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中世にらせん回帰!?

 資本主義の終焉を看破したエコノミスト、水野和夫氏の新著、「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(集英社新書・2017年5月)を読んだ。
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 まぁ、前著「資本主義の終焉と歴史の危機」を呼んで、ポスト資本主義は、中世への回帰を説いているなぁ~と漠然と思っていたが、そういう展開になっていたなぁ~ IS(イスラム国)なんて、モロ「中世」の価値観・国家観だし…
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 利子率の低下・沈滞…ゼロ金利からはてはマイナス金利まで…市場が拡大しない「資本主義社会の終焉」を説いた筆者は、その解決のための「システム」を「閉じた帝国」が地域帝国として分立する「新中世」的世界になると説く。
 
 水野氏の「資本主義の終わり」論は別にゆずるとして、その対応に「国民国家」「主権国家」では間に合わないと説く…まず、国民国家は、国民の間に格差が広がっていて、もう成り立たないんだということ、また「経済政策」をとるにあたって、どうしても「グローバル」に広がってしまった生産力を、現在の1国のレベルでコントロールすることは難しい…だから一定の広がりを持った「帝国」なんだそうな。
 また、これまで資本主義のチャンピオンだったイギリス、アメリカ流の、7つの海をまたにかけ、あるいは航空機を飛ばして、世界中から「蒐集」するようなあり方も限界に来ている…「金融・資本帝国」である「海の国」から、EUやロシアのような「陸の国」…生産が地域に密着しているあり方…に回帰するということだ。
 「帝国」とは多様性を包摂する…政治の単位は、現在の国民国家・主権国家よりも小さな単位の共同体となる。地域帝国と地域政府の二重構造になる。
 水野氏は、地域帝国に成り得る候補としてEUを上げる。ロシアもそれに近いのだそうな。地域帝国になりそうな中国については、一帯一路構想も含め、資本主義的な突破策であるとしている。日本については、「地域帝国」を作る準備が出来ていない、近隣にそのような国もないことから、その準備を始めるように説く(さしあたっては、毎年EUへ加盟申請をすることが必要となるらしい)

 ま、思いっきりざっくり要約しすぎて書いてみた…内容はけっこう濃いので、読みごたえはある…ただし「社会システム論」だから、はっきり「そうなる」とは言えない…だから、左翼の人が読む場合、マルクス主義や、経済学…あるいは「生産様式、はどうなるか?」という視点を付け加えながら、うまく解釈していくことが必要だろう。

 次回から、ちょっとそういった視点で「新中世」を語ってみたいと思う。

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