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鉄道忌避伝説の謎

 「鉄道忌避伝説」とは、鉄道路線が市街地から外れていることに対し、鉄道開業前に十分な知識がないまま「反対運動」が起こった…曰く、「宿場町での仕事が奪われる」「若い者が街に遊びに行く」「蒸気機関車の火の粉で火事になる」etc etc…の理由で鉄道建設に反対したから…という誠もっともらしい「伝説」があることを言う。具体的には、愛知県岡崎市、東京都調布市、山口県萩市などが上げられる。
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 この「鉄道忌避伝説」が「伝説」にすぎないことを示したのが、今回紹介する「鉄道忌避伝説の謎 汽車が来た町、来なかった町」(青木栄一 吉川弘文館 歴史文化ライブラリー 2006年第一刷)である。
 著者によれば、こういった「鉄道忌避伝説」は過去の文献資料等を調べても根拠がないものであり、反対運動が起こったという記録は無いそうだ(逆に誘致に働いたという記録のほうがある)。鉄道忌避「伝説」は、郷土史を調べる中でなんとなく伝承されていた話が、検証もされずに記載されているのがほとんどであるそうな。
 そして、鉄道が街から離れているのは、ひとえに当時の鉄道建設技術…いわゆる「鉄道側の都合」によるものに他ならない…当時は長いトンネルや橋梁をつくる技術が無く、地形に沿ってなだらかに線路を敷くしかなかったのである。それゆえ、当時の「要衝の地」を必ず通過するように建設すると、かえって建設費がかかるという単純な理屈による。
 歴史家はそういった鉄道建設技術のことを知らず、地図だけ見て鉄道がそれている「理屈」を考え、巷でささやかれている「反対運動」がさもあったような伝聞を固定した…これが「鉄道忌避伝説」の成り立ちだそうな。こういった「伝説」は、古い社会科の副読本(郷土の歴史とかを示したもの)によく記載されていたが、郷土史の見直し等も進んでそういった伝説も影をひそめているそうな。
 あと、東京や大阪もそうであるが、既存の市街地から外れたところに駅が建設されているのも、「鉄道側の理由」でしかない…市街地内に鉄道を敷く場合、地権者・関係者が多くなるから、用地買収とかに手間がかかる…よって鉄道建設を急ぐためには、駅は市街地の外れにせざるを得なかったのである。

 おまけ…鉄道本線から「外れた」要所の地域から、本線に貨物・物資を輸送するため地元有志で「鉄道建設」する事例が日本中あちこちにあり、多くの枝線的ローカル私鉄が出来た。もっともそのほとんどが現在は廃線の憂き目にあっている。私が良く知っているのは、丹後にある加悦鉄道 なんかがそうである。

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