうところである。「命令に従っただけ」「法律(があると信じて)に従っただけ」と考えてしまうのだ。
 この「T4作戦」は、ある神父の勇気ある説教によって実態とその恐ろしさ…すなわち「非生産的」であるという理由で精神障害者が殺されるなら、次は別の病者、傷病兵、そして働けなくなった老人も殺されてゆくだろうという、しごくまっとうなもの…を告発され、良心的な人々があらゆる方法…といっても当時はネットはおろか、電話もないので手書きのコピーのみ…で広められることによって中止させられる。あのヒトラーでさえ「国民」の声を完全に無視することは出来なかったのである。
 しかし「T4作戦」が中止された後でも、虐殺施設は残され、そこで働く医師達は「治療の見込みのない精神障害者」」を、餓死はモルヒネ大量投与によって殺し続けてきたのである…ここに当時の「社会ダーウィニズム」の根深さ、深刻さが見受けられる。
 そしてもっと悲しいことは、「T4作戦」によって殺された病者の家族が、「殺された」家族がさもいなかった者のようにふるまうことである。放送されたケースでは父の妹、すなわち自分にとって叔母にあたる人が殺された女性も、父から叔母の存在については何も聞かされていなかった…偶然、妹と一緒にいるまだ少年であった父親の写真を見つけ、初めて叔母の存在を知ることが出来たということである。これは障害者を二重に「虐殺」する行為である。
 取材を受けたドイツの歴史家は最後にこう語る…物事にはなんでも始まりがある。その始まりの段階で(おかしなことが行われていれば)気づいて止めることが大切だ…と。
 
 私たちの身の回りで、すでに形を変えた「T4作戦」が始まっていないだろうかsign02

|

« 蓮舫新体制で、「野党共闘」はどうなるか? | トップページ | 二つの憲法観が並立しているが、実態はこうだ! »

あるみさんの怒り!」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1094529/67661037

この記事へのトラックバック一覧です: ホロコーストのリハーサル~障害者虐殺70年目の真実:

« 蓮舫新体制で、「野党共闘」はどうなるか? | トップページ | 二つの憲法観が並立しているが、実態はこうだ! »