オキナワ島嶼戦争(中編)
ではアメリカの戦略に乗って計画される「島嶼防衛戦」とはどんなものか…中国の艦船は海峡を通さない…ということだから、まずは①機雷戦 この時、米航空母艦はグアムより遠方に退避しているので、米軍にとって怖いのは中国の原潜からの攻撃である。よって原潜を太平洋に出さない(第一列島線内に留めておく)ため、対潜水艦戦も行われる。
次の段階が②対艦・対空ミサイル戦…ミサイルの打ち合いである。石垣島・宮古島に配備される「ミサイル部隊」は、車載式ミサイルでもって運用される。敵からの攻撃を避けるため、発射・回避・偽装…を繰り返しながら、島中を走り回ることになる―敵から見れば、島のあらゆる箇所に「車載ミサイル」があることになるから、島中が攻撃対象となる。
次が③対航空戦、対艦戦である。その次が④敵の上陸に対する事前配置部隊による、対着上陸戦 次に⑤敵の上陸を許した場合、残存部隊による抵抗陣地構築、ゲリラ戦、情報戦である。次に⑥増援部隊による対着上陸戦、機動部隊による強襲上陸、艦艇からの支援砲撃、ヘリボーン作戦、空挺部隊による急襲降下である。そして⑦上陸した島嶼を制圧し、陣地構築…と進む。
この「島嶼防衛戦」を行うにあたり、自衛隊は旧軍の島嶼防衛戦争や、フォークランド紛争を研究しており、特にフォークランド紛争において英国軍が途中にあるアセンション島に、事前に物資を集積していた点を重要視している。自衛隊の南西配備において、事前に物資を集積する場所として、下地島も含め3つも飛行場のある宮古島や、鹿児島の馬毛島などが有力視されているそうだ。
また先の④~⑥にあるよう、敵の上陸があった場合、これを単独で守るための大部隊を置いておくことは難しいため、いったん「負けて」から増援部隊による再上陸によって敵を打ち破る?計画である。従って米軍の「海兵隊」のような部隊が必要とされる。
その部隊が、佐世保、相浦駐屯地にある「西部方面普通科連隊」である。この部隊の海兵隊化が目論まれており、2018年度までに約3千人(旅団規模)の水陸機動団に増強される。オスプレイ(佐賀空港に配備予定)17機と、水陸両用車AAV7を57両持つことになる。
このような「島嶼防衛戦」を行うための訓練もすでに行われている。2012年には陸自「富士総火演」では、富士の演習場を離島に見立て、上陸してくる敵を撃退する想定で行われた。また、陸海空の統合演習や、米軍との協同演習・訓練も行われている。西部方面普通科連隊は、2005年にサンディエゴの海兵隊基地で、米海兵隊と共同演習を行っている。
また、海自の増強も進んでいる…2015年に完成したヘリ搭載護衛艦「いずも」や、「おおすみ」型輸送艦、「ましゅう」型補給艦など、大型の護衛艦が配備されている。2014年の中期防衛力整備計画では、強襲揚陸艦の導入も検討するとされている。
空自はF-35最新鋭戦闘機を28機配備するとともに、飛行隊も増やされ、那覇基地に配備されることになっている。
陸海空の「統合運用」のため、2006年には「統合幕僚会議」が、「統合幕僚監部」に改編され、「統合幕僚会議長」は権限を強化して「統合幕僚長」となっている。
なお、米軍と自衛隊は共同訓練をしているが、97年改定ガイドラインから、日本領土の防衛は日本が主として行うということになっており、「島嶼防衛戦」はあくまで「日本が主体」となって戦うこととされている。また、沖縄の海兵隊・米軍は遅かれ早かれグアム以遠に撤退すると小西氏はみており、辺野古新基地をはじめ、在沖米軍基地は自衛隊と共同使用になるものとされている。(続く)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「れいわ現象」の正体(その3)…「新選組」はどうなるか?(2020.03.30)
- 「れいわ現象」の正体(その2)(2020.03.24)
- 「れいわ現象」の正体(その1)(2020.03.22)
- 放射能被害は、見えにくい(2020.01.24)
- 「検証温暖化」を献本してもらいました(2019.07.17)
「かくめいのための理論」カテゴリの記事
- 設計変更を許すな!奥間政則さんの学習会(2020.06.29)
- けんじと太郎でタヌキを追い出せ!(2020.06.18)
- BLACK LIVES MATTER”よりも”大切なこと(2020.06.14)
- コロナ禍での社会ヘゲモニーを握ろう!(2020.05.15)
- 憲法1条を守れば天皇制はなくなる?(2020.05.05)
コメント
対空ミサイル戦...ミサイルの打ち合いである。Χ打ち合い→○撃ち合い
投稿: 元解放研 | 2017年1月 8日 (日) 21時22分