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戸籍ネタの元本…

 先日書いた戸籍ネタにはちゃんと元本がある。
 FOR BEGINNERS 戸籍 文 佐藤文明 イラスト 貝原浩 (現代書館 1981年10月25日 第一刷)
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 日本の戸籍制度を批判的に書いた「入門書」である。筆者、佐藤文明氏が「あとがき」にこんなことが書かれている。

 戸籍についての適当な解説書、参考書は残念ながらまったくありません。あるのはごく細部を研究した専門書、学術書のたぐいばかり、トータルでわかりやすいものとしては、戸籍職員のハンドブックぐらいのもので、これは徹頭徹尾、支配する側の論理で書かれています。
 しかし、考えてみれば戸籍のトータルな研究者が支配者の側にしかいない現状では、一般向けの解説書、参考書がないことは救いです。本書は期せずして一般向き戸籍図書の第1号という光栄に浴したわけです。あまり細部に踏み込めなかったことも、とりあえずお許しいただけるのではないか、などとムシのいいことを考えています。


 日本の戸籍制度は、近代天皇制と密接に結びついているし、その裏返しとして外国人への「差別・抑圧」構造もある…本書は戸籍の裏側として、80年代当時から問題になった外国人登録制度についても触れている(もちろん内容は「当時の」制度である)。
 また、天皇制―家制度と、人々の「身分行為」を縛り、登録を通じて国家に委ねる行為について、おなじあとがきで筆者は次のように述べている。

 戸籍を考えるに当たっては、国家や社会経済、天皇制などに対する考察を深めなければなりませんが、これだけではもちろん不充分、愛やセックス、結婚や家族などといったボクらの側の問題もあわせて考えていかなければなりません。自分自身と向きあい、自分自身を変革していく作業がなければ根本的な解決は困難です。ただ単に諸外国の登録制度をとり入れればいい、というのでは根本的な解決にはならないからです。
 ロシア革命はたしかに解決の可能性を示した唯一のできごとでした。しかし、解決に向けた具体的なスケジュールを持たなかったため、失敗に終わってしまいました。実際、経済基盤の上に乗った政治社会組織より、愛やセックス、結婚や家族といったものに根差した生活意識のほうがずっと変わりにくいのです。そして急変した経済基盤を引き戻し、改革の努力を元のもくあみにしてしまう強力な力を持っています。
 支配者たちが生活意識を統制しようとするのもここにあるのでしょう。そして多くは成功しているように見えます。政治改革を主張する人でも、意識改革を避けようとする人が多いのはそのためなのではないでしょうか。


 なお、佐藤文明氏は戸籍に関する本の「中級編」ともいえる「戸籍うらがえ史考 戸籍・外登制度の歴史と天皇制支配の差別構造」(明石書店 1988年5月第一刷)を出している。
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コメント

佐藤文明さんは知り合いです。
亡くなられた時にはがっかりしました。

民族差別の問題などで、文明さんならどう考えるかな、と今でも思います。
ホームページがまだ見られるのが慰めですが。(ネーム参照)

投稿: kuroneko | 2017年7月22日 (土) 17時15分

kuronekoさん、そうだったんですか。ホームページを確認しましたが、過去に一度チェックしてブックマークしたものの、そのままどっか行ってしまったような記憶があります。
貴重なホームページですね。時間がある時読んでみようと思います。

投稿: あるみさん | 2017年7月23日 (日) 17時36分

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