トランプ勝利は反グローバリズムの形を変えた現れ
昨日、アメリカ大統領選挙の結果が明らかになり、人種差別や女性蔑視・差別発言を繰り返していた共和党トランプ候補が、「本命」筋の民主党クリントン候補を破って大統領に就任することになった。
トランプ候補は選挙戦の最初…共和党の候補者選定の段階から放言・暴言を繰り返しながらも、勝利を続け、ついにアメリカ大統領に選ばれるというところに上り詰めた。だれもこの「差別主義者」を止めることができなかった…が、それが何であるのか?日刊ゲンダイのこの記事がきちんと示していると思う。
泡沫と思われた放言王トランプの勝因は反グローバリズム
>どんなに暴言を吐こうが、スキャンダルが飛び出そうが、あきれるほど根強い支持層に支えられたのである。支持率は終始40%台をキープし、最後はフロリダなど激戦州で次々と下馬評をひっくり返した。ツイッターのフォロワー数は、ヒラリーの1005万人に対し1280万人と凌駕、トランプの演説を生中継すると視聴率が跳ね上がるという現象も起こった。
>トランプの主張は、ハッキリしている。一言でいえば、「排外主義」だが、それは「反グローバリズム」である。市場に任せれば経済はうまく回るとアメリカが30年間にわたり主導してきた「グローバリズム」と「新自由主義」を、真っ向から否定した。その訴えがアメリカ国民の心をとらえたのは間違いない。
>実際、新自由主義とグローバリズムによって、アメリカ国民の生活はボロボロになっている。安い労働力を求めて企業が海外に進出したために雇用は減り、その一方、安い商品が海外から流入し、アメリカ製は競争力を失ってしまった。グローバリズムに対するアメリカ国民の怒りと絶望が、トランプを押し上げたのである。大統領選で敗北したのは、新自由主義とグローバリズムだったのではないか。
>アメリカ大統領選でなぜ、「トランプ現象」や「サンダース現象」が起きたのか、日本はよく考える必要がある。
トランプ氏の発言や「政策」を排外主義としながらも、それは「反グローバリズム」に裏打ちされたものであり、だから民衆からの支持を得たというものだ。
私はおおむねこの見方は正しいと思う…巷でいわれていたように、一部「白人のホワイトカラー層」の鬱憤(もちろん、トランプ流「放言」の始まりはこの層を引き付けるものから始まっている…)だけでは説明できない。「民衆の怒り」が、トランプ氏によって解き放たれたのが、今回の選挙結果だったと言える。
もちろんこれは、左の側がそれなりに反グローバリズムの「対案」…それこそ民主党のバニー・サンダースが持っていたもの…があれば、そちらに流れてゆく可能性も秘めているもので、逆に「左」がはっきりしていなければ、いつでも右からトランプ氏のような「トンデモさん」が選挙でのし上がってくるということの典型的な表れなんだろうと思う。
さて、日本の左翼がこの「トランプ現象」から何を学ぶか?とすれば、安部政権が掲げる「改憲攻撃」が、反グローバリズムとは言えないまでにしても、グローバリズム・新自由主義政策で疲弊した民衆の不満等を「突破するもの」として捉えられないようにしないとイケナイ…ということだ。
今、安部政権の「改憲攻撃」は、ひたすらその内容を隠し、「改憲が必要」という雰囲気づくりに明け暮れているといっても過言ではない。この「改憲が必要」に、現代社会におけるグローバリズム・新自由主義政策への不満が結びつくとどうなるか?
「今の社会が苦しい」=「じゃぁ、憲法改正だね」にもなりかねないのだ。もちろん、安部以上に「過激」な新自由主義的改革論者…「おおさか維新」グループのようなファシスト的なものが「反グローバリズム」の仮面をかぶってやってくることも十分考えられる。
反TPPを始めとする「反グローバリズム」闘争を、一層「左派の手」で盛り上げるとともに、その内実をより明確にし、提起してゆかねばならない。
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